英王室フィリップ殿下への追悼、各界から 99回の鐘の音や41発の礼砲も

The Queen and Prince Philip at celebrations for the Queen's 90th birthday on the Mall

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エリザベス英女王と73年以上連れ添ったエディンバラ公爵フィリップ殿下が99歳で死去し、イギリス国内をはじめ各界から追悼の言葉が相次いでいる。ロンドンのウェストミンスター寺院は9日午後6時から、殿下が生きた99年間をたたえ、1分ごとに計99回、鐘を鳴らした。10日正午からは追悼のため41発の礼砲が、国内各地で放たれた。

王室バッキンガム宮殿は9日、「女王陛下は深い悲しみとともに、愛する夫エディンバラ公フィリップ殿下の死を発表した」、「殿下は今朝、ウィンザー城で安らかに亡くなった」と公表。「世界中の人と共に王室は、(殿下の)逝去を悲しんでいる」と述べた。宮殿は半旗を掲げ、エディンバラ公爵の死去を発表する声明文を宮殿前に掲げた。

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【追悼】フィリップ殿下、軍人で夫で父親で 英女王を支えた生涯

長男のチャールズ皇太子は9日午後、ロンドン郊外のウィンザー城にいる母エリザベス女王を訪れたとみられている。また末息子のエセックス伯エドワード王子が10日午前、ウィンザー城の母エリザベス女王を訪ねた。

10日正午からはフィリップ殿下を追悼する41回の礼砲が、ロンドン、エディンバラ、ウェールズ・カーディフ、北アイルランド・ベルファスト、ジブラルタル、さらには洋上の海軍艦から放たれた。オンラインやテレビで生中継された。

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ウェールズ・カーディフ城での礼砲

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スコットランド・エディンバラ城からの礼砲

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ロンドン・タワー橋の近くのテムズ川岸からの礼砲

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フィリップ殿下に関する収録済みのBBC番組で皇太子は、父親の人生は「驚くほどの偉業」だったと述べ、「驚くほどのエネルギーで母を支えていたし、それを本当に長いこと、あれほど長いこと続けられたのは見事だった」と振り返っていた。

長女のアン王女は、殿下が「すべての人を1人の個人として扱い、それぞれに一個人として受けるべき敬意をもって接していた」と話した。

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ロンドン中心部ピカディリー・サーカスでは電光掲示板にフィリップ殿下への追悼が掲示された

慈善団体への寄付を

バッキンガム宮殿やウィンザー城の前には大勢が次々と追悼の花を手向けたものの、政府はパンデミック対策への配慮から市民に王室の居宅に集まったり追悼の品を置かないように呼びかけた。

王室は市民に、フィリップ殿下のために花束を手向ける代わりに、殿下が支援した数々の慈善団体への寄付を検討して欲しいと呼びかけた。王室の公式サイトには追悼の言葉をオンライン記帳できる芳名録ページが用意された。

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バッキンガム宮殿の前には次々と花束が置かれた

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ウィンザー城の前でも同様だった

フィリップ殿下の孫息子ハリー王子とメガン妃が運営する非営利団体アーチウェルのウエブサイトでは、殿下の「大切な思い出」をたたえ、その長年の奉仕に感謝するメッセージが掲載された。

すべての英政府庁舎は、葬儀の翌朝まで半旗を掲げる予定。

葬儀は約1週間後に行われるものと見られている。

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英王室のフィリップ殿下死去 発表と追悼の日

王室の典礼を司る紋章院は、フィリップ殿下の葬儀について、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行われると発表した。新型コロナウイルスの感染流行を受け、通例とは異なる形式になるという。

国葬とはせず、国民が別れを告げられるような遺体の公開安置もしないという。

ただし、「伝統と殿下の遺志に従って」、遺体は葬儀までウィンザー城内に安置されると、紋章院は明らかにした。

紋章院はまた、「残念ながら、一般の人には葬儀に関連するすべての行事について、参列や参加しないようお願いする」との声明を出した。

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英フィリップ殿下死去 BBCでの報道

選挙活動は一時中断

ボリス・ジョンソン首相は訃報から間もなく、官邸前で記者団を前に、「(フィリップ殿下は)数え切れないほどの若者に生きる勇気を与えた」と述べた。また、「フィリップ殿下はここイギリスと英連邦、そして世界中であらゆる世代の人に愛された」とした。

英国教会の最高指導者、カンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー氏は、フィリップ殿下について、「自分自身ではなく他人の利益を常に優先していた。そうすることで、キリスト教の奉仕精神を見事に例示していた」と述べた。

スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、フィリップ殿下の死去に「悲しんでいる」とツイッターで表明。

「個人的で心からのお悔やみ、さらにスコットランド政府とスコットランドの人々のお悔やみを、女王陛下とその家族に申し上げる」と記した。

最大野党・労働党党首のサー・キア・スターマーは、イギリスが「並外れた公の奉仕者」を失ったと述べた。また、「女王に対する並外れた献身と愛情」が特に、人々の記憶に残るだろうとした。

英議会は休会中だが、12日午後2時半から下院が追悼のため集まる予定。

スコットランドとウェールズではそれぞれ5月6日に議会選を予定しており、イングランドでも行政区や市長選が各地で行われるが、各党はフィリップ殿下の訃報を受けて選挙活動を一時中断した。

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ロンドンのローズ・クリケット場で試合前に選手やチームスタッフが黙祷(もくとう)した

各国からも追悼

英連邦に属するオーストラリアからはスコット・モリソン首相がツイッターで、殿下が「二度と見ることのない世代を体現していた」と書き、カナダのジャスティン・トルドー首相は殿下を「素晴らしい目的意識と確信」に貫かれた人だったとたたえた。

インドのナレンドラ・モディ首相は、殿下が「軍人として栄えある経歴」を築いた人だったほか、「各地の地域サービス事業の最前線」に立って働いたと振り返った。

アメリカからはジョー・バイデン大統領と妻ジルさんが、エリザベス女王と王室、さらにはイギリス国民へ「心からのお悔やみ」を伝え、フィリップ殿下が「自ら喜んでイギリスと英連邦の人たち、そして自分の家族のために自分を捧げた」人だったとしのんだ。

大統領夫妻は声明で、「(殿下の)功績は今後も生き続けます。家族を通じてだけでなく、推進した数々の慈善事業を通じて」と功績をたたえた。

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フィリップ殿下は約70年間にわたりエリザベス女王を支え続けた(2007年11月撮影)

フィリップ殿下は1921年6月10日、ギリシャのコルフ島に生まれた。

父親はギリシャ王ゲオルギオス1世の息子で、ギリシャとデンマークのアンドレオス王子。母親はバッテンベルク家のルイ王子の娘で、ヴィクトリア女王のひ孫のアリス王女。ヴィクトリア女王の子孫として、エリザベス女王とは遠縁に当たる。

英海軍の士官候補生として第2次世界大戦に従軍。地中海でイタリア艦隊との戦いに参加した。日本の降伏時には東京湾上で、英駆逐艦ウェルプに任官していた。

1947年にエリザベス王女と結婚。戦後は英護衛艦マグパイの艦長を務めた後、妻エリザベス王女が1952年に女王に即位すると共に軍務を退いた。

夫妻は4人の子どもと8人の孫、10人のひ孫に恵まれた。長男のウェールズ公チャールズ皇太子は1948年に誕生。次いでアン王女が1950年に、ヨーク公アンドリュー王子が1960年に、ウェセックス伯爵エドワード王子が1964年に生まれた。

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後のエリザベス英女王とフィリップ殿下、1947年のロイヤル・ウェディング