血栓は「アストラゼネカ製ワクチンのごくまれな副反応」=欧州当局

AstraZeneca

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欧州連合(EU)の医薬品規制当局は7日、新型コロナウイルスの英アストラゼネカ製ワクチンを接種した人に異常な血栓がみられることについて、同ワクチンの非常にまれな副反応とみなすべきとの見解を示した。

欧州医薬品庁(EMA)は、EU加盟国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインで先月22日までに実施されたアストラゼネカ製ワクチンの接種約2500万件のデータを基に、血栓が発生した86件について調査していた。

その結果、同ワクチンの「接種2週間以内に、血小板の減少を伴う非常にまれな血栓が発生する可能性」があると結論づけた。

血栓のほとんどは60歳未満の女性で確認されている。だが、EMAトップのエマー・クック氏は「年齢や性別、凝固障害の既往症などの特定のリスク要因」の証拠は見つからなかったと述べた。

クック氏はまた、アストラゼネカ製ワクチンは利益がリスクを上回ると説明。「このワクチンは非常に有効なことがわかっている。重症化や入院を防ぎ、命を救っている」と付け加えた。

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アストラゼネカは血栓との因果関係について、社内の検証では確認されていないとしている。

クック氏は「これらのまれな副反応をめぐる可能性の高い説明として、このワクチンに対する免疫反応だということがある」と述べた。

イギリスでは

一方、イギリスの諮問機関は7日、血栓への懸念から、30歳未満にはアストラゼネカ製以外のワクチンを接種すべきだとした

イギリスでは3月末までに、ワクチンを接種した79人に血栓がみられ、うち19人が死亡している。

世界保健機関(WHO)のワクチン安全性に関する諮問委員会は7日、アストラゼネカ製ワクチンを接種した世界の約2億人の中で、血栓が発生したのは「非常にまれ」だと説明。同ワクチンと血栓の因果関係は「十分ありうる」ものの「確立されていない」とした。

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アストラゼネカ製ワクチンのしくみ

米ジョンズ・ホプキンス大学によると、新型ウイルスの感染者は全世界で1億3200万人以上確認されている。新型ウイルス感染症による死者は280万人を超えている。

BBCのアナ・ホリガン・ハーグ特派員は、欧州当局が不明確なメッセージを出したことで、ワクチン接種をためらう人の増加が予想されると説明。ワクチンへの信頼を回復するには、透明性と一貫性が必要だとした。

EU各国の対応

EMAは、EUの全加盟国における医薬品の監督や認可を担当する機関だ。だが、加盟国がこれまで、統一された新型ウイルス対策を取ってきたわけではない。

欧州委員会のステラ・キリアキデス保健担当委員は7日、EMAが出した見解につて、EU各国の保健相らとのオンライン会合で協議。終了後、「私たちの判断は、EMAの科学的研究と、リスクと利益に関する厳密で継続的な評価に基づくべきだ」との声明を出した。

声明はまた、「保健相たちには、人々の信頼感を増すため、協調したアプローチを取るよう要請した」とした。

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欧州諸国の1日あたりの感染者数の推移(2020年1月~2021年4月5日、出典:米ジョンズ・ホプキンス大学、各国保健当局)

しかし、ベルギーはアストラゼネカ製ワクチンについて、接種を56歳以上に限定すると発表。イタリアも、60歳以上への接種用に保存するよう奨励するとした。ただイタリアは、同ワクチンの2回目の接種を中止すべき証拠はないとした。

スペインは、アストラゼネカ製ワクチンの使用を、60~64歳に限定すると表明した。

フランスは同ワクチンについて、55歳以上に限って接種するよう勧告する。ドイツは60歳以上と優先度が高いグループに限定。ノルウェー(EUには非加盟)とデンマークは、全面的に使用を見合わせている。

ドイツはまた、アストラゼネカ製ワクチンの1回目の接種を受けた60歳未満について、2回目は別のワクチンを接種すべきだとしている。

フランス、フィンランド、ノルウェーも、同様の対応を検討する姿勢を見せている。

1回目と2回目で異なるワクチンを接種した場合の効果については、まだ研究が進められている。