抗体保有を示す「COVIDパスポート」、サッカー試合などで試験運用へ 英イングランド

Fans at the 2019 FA Cup final

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5月に予定されているサッカー・FAカップの決勝では、COVIDパスポートをもつ観客らが観戦する可能性がある(写真は2019年の決勝)

英イングランドで、コンサートやスポーツ観戦などの大型イベントの開催を可能にするための「COVIDステータス証明書(COVIDパスポート)」の導入が計画されている。ただ、イギリス政府は4日、同パスポートは「一時的な措置」になると述べた。

COVIDパスポートは、新型コロナウイルスのワクチン接種完了者、検査で陰性が証明された人、すでにウイルスに感染し抗体を保有している人などを登録するもの。

イギリスでは現在、スポーツ観戦やナイトクラブなどを含む大規模集会、屋内イベントの解禁に向け、換気の改善やイベントの前後の検査実施といった方策が検討されている。

政府は5月半ばまで、サッカーのFAカップや世界スヌーカー選手権といったスポーツ試合、映画館、ナイトクラブなどで一連の方策の試験運用を行うとしている。

ナイジェル・ハドルストン・スポーツ相は、試験運用は「学びの時」だと述べると共に、手続きやワクチン接種証明について決定事項はまだないと述べた。

ハドルストン氏によると、一連の試験運用の結果は5月末に首相に提出される予定。

イギリスではこれまでに3150万人以上が1回目のワクチンを接種。2回の接種が完了している人は540万人近くにのぼっている。

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COVIDパスポートは、イギリスの国民保健サービス(NHS)がシステムを構築し、アプリや書面でワクチン接種証明を表示できるようにする見通し。一方、ワクチンをまだ接種していない人については、最新の陰性証明か、過去6カ月以内に陽性となり自然免疫を獲得している旨が表示されることになる。

FAカップの決勝を観戦するにはCOVIDパスポートが必須となる。一方で、COVIDパスポート以外の方法を試すとしている場所もある。

リヴァプールのホット・ウォーター・コメディークラブは、公演の前後に客の検査を行う実験に参加する予定で、安全が証明されれば、6月21日から社会的距離を取らずに営業を再開したいとしている。

しかし、このクラブがCOVIDパスポートの試験運用に参加するという誤った情報が流れ、陰謀論者などから誹謗中傷を受けているという。

リヴァプールではこのほか、屋外の3カ所で夜間の映画上映会が開かれ、観客1000人ずつを入れた実験が行われる。

「できるだけ安全に」と首相

政府はまた、医療や倫理の専門家と協力し、ワクチンを受けられない人や、繰り返しの検査が難しい人への特別措置も検討している。

イングランドでは数週間以内にパブやレストラン、日用品以外の小売店などの営業再開も見込まれているが、こうした施設の利用にCOVIDパスポートは必要ない。

ただし関係筋によると、他者との距離を空ける施策を縮小するために、こうした店舗でも証明書を導入する可能性は否定されていないという。

ボリス・ジョンソン首相は、政府は「できるだけ安全に」イベントや旅行を再開できるよう最善を尽くしていると話した。

また、COVIDパスポートの検討を主導しているマイケル・ゴーヴ内閣府担当閣外相は、海外旅行にこの証明書は「不可欠だ」と説明。日曜紙サンデー・テレグラフの寄稿では、国内経済の再開を早める「価値ある助け」になると話した。

反対派は差別助長を懸念

ジョンソン首相は5日にも、海外旅行の規制緩和計画を発表する予定。イギリスは少なくとも5月17日までは海外旅行を禁止しているが、それ以降は渡航先のリスクに合わせた「信号」システムが導入される見込みだ。

一方、COVIDパスポートが「差別的で逆効果を招く」恐れがあると懸念する声もある。これまでに40人以上の保守党議員や、個人情報保護の活動家などが声をあげた。

また、現在は無所属のジェレミー・コービン前労働党党首や、保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首なども、反対派に名を連ねている。