ガザ地区に救援物資届く 停戦合意は維持され

Palestinian girls stand at the rubble of their destroyed house in Gaza

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ガザ地区では多くのパレスチナ人の自宅が空爆で破壊された

11日間の激しい戦闘を経て停戦状態に入ったパレスチナ自治区ガザ地区に21日、人道支援物資が届き始めた。イスラエルがケレム・シャローム検問所を開いたため、国連関係を含む様々な援助団体が、枯渇していた医薬品や食料、燃料などをガザ地区に運び込んだ。

エジプトの提案した「相互かつ無条件の」停戦を、イスラエル政府とガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが受け入れたことを受け、ガザから避難していた多くのパレスチナ人が戻り始めている。しかし、地元当局はイスラエル軍の空爆で破壊された地域の再建には数年かかるかもしれないとしている。

世界保健機関(WHO)のマーガレット・ハリス報道官は、数万人の負傷者を前にガザ地区の医療施設が逼迫(ひっぱく)する恐れがあるとして、医薬品や医療スタッフを直ちに現地に送り込む必要があると述べた。

11日間の紛争では、250人以上が死亡。イスラエルとハマスの双方が勝利を宣言した。

ハマスによるロケット弾攻撃を受けていたイスラエル南部では、住民が停戦合意を歓迎したものの、紛争再燃は時間の問題だと多くの人が懸念を示した。

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紛争では10万人以上がガザ地区から避難を余儀なくされた。国連児童基金(ユニセフ)によると、ガザ地区では80万人近くが水道水を使えない状態という。

ジョー・バイデン米大統領は20日、「パレスチナ人とイスラエル人は平等に、安全に暮らす資格がある」と停戦合意を歓迎。続く21日には、中東和平問題の解決には「2国家共存」案が唯一の方法だと発言し、イスラエル国家が存続する権利を中東諸国が無条件に認めなければ、和平はあり得ないと述べた。さらに、ガザ地区再建の国際的支援活動をアメリカとして取りまとめると話した。

破壊された自宅に戻り

ガザ地区に住む人たちは以前から、貧困に加え、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)に苦しんでいた。イスラエルとエジプト両政府は長年、ハマスによる武器の入手制限を理由に、ガザ地区への人やモノの流入を厳しく制限してきた。

イスラエルによる今回の空爆で破壊された家屋やインフラを再建するには数千万ドルが必要になるとパレスチナ当局者は話している。ガザ地区の住宅当局によると20日の時点で、住宅1000棟が破壊され、1800棟が使用不能の状態になっていた。

赤十字国際委員会(ICRC)のファブリツィオ・カルボーニ中東事業局長は、「2週間足らずの間に行われた破壊を再建するには、数年もしくは数十年かかる」と話した。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は優先課題として、ガザ地区で家を失った数万人を特定し支援する必要があるとして、3800万ドルの緊急支援を求めていると明らかにした。

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人道支援物資を積んだトラックがケレム・シャローム検問所を通過してガザ地区に入った(21日)

ベイト・ハヌーンに近い2階建ての自宅が攻撃で全壊したというサミラ・アブダラ・ナセルさんは、「自宅に戻ったものの、座るところもない。水も電気もベッドもない。何もない。完全に破壊された自宅に戻った」とロイター通信に話した。

別の住人アズハル・ナサイルさんはAP通信に対して、「これほどとてつもない破壊を目にしたのは、初めて」だと話した。

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ガザ地区に戻った住民たちは破壊された家屋を目にした

イスラエル軍とパレスチナ武装勢力の戦闘は5月10日に始まった。イスラエルとパレスチナの緊張関係は数週間前から高まり、エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地「アルアクサ・モスク」などでイスラエル治安当局とパレスチナ人が衝突し、20人以上のパレスチナ人が負傷したのを機に、本格的な戦闘が再開した。

自治区の保健当局によると、11日間の戦闘で、ガザ地区では少なくとも248人が死亡。100人以上の女性や子供が含まれるという。イスラエル政府は、少なくとも225人の戦闘員を死亡させたと発表している。ハマス側は、戦闘員の死者数を発表していない。

イスラエル側では、医療当局によると、子供2人とイスラエル兵1人を含む13人が死亡したという。

イスラエルではシェルターの外に

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防空壕から出てきたイスラエルの人たち(21日、イスラエル・アシュケロン)

戦闘の間、イスラエル南部では多くの住民が防空壕(ぼうくうごう)に避難していたが、停戦合意が維持される中、大勢が外に出ている。非常事態の行動制限は解除され、全ての学校は23日に再開の予定。

イスラエル軍によると、ハマスはロケット弾を4300発以上、イスラエル南部のアシュケロンなどへ打ち込んだ。その9割は防空システムに迎撃されたものの、着弾したロケット弾で家屋やシナゴーグ(ユダヤ教集会所)などの建物が破壊された。

アシュケロン市ではタミー・ザミールさんがロイター通信に、紛争が終わったのは嬉しいが「辞退は確実にまた悪化する」と話した。

近隣アシュドッド市ではダン・キリさん(25)が、イスラエル軍はハマスへの攻撃を続けるべきだと言い、「ガザで次の作戦が始まるのは時間の問題だ」と述べた。