イギリス、ファイザーのワクチンを承認 来週から接種開始へ

ミシェル・ロバーツ健康担当編集長、BBCニュースオンライン

File photo of a person receiving a vaccination

画像提供, PA Media

英政府は2日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、国として世界で初めて広範な使用を承認した。

イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、このワクチンは供給しても安全だと判断を示した。ファイザーとビオンテックは、ワクチン接種者の95%を新型ウイルス感染症COVID-19から守れるとしている。

この決定で数日内にも、優先度の高い集団から接種が始まる。

英政府はすでに、このワクチンを4000万回分(2000万人分)注文している。

まもなく約1000万回分を入手できる見通しで、まず80万回分が数日中にイギリスに到着する。

開発まで10カ月しかかかっておらず、ワクチンとしては史上最も早く作り出された。通常は10年ほどかかる。

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イギリスの国民医療制度、国民保健サービス(NHS)の最高責任者、サー・サイモン・スティーヴンズは、「この国で史上最大規模のワクチン接種キャンペーン」に向けてNHSが準備を重ねていると話した。

約50の病院が準備体制を整えているほか、大型会議施設などでワクチン接種センターの設置が進められている。

これによってイギリスでワクチン接種が始まるが、複数の専門家は、なおも警戒を続ける必要があると指摘している。社会的距離の確保やマスク着用、感染が疑われている人の検査と隔離など、感染予防ルールを守る必要もあるという。

誰もが楽しめる夏に

ボリス・ジョンソン首相は「究極的にはワクチンに守られることで、私たちは生活を取り戻し、経済をまた動かせるようになる」とツイートした。

マット・ハンコック保健相は、「助けがやってくる。NHSは来週早々にワクチン接種を始められるよう準備している」とツイートした。

ハンコック氏はBBCの情報番組「ブレックファスト」で、イギリスの住民は自分がワクチンを受ける番になったら、NHSから連絡があると説明した。

「今日のこのニュースを受けて、春から、復活祭以降は、事態は改善するし、来年の夏は誰もが楽しめるものになる」と、保健相は述べた。

mRNAワクチン

ファイザーとビオンテックのワクチンは、mRNAワクチンと呼ばれる新たなタイプだ。新型ウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで、COVID-19に対して人間の免疫システムを訓練する。

これまでmRNAワクチンが、人への使用で承認されたことはない。ただ、臨床試験ではすでに接種されている。

mRNAワクチンは零下70度前後の超低温で保存する必要があり、ドライアイスが詰められた特別な容器で運搬する。目的地まで運ばれた後は、冷蔵庫で最長5日間保存できる。

誰にいつ接種される?

専門家らはすでに、感染によるリスクの高い人々を優先する、暫定的な順位リストを作っている。最優先は介護施設の入所者とスタッフで、その後、80歳以上の高齢者、医療やソーシャルケアの従事者らが続く。

そうした人々は、来週にも最初の供給分が接種される。50歳以上と基礎疾患のある若者を対象とした大規模な接種は、供給が増える来年の実施が見込まれる。接種は21日間の間隔を空けて2回行われ、2回目は免疫の補強が目的。

動画説明,

世界77億人にワクチンを提供するには……5つの課題 新型コロナウイルス

他のワクチンは?

他のワクチンも、近く認証される可能性がある。

米モデルナのワクチンもファイザーと同じmRNAタイプで、同様の予防効果が得られるとされる。英政府は、来春までに供給の準備が整う見込みの700万回分を予備注文している。

英政府はさらに、同国のオックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発している、別のタイプのワクチンも1億回分注文している。このワクチンは、新型ウイルスにそっくりに作られた、害のないウイルスを使用している。

ロシアではすでに、「スプートニク」という別のワクチンが使われている。中国軍は、カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股分公司)が開発したワクチンの使用を認めている。これらはともに、オックスフォード大のワクチンと似た働きをする。