ヒマラヤの氷河崩壊で大洪水、多数の死亡確認 インド北部

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インド北部ウッタラカンド州で7日、ヒマラヤの氷河の一部が崩れて川に落ち、大洪水が発生した。多数が行方不明となっており、少なくとも14人の死亡が確認され、150人が行方不明だという。警察は50人以上が死亡した可能性があるとしている。
洪水はダムを破壊し、大量の水がウッタラカンド州の渓谷に流れ込んだ。
複数の村の住民らが避難したが、大勢が激流に巻き込まれた。これまでに救出されたのは25人だという。
行方不明者の大半は、洪水で押し流された2つの発電所の作業員だとみられる
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救出された人たちの世話をする国境警官たち。被災地域には大勢の兵士や警備隊が派遣された
洪水の様子を捉えた映像では、同地域に水が勢いよく流れ込み、周辺を破壊していることが確認できる。
目撃者の1人は、水と岩の壁がダウリガンガ川を急速に下っていったため、警報を鳴らす余裕がなかったと証言した。
インドのナレンドラ・モディ首相は状況を注視していると説明。「インドはウッタラカンド州と共にある。国民は同地域の全ての人の安全を祈っている」とツイートした。
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氷河の一部が川へ落ちて洪水が発生し、リシガンガ水力発電所のダムが破壊された
ウッタラカンド州の警察によると、7日午前11時頃に雪崩が発生し、リシガンガ水力発電プロジェクトとして知られるダムを破壊した。この影響でダウリガンガ川で洪水が発生し、下流のタポヴァン地域にある別の発電所も被害を受けたという。
目撃者の1人は、「ボリウッド映画のシーン」のような鉄砲水だったと述べた。
ウッタラカンド州のトリヴェンドラ・シン・ラワット首相は、これまでに125人の行方不明者が確認されているとし、人数が増える可能性があると述べた。
「現場で7人の遺体が収容された。救助活動が続いている」と、シン・ラワット州首相は7日に記者団に述べた。
ヒマラヤの氷河崩壊、ダムが押し流され村が冠水 インド北部
リシガンガ水力発電所で作業していた50人以上が死亡したとみられると、ウッタラカンド州警察のアショク・クマール本部長は述べた。また、現場で複数の作業員が救出されたことを明らかにした。
救助隊は、がれきで埋め尽くされたトンネル内に閉じ込められていた作業員16人を助け出した。
インドメディアによると、2つ目のトンネル内に、他に約30人の作業員が閉じ込められており、救助隊が夜通し救助の準備を進めていた。
シン・ラワット州首相は警察と軍による救助チームが「作業員の命を救うために最善を尽くしている」と述べた。
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洪水被害を受けた地域に救助隊員が派遣された
救助隊は数十の村の人たちを非難させた。当局はその後、洪水による主立った危険は去ったと述べた。
洪水被害を受けた地域には軍のヘリコプターや航空機のほか、数百の部隊が派遣されている。8日朝に生存者の捜索が開始される。
隣のウッタルプラデシュ州では、川沿いの複数地域に洪水の厳戒態勢が敷かれている。
現在、複数の専門家が洪水について調査している。
インドの首都デリー(Delhi)とウッタラカンド州(Uttarakhand)の位置関係
気温上昇により氷河から巨大な氷の塊が崩れ、大量の水が放出された可能性も考えられると、複数の専門家が指摘している。これが雪崩を発生させ、岩や泥を押し流した可能性があると。
また、雪崩が氷河湖に落ちて洪水が発生した可能性や、雪崩や地滑りによって川がせき止められ、水位が上昇して決壊した可能性もあるという。
ヒマラヤの西側に位置するウッタラカンド州は、鉄砲水や地滑りが発生しやすい場所で、2013年6月にはモンスーンの影響で数十年来の豪雨に見舞われ、約6000人が死亡したとされる。
今回の災害を受け、生態系が影響を受けやすい山間部の発電計画を見直すよう、複数の環境団体が呼びかけている。
トンネル内に取り残された男性が救出される瞬間
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インド・ウッタラカンド州で7日、ヒマラヤの氷河の一部が崩れて川に落ち、大洪水が発生した。当局によると、125人以上が激流に巻き込まれた可能性がある。