【米大統領選2020】 バイデン氏、英のブレグジット関連法案に懸念 英米協定にも影響と

Joe Biden

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ジョー・バイデン前副大統領

米民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領は16日、11月の大統領選に勝利した場合の英米関係について言及し、北アイルランドを「ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)の犠牲」にはできないと発言した。イギリスのドミニク・ラーブ外相の訪米に合わせた発言で、イギリス議会で審議が進んでいる、離脱協定の一部を変更する法案に懸念を示した格好だ。

バイデン氏はツイッターで、イギリスとアイルランドの和平合意「ベルファスト合意(1998年)」によってもたらされた北アイルランドの平和をブレグジットの犠牲にはできないと表明。

「英米間のいかなる通商協定も、この合意を尊重し、(アイルランドと北アイルランドの)国境での検問を避けるものでなくてはならない」と述べた。

イギリスは今年1月末にEUを離脱し、現在は移行期間中にある。欧州連合(EU)との通商協定の交渉期限が年末に迫る中、ボリス・ジョンソン政権は通商交渉が破綻(はたん)した場合に北アイルランドを含めイギリスの国内市場を守るためとして、国内市場法案を提出。この内容が離脱協定を部分的に変更する可能性がある。

ただし、離脱協定は1月末にイギリスがEUを離脱した時点で、国際法となっている。このため、英閣僚はすでに下院で、「特定的で限定的な」国際法違反の可能性を認めている。一方のEUは一貫して、昨年10月に英政府と合意した離脱協定の「全面的な実施」が必要だと主張。EUとイギリスの「将来の提携関係を交渉する大前提」だと強調している。

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こうした中、ラーブ英外相の今回の訪米では、ブレグジット協定と国内市場法案が大きな論点となった。

マイク・ポンペオ米国務長官は、イギリスが「うまくやる」ことを信じていると述べた。

一方、米下院のナンシー・ペロシ議長(民主党)は、イギリスが国際法に抵触しベルファスト合意に背いた場合、英米通商協定が米議会を通過する「可能性はない」と発言した。

ラーブ氏との会談後にペロシ議長は、イギリスのEU離脱によって北アイルランドの和平が「危険にさらされ」てはいけないと述べた。

その上で、現在民主党が過半数を占めている米下院は、ベルファスト合意を「世界中の平和を求める人々にとっての希望の星」として擁護するだろうと語った。

米議員らが英首相に書簡

イギリスの国内市場方をめぐっては、著名な米民主党下院議員4人が同様の警告を発している。

ジョンソン首相に向けた書簡でこの議員らは、イギリス政府がベルファスト合意を損なう場合、英米通商協定の可決を阻止すると述べ、「ブレグジットの交渉が、北アイルランドに平和をもたらした数十年の努力を台無しにしないよう求める」と訴えた。

この書簡についてジョンソン氏は、「我々が何を目指しているかを理解すれば、和平プロセスを守りたいという同じ野望と懸念を抱いてくれるだろう」と語っている。

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イギリスのドミニク・ラーブ外相

一方でポンペオ国務長官は、「我々はイギリスを信じている。複雑な状況を理解しているし、イギリスがその中でうまくやれると確信を持っている」と述べた。

ラーブ外相は、「ベルファスト合意が危機にあるという指摘は、この件をEUが政治化したことで始まった」と反論した。

ラーブ氏は、国内市場法案は「予防措置」だと説明し、「我々が認められないのは、EUが北アイルランドとブリテン島の間のアイルランド海に境界線を引くことだ」と述べた。

この法案の推進派は、EUが通商交渉を有利に進めるため、食品輸出を阻止すると脅すなど、不当な要求をしていると批判している。

ラーブ氏とポンペオ氏はこのほか、イランをめぐっても協議した。

ポンペオ国務長官は先に、イギリスや欧州各国が国連のイラン制裁を拒否したことについて「アヤトラ(イスラム教シーア派の高位指導者)に擦り寄っている」と批判していた。