米フェイスブック、豪ニューズ・コープとニュース記事の対価支払いで合意

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ルーパート・マードック氏経営のニューズ・コープは、フェイスブックにニュース・コンテンツを提供し、対価を受け取ることとなった
米フェイスブックはこのほど、豪全国紙オーストラリアンなどを抱えるニューズ・コープ・オーストラリアのニュース・コンテンツの使用と、その対価を支払うことで合意した。この3年契約はニューズが15日に公表した。
オーストラリア議会は数週間前に、フェイスブックやグーグルなど大手テクノロジー企業に対し、ニュースコンテンツを提供する企業への料金支払いを義務付ける法案を可決したばかり。
ニューズ側は、オーストラリアでのフェイスブックとの契約金について明らかにしていない。同社は先月、グーグルともグローバル契約を締結している。
ニューズのロバート・トムソン最高経営責任者(CEO)は16日、フェイスブックとの合意について、「ジャーナリズムの取引条件を変化させる上での節目」になったと称賛した。
「デジタルが機能不全に陥り、ジャーナリズムが物ごいをする集団になってしまう恐れがある中、業界人は沈黙し、無気力だった。しかし(ニューズを経営する)ルーパートとラクラン・マードックは世界的な議論をリードしてきた」
「このデジタルをめぐる結末は、10年以上前から始まっていた」
アナリストたちは以前から、このメディア法はニューズのような大企業を支援するためのもので、中小のメディア企業を支援するものではないと指摘している。
豪国内の新聞発行部数の7割
ニューズを経営するルーパート・マードック氏の世界的なメディア企業は、オーストラリアの新聞事業から始まった。
オーストラリアンやデイリー・テレグラフ、ヘラルド・サンなどを手がけるニューズは、オーストラリア国内の新聞発行部数の約70%を占めている。また、news.com.auも所有している。
ほかにも、米FOXニュースをモデルとした保守系TVネットワーク、スカイ・ニュース・オーストラリアを所有している。これはフェイスブック上で最もシェアされているオーストラリアのニュースブランドとなっている。
今回の合意はオーストラリア国内のニューズの全コンテンツを対象としており、フェイスブックは相当な量のニュース・コンテンツの提供を受けることとなる。
ニューズはアメリカ国内でのニュース提供について、すでにフェイスブックと別の契約を結んでいる。これはフェイスブックのニュースタブに掲載するコンテンツに対して、フェイスブックが対価を支払うというものだが、オーストラリア国内では利用できない。
オーストラリアでの契約はニューズの全コンテンツが対象で、先の契約よりも広範な内容となっている。
どのように合意に至ったのか
広告主がフェイスブックやグーグルなどの大手インターネットプラットフォームへ流れた影響で、オーストラリアのメディアは世界中の同業他社と同様、過去10年間で収益が減少している。
ニューズは宿敵企業からの支援を受けつつ、オーストラリアでのロビー活動の陣頭指揮を執り、自社サイトのニュースコンテンツへの対価をテクノロジー企業に支払わせるよう政治家たちに働きかけた。
すると豪政府は、メディア企業とテクノロジー企業間の契約交渉を「より公平」にすることを目的とした法案を作成した。
新法では、テクノロジー大手と報道機関が支払い契約について交渉することを奨励。交渉が失敗に終わった場合、同法によって強制的に仲裁を受ける可能性がある。
グーグルとフェイスブックの両社はこのメディア交渉法に強く抵抗。フェイスブックは先月18日、オーストラリアのニュースコンテンツへのアクセスを突然遮断した。