資源大手、アボリジニの洞窟を破壊し謝罪 オーストラリア

画像提供, AFP
リオ・ティントは2013年に西オーストラリア州からジューカン・ゴージの開発許可を受けていた
英豪鉱業大手リオ・ティントは5月31日、西オーストラリア州に残っていた先住民族アボリジニの洞窟遺跡を爆破したことについて謝罪した。
ピルバラ地方のジューカン・ゴージは氷河期の4万6000年前までさかのぼるもの。リオ・ティントは鉄鉱採掘プロジェクトを拡大するため、当局の許可を得てこの地域を開発していた。
都市部から離れたジューカン・ゴージからは、多くの先史時代の遺物が発見されていた。
リオ・ティントの鉄鋼部門トップを務めるクリス・ソールズベリー氏は、「精神的苦痛を引き起こしてしまい、申し訳ない」と語った。
同時に、伝統的にこの地域を所有しているプートゥ・クンティ・クラマとピニクラの人々(PKKP)に敬意を表していると話した。
「引き続き、PKKPと共に何が起きたかを把握しパートナーシップを強化していく。事態は緊急性を要しているため、ジューカン・ゴージ地区での計画をすべて見直している」
ジューカン・ゴージで発見された遺物には人毛でできたベルトなどがあり、これらは4000年前に、PKKPと先史時代に洞窟に住んでいた人たちに直接的な関係があったことを示している。
ソールズベリー氏はまた、「西オーストラリアにおける遺跡管理との関係を広く再検討する必要があることを認識した」と述べた。
リオ・ティントは鉄鉱のほか、ボーキサイトやアルミニウム、ダイヤモンド、ウランといった鉱物をオーストラリア各地で採掘している。
「大きな痛手」
PKKPを代表しているジョン・アシュバートン氏は、ジューカン・ゴージが失われたのは「大きな痛手」だと語った。
ロイター通信の取材でアシュバートン氏は、「ジューカン・ゴージほど古いアボリジニの土地は、もう数えるほどしか残っていない(中略)その重要性を軽視することはできない」と述べた。
「私たちは洞窟の破壊に深く傷つき、悲しんでいる。また、祖先や土地とのつながりを失ったことを悲しんでいる」
オーストラリア初のアボリジニ閣僚でもあるケン・ワイアット先住民問題相は、遺跡での爆破が実行されたことは「理解できない」と述べた一方、今回の件は「純粋な間違い」だったようだと説明。州法がこの件を見逃してしまったのだと述べた。
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上は採掘前のジューカン・ゴージの写真(2013年6月撮影)、下は2020年5月に撮影された爆破後の様子