中国全人代が開幕、香港の選挙制度を見直しへ 政治参加は「愛国者」が条件

The fourth session of the 13th National People's Congress (NPC) opens at the Great Hall of the People on March 5, 2021 in Beijing, China. (Photo by VCG/VCG via Getty Images)

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中国の全国人民代表大会は5日、北京・人民大会堂で開幕した

中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が5日、北京の人民大会堂で開幕し、「愛国者」が政治を担うことを保証するため、香港の選挙制度を見直すことが発表された。中国政府が香港での反対意見を容認しない姿勢を示したかたち。

中国政府による香港での取り締まりが強化される中、香港の選挙制度改革が発表された。

この改革案は1週間開催される予定の全人代で議論される。

このほかに、経済成長目標や環境政策の議論・承認が行われる見通し。

香港の選挙制度を改正

全人代常務委員会の王晨副委員長は5日、香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」について、一部条項を改正する必要があると発表した。

これは香港の行政長官や立法会議員(国会議員に相当)を選出する選挙規則の改正を意味する。

王氏は、香港の選挙制度に「抜け穴」があるため、野党派が香港独立を主張できるようになっていると指摘した。

また、これらの「リスク」を排除する必要があるとし、「香港らしい民主的な選挙制度を確立する必要がある」と付け加えた。

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香港をめぐっては昨年6月、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)が施行された。今年2月28日には、香港警察が国安法に基づき、1月に逮捕した民主派50人超のうち47人国家「転覆」を狙ったとして起訴した。中国政府が香港の反体制派弾圧に国安法を使っているとの批判が出ている。

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。これにより香港では、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護された。

しかし昨年6月末に国安法が施行されたことで、香港の自治は後退し、デモ参加者を処罰しやすくなった。

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香港の民主派47人は今年2月、国家「転覆」を狙ったとして起訴された

香港と中国のさまざまな当局者は、全人代の開催前からすでに、「愛国者」が香港を統治するという考えを提案していた。

香港立法会は、昨年11月に民主派議員全員が中国政府への反発から辞職して以降、事実上反対派がいない状況になっている。

他にどんな発表が?

李克強首相は全人代で、国内総生産(GDP)成長目標を6%超に設定したと発表した。

中国政府は昨年、新型コロナウイルスによる経済への影響に対処する中、初めて経済成長目標を設定しなかった。

一方、気候変動対策については、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指すとした。

ロイター通信によると、中国は主な感染症に対処するためのワクチン開発を進めることも約束した。「新たに出現する感染症を防ぐために資源を投入」するという。

今後数日間で何が

中国は世界の主要経済大国としては唯一、1953年から5カ年計画を公表している。しかし5日、第14次5カ年計画(2021~2025年)については目標設定を見送った。

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習氏は全人代で自身の成功を強調するとみられる

シンガポール国立大学のイアン・チョン教授はBBCに対し、全人代では「新型ウイルスへの対応における中国の成功」について大きく取り上げられる可能性が高いと述べた。

中国国内ではパンデミックの大部分が制御されており、国民の大半は通常の生活に戻っている。同国は昨年、主要経済大国として唯一、経済成長を遂げた。

「来年は習近平国家主席が任期満了を迎えるはずだった。そのため、習氏は自分の経歴を輝かしいものにしたいと思うだろう。(中略)その多くは習政権での成功を強調するものになると思う」と、チョン教授は述べた。

習体制での成果強調か

全人代は2018年3月、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を承認した。これにより、習氏は任期が切れる2023年以降も、国家主席の座にとどまることができるようになった。

習氏は先月に宣言した「絶対的貧困の根絶」における同国の成果も強調する可能性が高い。

また、オーストラリア国立大学のベンジャミン・ヒルマン教授はBBCの取材に対し、「習氏は2021年までに中国を『適度に裕福な社会』にすると約束していた」と指摘。

「習氏は間違いなく全人代で成功を宣言するだろう」

取材:イヴェット・タン