バイデン氏、アルメニア人大量殺害は「ジェノサイド」 米大統領の表明初めて

Armenian deportation camp along the Baghdad railway, 1915

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アメリカのジョー・バイデン大統領は24日、トルコの前身となるオスマン帝国末期の1915年に起きたアルメニア人大量殺害事件について、米大統領として初めて「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと正式に認定する声明を発表した。

バイデン氏はアルメニア人追悼記念日の24日、「我々はオスマン帝国時代のアルメニア人のジェノサイドで亡くなったすべての人の命を思い出し、こうした残虐行為が2度と起きないよう改めて取り組んでいく」との声明を発表した。

「あらゆる形の憎しみが人の心をむしばむ、その影響力を絶えず警戒していくためにも、(犠牲者を)忘れない」

バイデン氏は声明について、「責任を追及するためではなく、このようなことが2度と起こらないようにするためのもの」だと説明した。

大統領はかつて、2019年に米下院が賛成多数でアルメニア人大量殺害事件をジェノサイド認定したことを歓迎していた。

バイデン氏の声明は象徴的なもので、トルコに対する追加制裁はない。

バイデン政権関係者は記者団に対し、同政権が政権が人権問題に重点的に取り組むようになったことを受け、正式にジェノサイドという言葉を使うことを決めたと語った。

歴代の米政権は、北大西洋条約機構(NATO)同盟国のトルコとの関係悪化を懸念し、アルメニア人の大量殺害について公式声明で「ジェノサイド」という言葉は使用してこなかった。

トルコは反発

アルメニア人の大量殺害は非常にセンシティブな問題で、トルコは残虐行為があったことは認めてはいるものの、「ジェノサイド」という言葉の使用を拒否している。

トルコ外務省は声明で、「(バイデン氏の)声明を極めて強い言葉で拒否し、糾弾する」とジェノサイド認定に反発した。

さらに、ジェノサイド認定は「深い傷口を開き、(トルコとアメリカの)相互信頼と友情を損なうことになる」と警告した。

メヴリュト・チャヴシュオール外相は、トルコはアメリカの決定を「全面的に拒否」すると述べた。

「我々は、自分たちの歴史について他人から諭されることはない」と、チャヴシュオール氏はツイートした。

その後トルコ外務省はアメリカのデイヴィッド・サターフィールド駐トルコ大使を呼び、トルコ側の「強い抵抗」を伝えた。

歴代の米大統領は「ジェノサイド」使用せず

アルメニアのニコル・パシニャン首相は、バイデン氏の言葉は亡くなった人々を「追悼する」するものであり、「アメリカが再び、人権と普遍的価値を守るための揺るぎない取り組みを示した」とツイートした。

1981年、ロナルド・レーガン米大統領(当時)はホロコースト(大虐殺)に関する宣言の中で「アルメニア人に対するジェノサイド」に言及したが、それ以降の歴代大統領はこの言葉の使用を避けてきた。

バイデン氏の前任者、ドナルド・トランプ前大統領は、アルメニア人殺害をジェノサイドとは考えていないと発言。「20世紀最悪の大量残虐行為の一つ」だとしていた。

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アルメニア人大量殺害から160年となった24日、アルメニアの首都エレバンでは追悼式典が開かれた

アルメニアは1915年の大量殺害で約150万人が犠牲になったと主張。一方のトルコ側は推定約30万人が死亡したとしている。

国際ジェノサイド研究者協会(IAGS)によると、犠牲者は「100万人以上」に上るとされる。

トルコ政府は残虐行為があったことは認めているものの、キリスト教徒のアルメニア人を組織的に抹殺しようとしたわけではなく、第1次世界大戦の混乱の中でイスラム教徒のトルコ人も大勢死亡したと主張している。