ミャンマー国軍は「元彼よりひどい」、若者がユーモア交えて抗議

Protest sign reading "I want a relationship not a dictatorship"

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「私はリレーションシップ(おつきあい)がしたいの。ディクテーターシップ(独裁)はいらない」と書かれたプラカードを掲げる抗議者

ミャンマーで8日、国軍によるクーデターに対する抗議デモが3日連続で行われた。一部の若者は、同国の伝統的な抗議メッセージとは一線を画すサインを掲げて訴えた。

ミャンマー国軍は1日、国家の権力を掌握したと宣言した。同日早朝には与党・国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー国家顧問(75)らを拘束した。

このクーデターに対する抗議デモは8日に3日目を迎えた。

若い世代は、前世代よりも自由で、インターネットの接続も以前より簡単な国で育った。それに伴い、西洋文化や、オンラインのミーム(拡散される画像・動画)に関する知識がある。

そのため、若い抗議者たちはこれまでの反対運動とは対照的な形で、民主化推進を訴えている。

2月1日に国家権力を掌握した国軍指導者に向けて、ジェネレーションZ(だいたい24歳以下の世代)が繰り出したウイットや自虐ユーモア、いたずら心にあふれるメッセージをいくつか集めてみた。

アウンサンスーチー氏率いるNLDが議会の過半数議席を獲得した昨年11月の総選挙をめぐっては、国軍は不正行為があったと主張している。証拠は示していない。

もちろん私たちはBBCなので、若者たちが使った一部の下品な言葉はぼかして伝えなくてはならないが、それでも若者が何を言おうとしているのかは伝わる。

「私の元彼はひどいけど、ミャンマー国軍はもっとひどい」

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若者は「ああ、(罵り言葉)またか」(右)、「私の元彼はひどいけど、ミャンマー国軍はもっとひどい」(左)などとプラカードを掲げた

ジェネレーションZとミレニアル(2000年以降に成人あるいは社会人になる世代)の人間関係における文化は、手にするプラカードに色濃く反映されている。

「私の元彼はひどいけど、ミャンマー国軍はもっとひどい」というものや、「独裁は欲しくない。私は彼氏が欲しいだけ」と謙虚に訴えるプラカードもあった。

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「独裁政権はほしくない。私は彼氏がほしいだけ」(右)とのメッセージで訴える抗議者

「ああ、(罵り言葉)またかよ」というメッセージもよく使われている。これは2004年発売のビデオゲーム「グランド・セフト・オート」のシーンにちなんだ、世界的に人気のミームだ。

国軍のクーデターに対する抗議デモは、2007年に仏教の僧侶数千人らが軍事政権に抗議した「サフラン革命」以降で最大規模。ミャンマーの各都市で何万人もの人が集っている。

警察は8日、路上でのデモから立ち去らなければ実力行使に直面することになると、抗議者たちに警告した。

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「軍事クーデター時代<片想い相手からの返事」(左)や「独裁(ディクテーターシップ)にノーを。おつきあい(リレーションシップ)にイエスを」(右)といったメッセージを掲げる人も

「手を出す世代を間違えた」

ほかの抗議者たちは、国軍が戦う相手を間違えたと主張するメッセージで、より明確にクーデターを拒否している。

罵倒語を使い、「相手にする世代を間違えたな」と反発する意味のプラカードもあった。

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罵倒語を使い、「相手にする世代を間違えたな」と反発するプラカード

ミレニアルはだらだらしているというステレオタイプを逆手に取り、「自分の未来を台無しになんかさせてもらえないから」というプラカードも、広くソーシャルメディアで拡散した。

「私の夢は総司令官より大きい」

クーデター後に政府トップに就いたミンアウンフライン国軍総司令官は身長が低いと報じられている。

ほかの抗議者たちは、総司令官は頭文字をとって「MAL」と呼び、その身長をからかっている。

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「私の夢はMALより大きい」(左)、「私たちの自由を返せ」(右)

「私のお気に入りのアリアナ・グランデの方が(Malより)背が高い」と、小柄で知られる米ポップ歌手を引き合いに出す若者もいた。

アメリカ音楽への言及は、別のプラカードにもあった。2020年に大ヒットし、ミームに使われるようになった米ラッパー、カーディ・Bの曲「WAP」を頭文字に取り、「私たちは(We Are)平和的に抗議する(Protesting peacefully)」と訴える内容だった。