【米大統領選2020】 民主党大会初日 ミシェル夫人、トランプ氏は「実力不足」

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【米大統領選2020】 民主党大会始まる 異例のバーチャルで打倒トランプ強調

11月3日の米大統領選に向けて野党・民主党の候補を正式に指名する民主党全国党大会が17日、始まった。複数の市民や政界関係者が次々とビデオ中継で登場した初日の最後に、ミシェル・オバマ前大統領夫人が登場し、「ドナルド・トランプは私たちの国の大統領としてふさわしくない」と厳しく批判した。

ウィスコンシン州ミルウォーキーを会場にする全国党大会は、通常は大勢が集まる派手な大規模イベントだが、今年は新型コロナウイルス対策から、ほとんどの演説や演奏が中継や録画で行われる異例の形式となった。

憲法前文の言葉「We the People(私たち人民は)」を表題に、民主党支持者や民主党の政治家が2時間にわたり次々と登場した。パンデミック対策などトランプ大統領やトランプ政権を批判したほか、今回は与党・共和党の支持者や政治家が登場し、トランプ氏を批判。共和党関係者が、民主党候補になるジョー・バイデン前副大統領に投票すると表明する、これも異例の展開となった。

「混乱と分断と共感力の欠如」

録画メッセージで初日の最後に登場したミシェル・オバマ夫人は、大統領の仕事を「ごまかしながらやるなど無理」だと述べ、「この国の経済はバラバラです。この大統領があまりにも長いこと軽視したウイルスのせいで」とトランプ氏のパンデミック対策を批判した。

「ただ単に、黒人の命は大事だという素朴な事実を口にするだけで、この国の最高の職責を担う人から嘲笑されてしまう」と、ミシェル夫人は続けた。

「ホワイトハウスに向かって、何らかのリーダーシップや慰めや、かけらでいいので安定感を求めても、返ってくるのは混乱と分断と、徹底的な共感力の欠如です」

トランプ氏が就任してから4年間を、アメリカの子供たちに説明するのは大変だったとも述べた。

「この国の指導者たちが、同じ市民を国家の敵と呼んだり、たいまつを掲げる白人至上主義者を勢いづけている、そんな様子を子供たちは見てきました」

「子供たちが家族から引き離され、おりに入れられるのを、この国の子供たちはおびえながら見てきました。大統領の写真撮影のため、平和的抗議にこしょうスプレーやゴム弾が使われるのも見てきました」

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民主党大会には女子サッカー代表主将のメガン・ラピーノ氏も中継で登場した

「ドナルド・トランプは私たちの国の大統領にふさわしくありません」と、ミシェル夫人は続けた。「大統領の仕事が彼にできるのか、証明するのに必要な時間はもう十分すぎるほどありました。しかし、明らかに実力不足で途方に暮れています」。

「私たちが必要とする存在に、あの人がなるのは無理です。It is what it is(それがありのままのことです)」と、ミシェル夫人は淡々と続けた。「It is what it is」という表現はトランプ氏が今月初め、米アクシオスのインタビューにおいて、パンデミックでアメリカ人が15万人以上(当時、現在は17万人以上)死亡していることについて質問され、答えとして使ったもの。

ミシェル夫人はトランプ氏を痛烈に非難する一方で、オバマ政権の副大統領だったバイデン氏は対照的に、「とことんまっとうな人です」と称賛した。

「私たちは、自分の命がかかっていると思って、ジョー・バイデンに投票しなくてはなりません」と訴えたミシェル夫人は、「VOTE(投票しよう)」という文字のネックレスを首にしていた。

バイデン氏が副大統領候補に選んだカマラ・ハリス上院議員についての言及はなかったが、これはミシェル夫人のビデオがそれ以前に録画されたものだからという。

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共和党支持者や政治家もバイデン氏支持

共和党から下院議員や上院議員、オハイオ州知事を歴任し、2016年に共和党の大統領候補指名をトランプ氏と争った共和党のベテラン、ジョン・ケーシック氏も録画で登場した。

かねてトランプ氏を批判してきたケーシック氏は、自分は共和党員としての年月に誇りを持っているとした上で、トランプ氏を再選させてはならないと力説。「この国がいまどうなっているのか、どれだけの問題があるのか、みんな見ている。ひとりの人間やひとつの政党が、すべての答えを持っているはずなどない。けれども、今の状態よりはもっと上手にできるはずだ。絶対に。それは分かっている」として、バイデン氏への支持を呼びかけた。

ほかにも、共和党系の実業家メグ・ホイットマン氏や共和党のスーザン・モリナリ元下院議員(ニューヨーク州)、元ニュージャージー州知事のクリスティーン・ホイットマン氏が登場し、トランプ氏を批判し、自分たちは共和党員だがバイデン氏を支持すると述べた。

ほかにも、2016年にトランプ氏に投票したことを後悔していると言う一般有権者たちも登場。さらには、基礎疾患がなく健康だった自分の父親が新型コロナウイルスに感染して亡くなったのは、危険性を軽視したトランプ氏とその仲間たちのせいだと強く糾弾した。

民主党からは、予備選でバイデン氏と争った候補たちが次々と登場し、バイデン氏をあらためて支持した。

なかでも、最後まで競い合った急進左派のバーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州)が登場し、トランプ氏が再選されれば「自分たちのこれまでの成果がすべて危うくなる」と、自分の支持者に呼びかけた。

「友人の皆さん、そしてこの予備選で他の候補を支持した皆さん、さらには前回の選挙でドナルド・トランプに投票したかもしれない皆さん。私たちの民主主義の未来がかかっています。私たちの経済の未来がかかっています。私たちの惑星の未来がかかっています」とサンダース氏は言い、これまでの違いを超えてバイデン氏に投票するよう強調した。

サンダース氏はさらに、「ローマが燃えている最中、(皇帝)ネロは(リュートを)弾いていた。トランプはゴルフをしている」と罵倒した。

接戦州ミネソタとウィスコンシンの遊説を終えてホワイトハウスに戻る途中のトランプ氏は、大統領専用機の中で記者団に対し、ケーシック元知事を攻撃した。

「共和党で負け犬で、民主党でも負け犬になる。あいつは共和党員としてひどい負け犬だった」

民主党大会、今後の予定

18日にはビル・クリントン元大統領や、党内左派で新進気鋭と注目されるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員などがビデオ演説する。

19日には、カマラ・ハリス上院議員が副大統領候補として正式に指名される。アメリカの主要政党で、有色人種の女性が副大統領候補になるのは初めて。

この日には、バラク・オバマ前大統領、前回の民主党候補だったヒラリー・クリントン氏、予備選終盤までバイデン氏と争ったエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)も登場する。

最終日の20日には、バイデン前副大統領が民主党の大統領候補に指名される。指名受諾演説は、地元デラウェアからほぼ無人の会場で行われる予定。

来週行われる共和党の党大会では、トランプ氏がホワイトハウスから指名受諾演説をする予定となっている。これについて民主党は、現職の立場を悪用する前例のないことだと非難している。