シベリアで38度を記録か、北極圏で過去最高の可能性 

A forest fire in central Yakutia (Sakha Republic in June 2020

画像提供, Yevgeny Sofroneyev

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北極圏の山火事は高温と強風によって激しさを増している(ロシア・サハ共和国、6月撮影)

ロシア・シベリアのサハ共和国ベルホヤンスクで20日、気温が摂氏38度に達し、北極圏での過去最高気温を記録したとみられる。

この記録については検証が必要だが、38度の記録が確定すれば、6月の日別の平均最高気温より18度も高かったことになる。

北極圏で夏季に気温が高くなるのは珍しいことではないが、ここ数カ月は異常な高温が続いている。

北極圏では世界平均の2倍の速さで温暖化が進んでいると考えられている。

約1300人が暮らすベルホヤンスクは北極圏のすぐ内側に位置する、シベリアの遠隔地。ここの気候は極端で、1月の平均最高気温は氷点下42度にまで落ち込み、6月には20度まで上昇する。

しかし今年は北極圏で熱波が長引いており、気象学者たちは懸念している。欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(CAMS)は今年3月、4月、5月にそれぞれ、北極圏の平均気温が平年より約10度高かったと報告した。

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北極圏の気温を示した地図。ロシア・シベリアのサハ共和国ベルホヤンスク(Verkhoyanksk, Russia)では摂氏38度を記録した 出典:BBC天気

6月初旬にはシベリアの一部地域で30度を記録した。一方で北緯72度の北極圏に位置するロシア・ハタンガでは5月の気温としては過去最高の25.4度に達した。

「世界中で前年比の気温記録が更新されているが、北極圏は地球上のどの場所よりも速く温暖化が進んでいる」と、英ブリストル大学の大気学准教授のダン・ミッチェル博士は指摘する。

「だからこの地域で記録が更新されているのは、予想外ではない。我々は近い将来、こうしたことにさらに直面することになる」

なぜ北極圏の温暖化を心配する必要があるのか

北極圏での温暖化は、かつては永久に凍り続けていた永久凍土の融解を引き起こしており、科学者たちが警戒している。

永久凍土が溶けると、地下に閉じ込められていた二酸化炭素とメタンが放出されるからだ。

これらの温室効果ガスはさらなる温暖化と、さらなる永久凍土の融解を引き起こす可能性がある。正帰還として知られる悪循環を引き起こすというわけだ。

気温が高くなれば北極圏の陸氷の融解スピードも速まり、海に流れ出す量が増えて海面上昇につながる。

BBC天気によると、正帰還につながる要素もある。日射に対する反射率が高い白い氷が失われれば、陸や海がより多くの熱を吸収することになり、いっそうの温暖化を引き起こすことになるという。

山火事への影響も考慮しなければならない。昨夏、北極圏の一部は山火事で荒廃した。山火事は夏季によく起きることではあるが、高温と強風によって異常なほど猛威をふるった。

山火事は通常5月初旬に始まり、7月と8月にピークを迎える。ところが今年は、シベリアのクラスノヤルスク地方では4月下旬の時点ですでに前年同期の10倍の規模の山火事が起きていたと、ロシアの非常事態相は述べた。

<分析>これは気候変動の証しなのか?――サイモン・キング、BBC天気 気象予報士

北極圏の熱波は珍しくない。世界中の気象パターンは一様に、暖気が北上し、寒気が南下していると言える。

ここ数カ月の間、ロシア東部は高気圧に覆われ、南風が熱帯地域周辺から暖かい空気をもたらしたことで気温が平均よりも上昇した。

しかしこうした気象パターンが長引き、気がかりな高温の長期化や規模につながっている。この現象は、気象学者が気候変動によって北極圏で起こると考えていることと一致している。

ほとんどの科学者は北極圏は過去30年間、世界平均の2倍の速さで暖かくなったという見解で一致している。

次の図は1960年から2019年の間に、地球全体で平均気温が約1度上昇していることを示している。

北極(緯度90度)に近づくにつれて赤色が濃くなっている。気温が約4度高くなり、ほかのどの場所よりも上昇していることを示している。

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1960年から2019年までの世界の平均気温の上昇幅 出典:米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所(GISS)

<解説>史上最も暑い年に?――ジャスティン・ロウラット、BBC環境担当編集委員

2020年は確実に史上最も暑い年の候補になりつつある。

英気省庁は今年が観測史上最も暑い年になる可能性は五分五分だと推測している。

北欧とアジアの大部分は例外的に穏やかな春を迎え、一部地域では平年より10度高い初夏が到来している。

これまでで最も暑かった年は2016年だ。当時の気温の方がまだわずかに高いものの、その差は「非常に小さい」。

もちろん、これは何も意外ではない。

「我々は地球全体のエネルギーバランスを崩してしまった」と、英ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドンのクリス・ラプリー教授は警告する。著名な気候研究者のラプリー教授は年々、最高気温の記録が更新されるのを目の当たりにしていると話す。

「これは地球そのものからの警告メッセージだ。この警告を無視して、危害を受けるのは自分たちだ」