米政府、「ワクチンパスポート」導入しないと発表

A group of teenagers serving as 'Covid-19 Student Ambassadors' joined Governor Gretchen Whitmer to receive a dose of the Pfizer Covid vaccine at Ford Field during an event to promote and encourage Michigan residents to go and get their vaccines on April 6, 2021 in Detroit, Michigan

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ミシガン州デトロイトで新型ウイルスのワクチン接種を受ける若者(6日)

米ホワイトハウスは6日、新型コロナウイルスのワクチン接種完了証明書を連邦レベルでは導入しないと発表した。市民のプライバシーや人権を守るためとしている。

ワクチン接種の完了や抗体保有を証明する書類の発行については、世界中で議論が行われている。導入すれば、パンデミックとの闘いの中、安全に人々が交流できるようになると支持者は訴えている。

一方で、差別の原因になると懸念する声も上がっている。

こうした中でアメリカ政府は、「アメリカ人に証明書を持ち歩かせるようなシステムは支持しない」との考えを示した。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、同国ではこれまでに55万人以上が新型ウイルスで亡くなり、感染件数は3100万件近くに上っている。いずれも世界最多を記録している。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は記者会見で、「連邦レベルのワクチンデータベース作成」や「ワクチンを1回打った証明書の連邦レベルでの取得義務化」は行わないと話した。

「連邦政府は、アメリカ人のプライバシーや権利が守られるべきだというシンプルな考えを持っている。人々を不公平に扱うことはない」

ワクチン接種事業を加速

ジョー・バイデン米大統領は6日、ワクチン接種対象をアメリカ国内の全成人に拡大する期日を、4月19日に前倒しすると発表した。

「我々は政府をあげたアプローチを全国に拡大し、このウイルスを本当に打破するための戦時体制に入る」

他国では?

他国でも、大規模集会や旅行を安全に再開するため、COVID-19に対する免疫を持っていることを証明する、いわゆる「ワクチンパスポート」の導入が検討されている。

英イングランドでは、「COVIDステータス証明」の試験運用が、スポーツの試合などで行われる予定。ワクチン接種完了者や検査で陰性だった人、新型ウイルスに感染・回復して抗体を持っている人などが登録できる。

欧州連合(EU)でも同様の証明書の発行が検討されている。また、イスラエルではすでに、ワクチン接種完了者とCOVID-19回復者に「グリーンパス」を発行しており、ホテルやジム、劇場などへのアクセスに利用されている。

一方で世界保健機関(WHO)は、現時点では旅行の際にワクチンパスポートを必要とすることは支持しないと表明。ワクチンを接種していても他人への感染を防げるのか不透明なことや、差別への懸念を理由に挙げている。