英国のワクチン接種、1500万人を超える 首相は「偉業」と称賛

画像提供, PA Media
イギリスで14日、新型コロナウイルスの1回目のワクチン接種を受けた人が1500万人を超えた。ボリス・ジョンソン首相は「重要な節目だ」と述べた。
開始から2カ月余りで1500万人以上が1回目の接種を受けたことを、ジョンソン氏は「偉業だ」と称賛した。
政府は15日にも、優先度の高い4グループの全員に接種するという目標を、国内全域で達成できたと発表する見通し。4グループとは、国民保健サービス(NHS)の医療従事者、介護施設の入所者と従業員、70歳以上の高齢者、臨床的に体が非常に弱い人のこと。
この4グループが、イギリスの新型ウイルス感染症COVID-19による死者の88%を占めていると、保健・社会福祉省はみている。予防接種・免疫合同委員会(JCVI)は、4グループの合計人数は1500万人ほどだとしている。
<関連記事>
世界3位の接種率
15日以降は、ワクチン接種の対象者が65歳以上と、臨床的に体が弱い人にも拡大される。
イギリスは現在、米ファイザー/独ビオンテック製と、英オックスフォード大学/英アストラゼネカ製の2種のワクチン接種を進めている。
米モデルナ製のワクチンも承認しているが、春までは入荷されない見通し。これら以外にも、少なくとも3種のワクチンについて、承認されれば供給を受ける予定。
イギリスのワクチン接種率は、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)に次いで世界3番目に高い。
称賛と警告
ジョンソン氏はビデオ声明で、「真に全国的な、イギリス全土における努力だ」と今回の達成をたたえた。また、イングランド地方では優先度の高い4グループの全員が接種を受けたとした。
ウェールズ地方では、まだこの目標が達成されていない。
ジョンソン氏はまた、「現状に満足してはいけない」と警告。「まだ先は長い。途中で間違いなく障害にも遭遇するだろう。しかし私たちは(目標を)達成したのであり、大きな自信をもって前進できるだろう」と話した。
イギリスでは14日、新型ウイルスの陽性判定から28日以内に死亡した人が258人増え、11万7166人となった。この日は、報告数が比較的少ない日曜日にあたる。
新規感染者については同日、1万972人の報告があった。累計の感染者は403万8078人に上った。
イギリスのワクチン接種会場の1日 無駄を出さずに速やかに
「自由へと続く道」
国民保健サービス(NHS)のサー・サイモン・スティーヴンス最高責任者は、接種開始から10週間で接種者が1500万人に達したことについて、「見事な共同の成果だ」と評した。
「NHSのワクチン接種事業はヨーロッパで、また保健サービスの歴史において、最大かつ最速のものだ。これは、地域のコミュニティー、ボランティア、軍の支援を受けた素晴らしいスタッフたちの技術、苦労、それに真の多大な努力によっている」
一方、マット・ハンコック保健相は、成人4人に1人が「この恐ろしい病気からの保護を受け始めた」ことになると説明した。
そして、「まだすべきことは多く、(ワクチン接種を)受けられる人は進んで予約を取ってもらいたい。ワクチンは自由へと続く道であり、私たちは接種を積み重ねることでこのウイルスに打ち勝つ」と呼びかけた。
ロックダウン緩和は「慎重に」
ドミニク・ラーブ外相は14日、イングランド地方のロックダウン(都市封鎖)緩和の日程を示すよう、与党・保守党の同僚議員らから求められたのに対し、政府は「慎重に」なる必要があるとしてこれを拒んだ。
ジョンソン首相は13日、イングランド地方の「慎重な」ロックダウン緩和について、ワクチン接種が「大きく前進」していることを理由に、今月中には予定を発表できるとの見通しを示していた。
感染対策
- 基本情報:1分で解説 新型コロナウイルスについて知っておくべきこと
- 予防方法: 正しい手の洗い方
- 社会的距離とは: 2メートルってどれくらい? 感染対策に必要な距離
- 感染から回復まで:【解説】 感染から回復まで、何日くらいかかる? 新型ウイルス
- 感染したか判断するには: 「具合が悪いんだけど、もしかして新型ウイルス?」 感染を判断する方法とは
- 心の健康:【解説】 新型コロナウイルス、心の健康はどう守る?
- ワクチンについて: 世界77億人にワクチンを提供するには……5つの課題 新型コロナウイルス