英イングランドで接触者追跡システムを導入 来月1日から

画像提供, PA Media
ボリス・ジョンソン英首相は20日、新型コロナウイルス対策で「世界最高の」接触者追跡システムを6月からイングランドで導入すると表明した。
このシステムは、新型ウイルス感染者と接触した可能性がある人を追跡するもの。感染拡大を防ぐのが目的だ。
ジョンソン氏はこの日の議会で、接触者追跡システム2万5000セットを6月1日に導入し、1日当たり1万人の新たな感染者を追跡できるようにすると述べた。
イングランドでは最も早くて6月1日から、学校や必需品以外を扱う商店の段階的な再開が予定されている。
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国民保険サービス(NHS)幹部は、適切な追跡システムが早期に確立されなければ、深刻な事態が待ち受けていると警告。明確な計画が実行されるまで、ロックダウン(都市封鎖)は緩和されるべきではないとした。
NHS連合の最高責任者ニール・ディクソン氏はマット・ハンコック保健相への書簡で、はっきりした戦略なしには、イギリスは新型ウイルス感染の第2波に襲われる恐れが非常に高まると述べた。
北アイルランドはすでに、携帯電話を使った接触者追跡システムを導入している。スコットランドも試験を進めている。ウェールズは今月末までに稼動させたいとしている。
政府の科学顧問の主要メンバーは、ロックダウンの緩和には効果的な追跡システムが必要だと指摘していた。
3月にいったん中止
イギリスの新型ウイルス対策の接触者追跡システムは、最初の国内感染者2人が確認された1月末に稼動が始まった。
しかし、3月中旬になって、イングランド主任医務官(CMO)のクリス・ウィッティー教授が「すべての感染者を特定する必要はもうない」と述べたことを受け、中止された。
最大野党・労働党の党首サー・キア・スターマーは20日、この決定を「この国の防御における大きな穴」だとしてジョンソン氏を批判した。
これに対しジョンソン氏は、国全体を進歩させるシステムをイングランドが稼動させることに「自信がある」と述べた。
米ジョンズホプキンス大学の集計(日本時間21日午後4時時点)では、イギリスの新型ウイルスの感染者は25万人に迫り、死者は3万5000人を超えている。同国の人口は約6700万人。
香港、ドイツなども利用
接触者追跡システムはすでに、香港やシンガポール、ドイツで利用されている。
感染拡大の速度を遅らせるのが目的で、感染者が接触した人をリストアップし、電話やメールで追跡するなどの方法がある。
携帯電話の位置追跡アプリを利用し、接触者を特定する方法もある。
現在イングランド南部ワイト島で試験中のNHSの追跡アプリは当初、5月中旬にイングランドで運用開始の予定だったが、政府は時期がずれ込むとしている。
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