ミャンマーのミスコン代表、ステージで国軍に抗議

Han Lay

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ハンレイさんのスピーチは世界中のメディアに取り上げられた

タイで開かれたコンテスト「ミス・グランド・インターナショナル2020」で、ミャンマー代表の女性が発したスピーチが大きく注目された。

「私の国ミャンマーではいま(中略)とても多くの人の命が奪われています」

ミャンマー代表のハンレイさん(22)は先月27日、同コンテスト会場の壇上から訴えかけた。

「ミャンマーを助けてください。あなたの国からの支援が今すぐ、どうしても必要なんです」

1カ月ほど前、ハンレイさんはミャンマーの最大都市ヤンゴンの路上で、クーデターで権力を握った国軍に抗議する1人だった。

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タイに移動する前に抗議デモに参加していたハンレイさん(中央)

ヤンゴン大学で心理学を学ぶハンレイさんは、国際コンテストのステージから自国の状況について語りかけることを決心したという。

「ミャンマーではジャーナリストたちが拘束されています(中略)それで私も声を上げようと決めました」。現在バンコクにいるハンレイさんは、BBCの電話取材にそう話した。

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コンテストでの2分間のスピーチは、ミャンマー国軍の注意も引き寄せた可能性がある。そのため少なくとも3カ月間は、隣国タイにとどまるつもりだという。

ただ、そのことは覚悟の上だったと、ハンレイさんは言う。

「軍とミャンマーの状況についてたくさん話したので、家族と私の身の安全をとても心配しています。ミャンマーでは何をどこまで話していいのか限度があることを、みんなわかっています」

「友人たちからは、ミャンマーに戻るなと言われています」

ハンレイさんの懸念はもっともだ。ミャンマー治安当局は先週、著名人18人、ソーシャルメディアのインフルエンサー(大きな影響力をもつ人)、ジャーナリスト2人に対し、軍の規律を乱す発信を禁じた法律に違反するとして逮捕状を出した。全員、クーデターに抗議する発言をしていた。

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ハンレイさんは国際コンテストのステージを利用し、ミャンマー国軍を非難するメッセージを発した

今のところ、国軍などの当局からハンレイさんに接触はないという。ただ、ソーシャルメディアには、彼女を脅迫するような言葉が投稿されていると、ハンレイさんは話す。

「ソーシャルメディアでは、ミャンマーに戻ると(中略)刑務所が待っているぞと脅されています」

こうした言葉を誰が発しているのかは不明だ。ただ、ソーシャルメディアのコメントの大部分は支援の声だという。

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学生仲間とデモに参加したハンレイさん(野球帽に青色マスクを着用)

ハンレイさんによると、クーデター発生直後に路上で一緒に抗議していた学生仲間の多くは、刑務所に入れられたという。ミャンマーの人権団体、政治囚支援協会(AAPP)は、国軍の弾圧で拘束された人は2500人を超えているとしている。

友人の1人は亡くなったと、ハンレイさんは話す。

「彼は抗議すらしていませんでした。ある晩、コーヒーを飲みにレストランに行って、誰かに撃たれたんです」

ミャンマーではインターネットが切断されているため、ハンレイさんは家族と思うように連絡が取れていない。だが、安全は確認できているという。ハンレイさんはBBCに対し、家族の住む町の名前を出さないよう要請した。

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国軍への抗議のサインとなった3本指を立てるハンレイさん

今回のようなコンテストの場で政治的な発言は避けるべきとの意見もあるが、ハンレイさんは声を上げることを自らの「義務」と感じていたと説明。国軍によるクーデターで拘束され、国家機密に関する法律違反などで起訴されたアウンサンスーチー国家顧問から「多大なインスピレーション」を得ていると話した。

ハンレイさんは大学を卒業後、旅客機の客室乗務員の訓練を受けるつもりだったが、今は迷っているという。一部からは政治の道に進むよう勧められているが、自分には向いていないと感じていると話す。

ともあれ当面は、発信を続けていく考えだ。

「これは人道に対する罪であり、だからこそ国連には早急に行動してほしい」とハンレイさんは言う。「私たちはリーダーと民主主義を取り戻したいんです」。

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