偽情報で800人以上死亡 新型ウイルスめぐり=研究

アリスター・コールマン、BBCモニタリング

新型コロナウイルスをめぐる偽情報によって、世界で少なくとも800人が亡くなったことが、最新の研究で明らかになった。

学術誌「American Journal of Tropical Medicine and Hygiene」に掲載されたこの研究によると、ソーシャルメディアで拡散された偽情報に従った結果、約5800人が病院に搬送された。

犠牲者の多くはメタノールなどアルコール性の消毒製品を飲んだことが原因で亡くなった。これらの製品で新型ウイルスが治療できると誤って信じていたという。

世界保健機関(WHO)はこれまでに、COVID-19をめぐる「インフォデミック(情報の流行)」が、ウイルスそのものと同じくらい急速に広まっていると指摘。陰謀論やうわさ、文化的な偏見といったものが、けがや死亡事故などにつながっているとしている。

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偽情報が命を脅かしている

研究では、犠牲者の多くが信頼の置ける医療情報に似た助言に従っていたことが分かった。これには、感染予防として大量のニンニクを食べること、ビタミンを多量に摂取することといった内容が含まれる。中には、ウシの尿を飲むといった情報もあった。

論文では、こうした行動が「健康に深刻な影響を及ぼす可能性があった」と指摘している。

その上で、「インフォデミック」に立ち向かうのは国際機関や各国政府、ソーシャルメディア各社の責任だと結論付けている。一方、SNS各社はその対応の遅さやまばらさについて批判を受けている。イギリスでは、オンラインで起きたこうした被害についての法律ができるのは数年先だと言われている。

BBCが5月に行った独自調査では、新型ウイルスの偽情報を発端とする暴行や放火、死亡事件などが起きていることが明らかになった。

インターネットで拡散されたうわさによって、インドでは暴動が、イランでは集団中毒が起きている。イギリスなどでは陰謀論を受け、通信会社のエンジニアが脅迫にあったり、電波塔が放火されたりした。

ソーシャルメディアでは、パンデミックに乗じた詐欺も横行している。新型ウイルスを寄せ付けないという、実際には効果のないバッジや「奇跡のミネラルサプリ」と称して希釈した漂白剤が売られていた。

ワクチンにも陰謀論の脅威

新型ウイルスに対するワクチン開発が進む中、ソーシャルメディアではワクチン反対派による脅迫行為が行われている。

SNS各社はワクチンに関する偽情報の削除やラベリングを行っている。それでも、アメリカで行われた世論調査では、回答者の28%が、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏が人々のマイクロチップを埋め込むためにワクチン開発に携わっていると信じていた。

医師らは、有効なワクチンが発見されてもこうした偽情報によって台無しにされてしまう可能性があると指摘している。

動画説明,

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