ホッキョクグマ、2100年までに絶滅の恐れ 気候変動で

ヘレン・ブリッグス、ヴィクトリア・ギル、科学担当編集委員、BBCニュース

Polar bears

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気候変動により、北極の海氷はその厚さも大きさも縮小している

気候変動対策を取らなければ、21世紀末にはホッキョクグマが絶滅する可能性があると、最新の研究が予測している。

北極海で氷が解けたことで、ホッキョクグマの個体群はすでに、活動できる限界域まで追い込まれていると指摘する研究者もいる。

ホッキョクグマは北極海の巨大な海氷に乗ってアザラシを狩っている。その海氷が解けて分割されたことで、より遠く、時には岸まで足を伸ばさざるを得なくなっている。そうした場所では、食べ物の確保や子育てが困難だという。

「すでに北限に」

カナダ・トロント大学のピーター・モルナー博士は、ホッキョクグマは「気候変動対策のイメージキャラクターになっている」と話した。

「ホッキョクグマはすでに地球の北限に生きている。氷がなくなれば、行き場所がない」

国際自然保護連合(ICUN)は、ホッキョクグマを絶滅危惧種に指定しており、個体数の減少には気候変動が大きく関わっているとされている。

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学術誌「Nature Climate Change」に発表された研究によると、海氷の縮小がホッキョクグマの減少を招く可能性が高く、大幅に減少する恐れがあるという。今回の研究は、それがいつ起こり得るのかを示している。

研究ではホッキョクグマのエネルギー消費をモデリングし、生存できる限界を計算した。

この研究に関わったホッキョクグマ研究所のスティーヴン・アムストラップ博士はBBCの取材に対し、「まず、生き残る子グマが減っていることが明らかになった」と説明した。

「子グマは生まれるが、氷のない季節に母乳を作り出すだけの脂肪をメスが貯め込んでいない」

「食べ物がなければそう長くは生きられない。これがあらゆる動物の生物学的な現実だ」

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北極の海氷は、ホッキョクグマが獲物を捕まえるのに重要な役割を果たしている

研究ではまた、ホッキョクグマの生存の限界が北極圏のどの地域でいつ頃訪れるのかを予測した。現在のホッキョクグマの生息域でも、すでに海氷の縮小は起きているという。

アムストラップ博士は、「さまざな生息域でどれほど脅威が迫っているのかを示すことで、未来の最悪の事態を食い止めるために今、行動しなくてはいけないことを知らせることができる」と話した。

「私たちが現在持っている予測は良いものではないが、社会が一体となって動けば、ホッキョクグマを救う時間はある。そうすれば、人類を含む地球上の全ての生き物を助けることができる」

研究によると、温室効果ガスが大量に排出されるシナリオの場合、2100年までにホッキョクグマの個体群は数個しか残らない可能性が高い。排出量が極端でない場合でも、いくつかの個体群が失われてしまうという。

先行研究でも、気候変動の勢いが衰えずに続いた場合、2100年以降に生き残るホッキョクグマの個体群は、北極の最北端に数個ほどだと予測されている。

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海氷は海水が凍ったもので、北極の季節にあわせて解けたり凍ったりしながら海面を漂っている。中には何年も解けずに残っている海氷もあり、ホッキョクグマやアザラシ、セイウチといった野生動物の重要な住処になっている。

北極圏で1年以上解けずに残っている海氷は年々減少しており、人工衛星による記録が始まった1970年から10年ごとに13%ずつ減っているという。