北朝鮮が軍事パレード 新型の弾道ミサイルを公開

画像提供, KCNA
14日の軍事パレードで披露された新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる兵器
北朝鮮で14日夜、朝鮮労働党の党大会を記念した軍事パレードが首都平壌の金日成広場で行われ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が見守る中、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる兵器が登場した。
同国国営の朝鮮中央通信は15日、「世界最強の兵器が広場に次々と入った」と伝えた。
朝鮮中央通信が公開した複数の画像では、北朝鮮旗を振る群衆の目の前を通過する白と黒2色のミサイルが少なくとも4基確認できる。
アナリストたちは、これまでに見たことのない兵器だと指摘。北朝鮮専門家のアンキット・パンダ氏は、新型の「北極星」だとツイートした。「北極星」とは北朝鮮がSLBMに付ける名称だ。
皮のコートと毛皮の帽子を身に着けた金氏が笑顔で手を振りながら、金日成広場で歩兵部隊や砲兵隊、戦車などを見守る様子の写真も公開された。
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軍事パレードを笑顔で見守った金正恩総書記
朝鮮中央通信は「革命強兵の威力を力強く誇示しながら、水中戦略弾道弾、世界最強の兵器が広場に次々と入った」と伝えた。
今回の軍事パレードでは、北朝鮮の兵器で最大規模の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は披露されなかった。昨年10月の軍事パレードには過去最大のICBMが登場。アメリカ全域に核弾頭を運ぶ能力があるとみられ、経験豊富なアナリストさえも驚かせた。
米朝関係
アメリカではジョー・バイデン次期大統領が20日に就任式を控えており、北朝鮮は軍事パレードを行うことで軍事力を誇示したかたち。
また、金氏は5~7日の党大会の報告でもアメリカは「最大の敵であり、革新的発展の主たる障害」だとし、誰が権力の座に就いてもアメリカの対北朝鮮政策の本質は変わらないとけん制。核兵器保有量や軍事力の拡大を約束し、陸上や海から発射可能なICBMや「超大型核弾頭」開発などの計画を示していた。
パンダ氏は新型SLBMが披露されたことについて、「北朝鮮は我々に、より大型の固体燃料ロケットブースターを所持していることに気付いてもらいたいのだ」とツイートした。
過去4年間、ドナルド・トランプ政権のアメリカと北朝鮮の関係は不安定なものだった。金氏とトランプ氏は互いに罵倒し、けん制し合ったが、2018年にはシンガポールで史上初の米朝首脳会談にこぎ着けた。また、トランプ氏が金氏と「恋に落ちた」と発言したこともあった。
金氏はトランプ氏と親密な関係をつくりあげたものの、北朝鮮の核開発をめぐる交渉は具体的な進展がほとんどみられなかった。ヴェトナム・ハノイでの2回目の首脳会談は、アメリカが北朝鮮側の要求を拒否し、決裂に終わった。