パレスチナからエルサレムにロケット弾 イスラエル軍は空爆で対抗

The Israeli military conducted air strikes in the Gaza Strip, 10 May 2021

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イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザに空爆を行った

イスラエルで10日、パレスチナ自治区ガザからエルサレムに向かってロケット弾が発射された。これを受けてイスラエルは、ガザ地区に空爆を行った。

イスラム組織ハマスが占領するガザ地区の保健省は、イスラエルによる空爆で子供を含む20人が死亡したと発表した。イスラエルはこの空爆で、ハマスの戦闘員を少なくとも3人殺したとしている。

一方エルサレムでは、ロケット弾の発射に伴い警報が鳴り、議会にいた議員らが避難する騒ぎとなった。

エルサレムでは7日から連日、パレスチナ人とイスラエル警察との衝突が続いている。ハマスの指導者は10日、イスラエル警察との衝突で数百人のパレスチナ人が負傷したことを受け、攻撃すると警告していた。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスが「一線を越えた」と述べ、イスラエルは「大きな武力」で反撃すると話した。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、ハマスに「今すぐに」攻撃をやめるよう呼びかけた一方、「全ての勢力が抑制するべきだ」と述べた。

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10日には、ガザ地区からエルサレムに向けてロケット弾が発射された

イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領し、エルサレム全体を国の首都としている。しかし、国際社会の大半がこれを認めていない。

一方のパレスチナ自治政府は、東エルサレムが、将来建設する国家の首都になるとしている。

近年では、イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で、イスラエル人入植者がパレスチナ人の住人に立ち退きを迫っていることから、双方の緊張が高まっている。

イスラエルの最高裁は10日にも、このシェイク・ジャラー地区の立ち退きの是非について判断を示す予定だったが、一連の衝突を受けて延期された。

10日夜には、エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地「アルアクサ・モスク」などでイスラエル治安当局とパレスチナ人が衝突し、300人以上のパレスチナ人が負傷した。

また、イスラエル北部のハイファや、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のラマラでも衝突があった。

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アルアクサ・モスクでは石を投げるパレスチナ人に対し、警察は閃光(せんこう)弾やゴム弾、催涙ガスなどを使用した

この日は、1967年にイスラエルが東エルサレムを併合した記念日「エルサレムの日」として、イスラエルの国家主義者による行進が計画されていたが、さらに混乱を招くとして中止となった。

この行進では、イスラエルの若者が国旗を掲げ、愛国的な歌を歌いながら、旧市街のダマスカス門を通りムスリム地区を行進する予定だった。

同記念日は、多くのパレスチナ人にとって故意の挑発行為と見なされている。今年の行進はさらに、イスラムの断食月(ラマダン)の終わりと重なる予定だった。

アルアクサ・モスクの衝突

アルアクサ・モスクはイスラム教で3番目に重要な聖地のひとつ。一方、ユダヤ教徒にとっては第一の聖地「神殿の丘」にあたる。

イスラエル警察は、数千人のパレスチナ人がエルサレムの日の行進に対抗しようと9日夜からモスクに立てこもり、石や火炎ビンを準備していたと話している。

また、10日朝に交番が投石などで攻撃されたため、「デモ解散の方法を使って暴徒を鎮圧」するためにモスクに突入したと述べた。

その後1時間にわたり、警察は閃光(せんこう)弾やゴム弾、催涙ガスなどを使用。パレスチナ人は石などを投げて応戦した。

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アルアクサ・モスクで武器を構えるイスラエル警察

パレスチナ赤新月社(赤十字に相当)は、この衝突で305人のパレスチナ人が負傷し、うち228人が病院に運ばれたと発表。7人が重体だとした。

一方イスラエル警察は、警官21人がけがをし、3人が病院で手当てを受けていると述べた。

ネタニヤフ首相は警察を擁護し、「これは寛容と不寛容、秩序と無法な暴力の戦いだ」と話した。

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パレスチナ赤新月社によると、この衝突で300人超のパレスチナ人が負傷した

一方で、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、イスラエルの動きを非難。「イスラエル占領軍が聖なるアルアクサ・モスクとその敷地に荒々しくなだれ込み、信徒を攻撃した。これは国際社会に対する新たな挑戦だ」と語った。

エルサレムのイスラム教とキリスト教の聖地を管理するヨルダン国王アブドラ2世も、「イスラエルによる違反行為と、聖なるアルアクサ・モスクでの過激な行動」を批判した。

ヨルダンは、1948年の中東戦争でヨルダン川西岸と東エルサレムを占領し、聖地の守護者となった。1967年にこれらの土地がイスラエルのものになった後も、その地位を維持している。

また、中東和平交渉にかかわるアメリカ、欧州連合、ロシア、国連のいわゆる「カルテット」も、「深い懸念」を示している。