感染急増のインド、州議会選で与党苦戦 モディ首相に批判も

TMC supporters celebrate their party's win in West Bengal

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西ベンガル州議会選の勝利を祝うTMC支持者たち

新型コロナウイルスの感染急増が深刻なインドで3日、西ベンガル州議会選の大勢が判明し、ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)が敗れる見通しになった。

西ベンガル州議会選は4月29日に投票を終えた。モディ首相を激しく批判するママタ・バネルジー州首相が率いる全インド草の根会議(TMC)が、定数294の州議会で200議席以上を獲得する見通し。開票がほぼすべて終わっている。

大都市コルカタがあり、人口9000万人の西ベンガル州は、モディ首相率いるBJPが与党だったことのない数少ない州の1つでもあり、今回の選挙結果は注目されていた。

インドでは4月に各地で州議会選挙が行われた。BJPは、北部アッサム州では多数議席を維持したものの、同時に行われた各地の地方選では票を伸ばすことが出来なかった。

南部タミルナドゥ州では、地元政党ドラビダ進歩同盟(DMK)が多数党になった。

南部ケララ州では左派連合が権力を維持し、BJP率いる連合は議席を獲得できなかった。

インドでは10日連続して、1日に確認される新規感染者が30万人を超えている。2日には1日に記録される死者数が3689人と、過去最多に達した。各地で病床や医療用酸素が枯渇しており、住民の多くはソーシャルメディアで必死に助けを求めている。

こうした状況で、有権者がモディ首相と政権与党にどのような審判を下すか注目されていた。

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選挙集会や投票所での混雑が感染増加につながっているという批判もある中、モディ首相や閣僚は西ベンガル州で頻繁に集会に出席し、演説を繰り返した。このため、モディ政権はパンデミック対策より選挙を重視しているという批判も出ていた。

パンデミックの影響に加え、イスラム教徒人口の多い地域ではヒンドゥー教政党のBJPが支持が伸びなかったことが、今回の選挙結果につながったという見方もある。

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ベッドと酸素が不足……インド・デリーの病院で

インドでこれまでに確認された新型コロナウイルスの感染者数は1900万人以上で、アメリカに次いで世界2位。

確認された死者数は21万5000人を超えるが、実際の被害はこれよりはるかに大きいだろうとみられている。

検査数が低く、特に農村部では大勢が自宅で亡くなっていることから、新型コロナウイルス関連と報告されない死者が多く出ているものとされる。

西ベンガル州で何が

Mamata Banerjee shows the victory sign at a news conference in Kolkata, India, on 2 May 2021

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西ベンガル州のバネルジー州首相はモディ首相を厳しく批判してきた。写真は2日、コルカタで開いた記者会見で

州議会選で圧勝した結果、バネルジー州首相は続投3期目に入る見通し。女性の州首相は現在、バネルジー氏のみ。

バネルジー氏は西ベンガル州が選挙を通じてインドを「救った」と、勝利を歓迎。新型ウイルス対策が最優先課題になると述べた。

一方で、バネルジー氏は自分自身の議席は、BJPに鞍替えした元側近に敗れている。選挙結果を争うつもりだとしているが、州首相に留まるには州議会議員の立場が必要なのではないかと言われている。

モディ首相はツイッターで、バネルジー氏の勝利を祝うと共に、「(西ベンガル州で)これまでごく小さい存在に過ぎなかったBJPは、大いに存在感を高めた」と書いた。