イタリア首相を検察が聴取へ 新型ウイルス拡大、遺族ら告訴

Members of the citizens' group Noi Denunceremo (We will report) at prosecutor's office in Bergamo, 10 Jun 20

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COVID-19の死者の遺族らでつくる市民団体「Noi Denunceremo」はイタリア政府を刑事告訴した(ベルガモの検察前、6月10日)

新型コロナウイルスの感染が拡大したイタリア北部ロンバルディア州ベルガモの検察は、政府の感染対応に不備があった疑いがあるとして、12日にもジュゼッペ・コンテ首相を事情聴取する。COVID-19(新型ウイルスの感染症)で亡くなった患者の遺族50人が10日に告訴状を提出していた。

事情聴取は、今年3月のロックダウン(都市封鎖)開始前に最も甚大な被害が出ていた、ミラノ近郊のベルガモで行われる予定。

コンテ首相は事情聴取について「全く心配していない」と述べた。

検察はルチアーナ・ラモルゲーゼ内相と、ロベルト・スペランツァ保健相についても、12日に事情聴取を行う。

市民団体「Noi Denunceremo」(私たちは報告する)は10日、ベルガモの検察当局に告訴状を提出した。遺族らは、感染のホットスポットをもっと早い段階で封鎖すべきだったと訴えている。

COVID-19の被害者家族らで構成された同団体は、ロンバルディア州の町アルツァーノとネンブロについて、感染のアウトブレイク(大流行)が確認されてからすぐに「レッドゾーン」に指定すべきだったと主張している。

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告発状を公開した市民団体「Noi Denunceremo」のメンバー(イタリア・ベルガモ、6月10日)

イタリアでは、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)に端を発した集団告訴は今回が初めて。一方でロンバルディア地方では新型ウイルス対応をめぐり、多くの人が中央政府ではなく、右派政党レーガ党率いるロンバルディア州政府を非難している。

ロンバルディア州では欧州で最初に感染が拡大し始めた。イタリアの死者の半数以上は同州で確認されている。

イタリアの公式データによると、11日までの死者数は3万4114人で、欧州ではイギリスに次いで2番目に多い。世界では4番目に死者数が多い。

しかしイタリアの感染数は減少していることから、当局は厳格な制限措置を段階的に緩和している。

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イタリアのジュゼッペ・コンテ首相

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中央政府の責任か、ロンバルディア州の責任か

コンテ首相は事情聴取について、「私が知っている全ての事実を誠実に説明する。全く心配していない」と述べた。

「全ての捜査を歓迎する。市民には知る権利があり、我々には回答する権利がある」

コンテ氏は今年4月初旬のBBCのインタビューで、新型ウイルスの危機を過小評価していたとの訴えを否定。新型ウイルスのクラスター(小規模な集団感染)が初めて確認された初期の段階でロックダウンを命じていたら、「人々は私を気がおかしい男扱いしていただろう」と述べていた。

また、感染の発生源となった中国・湖北省武漢市のような大規模なロックダウンを迅速に敷くことができたのではとの指摘を一蹴した。

一方、ロンバルディア当局は感染のホットスポットを封鎖するのは中央政府の責任だったと主張。同州保健当局トップのジュリオ・ガレラ氏は、2月23日からアルツァーノとネンブロで多数の感染者が出ていたのは明らかだったとしている。

しかし中道左派連立政権を率いるコンテ氏は、「ロンバルディア州がその気になればアルツァーノとネンブロをレッドゾーンに指定できた」と反論したと、AFP通信が報じた。

検察は既にロンバルディア州の高官を事情聴取している。

ロンバルディア州の危機はどのように起きたのか

2月21日、ロンバルディア州の小さな町コドーニョが最初に封鎖された。その後、ロンバルディア州全域と隣接するヴェネト州やエミリア・ロマーニャ州の14県が3月8日に封鎖された。それから2日後にイタリア全土でロックダウンが敷かれた。

3月初旬、ロンバルディア州の複数の病院がひっ迫し、防護具や病床、医療スタッフ不足に苦しんでいたことは明らかだった。

BBCが撮影したベルガモ近郊ブレシアの病院の映像では、医師たちが治療薬のない状態で「膨大な」数のCOVID-19患者の対応に悪戦苦闘している様子が確認できる。

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Covid-19の犠牲者は、ベルガモの記念墓地に新設されたエリアに埋葬されている

新型ウイルスで夫を亡くしたモニカ・パラツォーリ氏は、「これほどずさんでなければ、ベルガモがもっと早くレッドゾーンに指定されていれば、おそらく病院は崩壊に追い込まれなかっただろう」と述べた。

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