イギリス国内の成人全員、7月末までにワクチン接種を目標=ジョンソン首相

People queue to enter a coronavirus vaccination centre in Stratford, east London, on 15 February 2021

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ボリス・ジョンソン英首相は20日、イギリス国内の成人全員に7月31日までに新型コロナウイルスのワクチンを提供すると約束した。

イギリスでは昨年12月に新型ウイルスのワクチン接種事業が始まって以来、これまでに1700万人以上が少なくとも1回目の接種を受けた。ジョンソン首相はこれについて、「ますます広く素早く」進めていきたいと述べた。

人口約6700万人のイギリス全体では、これまでに約1720万人が1回目の接種を受けた。2回受けた人は60万人近くになる。

政府は、最優先される4つのグループに2月15日までに少なくとも1回目の接種を提供するという公約は果たしたとしている。最優先の4グループには、70歳以上の人、介護施設の入居者、医療・介護従事者、高リスクで隔離が必要な人たちが含まれる。

ジョンソン首相は「1500万回接種の目標達成は重要な節目だったが、それで気を抜いたりしない。今後もますます幅広く素早く、接種事業が展開してほしい」とコメントを発表した。

7月31日を目標にすることで、感染リスクの高い人を「もっと早く」守れるようになる上、全国で実施されているロックダウンをさらに緩和できるようになると期待を込めた。

英政府はこれまで、9月までに全ての成人に1回目の予防接種を提供することを目標にしていた。新しい計画では、4月15日までに50歳以上の全成人や、50歳未満で高リスクになる基礎疾患のある人たちに、少なくとも1回の接種を終えることになる。50歳未満の優先順位については、まだ決まっていない。

イングランドではこれまでに3割近くの成人が1回目のワクチン接種を受けている。国民健康サービス(NHS)イングランドの責任者、サー・サイモン・スティーヴンズは、ワクチン接種の拡大が入院患者の減少に寄与しているかもしれない兆候が見られると述べた。

感染リスクの高い人たちにワクチンを素早く優先的に提供することが、パンデミックによる死者数を減らし、NHSの負担軽減に不可欠とみられている。

イングランドでは65歳~69歳の接種が2月半ばから始まった。NHSイングランドによると、すでにこの年齢層の3分の2が1回目の接種を終えた。

次は64歳の約46万人が接種の対象になる。

ジョンソン首相は21日にもイングランドのロックダウン緩和策について最終協議をした後、22日には解除へ向けた「行程表」を発表する見通し。ただし、これについては、「ロックダウン脱出のルート」は「慎重で段階的」なものになると首相は述べた。

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イギリスでは介護施設の入居者とスタッフから始まり、80歳超の人や医療者・社会福祉従事者、高齢者や感染リスクの高い人たちと、順番に接種が行われている。2月末から69歳以下の人、64歳以下で基礎疾患のある人、60~64歳の人など、対象グループが移り変わる

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イギリスではこれまでに1700万人以上が少なくとも1回のワクチン接種を受けた。棒グラフは日別の初回接種回数。折れ線は7日間移動平均(2月10日現在)

首相官邸は20日、ロックダウン緩和の順序として、学校再開に続いて、家族がまた会えるようになり、住民がお互いにもっと会えるようにするのが重要だと強調した。

この一環としてイングランドでは3月8日から、介護施設の居住者には1人の決まった面会者が繰り返し訪問できるようになる。この特定の面会者は事前にウイルス検査を受け、防護具を身に着けた状態ながら、介護施設の中で居住者と面会し、手をとることも許される。

スコットランドでは介護施設に暮らす人は特定の2人の面会を、繰り返し受けられるようになる。

ウェールズ自治政府はすでにロックダウンの部分的な緩和を発表しているが、北アイルランド自治政府は自宅待機命令を4月まで延長することにした。