米政府、日本への渡航中止を勧告 東京五輪迫る中

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日本の医療制度は新型ウイルス感染症COVID-19への対応に苦慮している

米国務省は24日、日本での新型コロナウイルス感染者の急増を受け、日本に対する渡航警戒レベルを4段階で最も厳しい「渡航中止の勧告」に引き上げた。日本は約2カ月後に東京オリンピック・パラリンピックを控えている。

米疾病対策センター(CDC)は日本への「すべての渡航を避けるべき」だとし、「日本の現状を踏まえると、ワクチン接種を完了した旅行者でも変異種に感染したり、それを広めたりする危険性がある」と警告した。

世界的なパンデミックを主な理由として、アメリカは現在151カ国を渡航警戒レベル4に指定している。それらには、大規模なスポーツイベントが特別な制限の下で実施されている欧州のほとんどの国も含まれている。

米政府が国民に対して日本への渡航を控えるよう勧告した一方、米五輪関係者は選手たちが東京五輪に安全に参加できると確信しているとしている。

日本はこれまで新型ウイルス感染症COVID-19の感染者数が少なかったが、現在は増加傾向にあり、一部の都市では医療制度が限界に達している。累計感染者数は70万人以上で、死者数は1万2000人を超えている。

同国はすでに、ほとんどの旅行客やビジネス客の入国を禁止している。入国禁止措置の対象にはアメリカからの渡航者も含まれており、「特段の事情がない限り、上陸を拒否する」としている。

また、現在は多くの自治体が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となっている。

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東京五輪への影響は

日本が危機的状況に陥る中、昨年から1年延期となった東京五輪は7月23日に開幕する予定となっている。

しかし日本では、五輪の中止や2度目の延期を求める声が大勢を占めている。国際オリンピック委員会(IOC)は中止や再延期はないとしている。

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日本では今夏の東京五輪中止を求める声が高まっている。写真は五輪中止を訴えるボードを掲げる男性

米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は渡航中止の勧告について、五輪参加への影響はないとした。

「USOPCと東京(オリンピック・パラリンピック)大会組織委員会の双方が選手とスタッフに対して行っている現在の緩和策と、渡航前と日本到着時、そして大会期間中のウイルス検査の実施により、今夏の米五輪代表選手団の安全な参加が可能になると確信している」と、USOPCは声明で述べた。

日本政府は25日、アメリカの渡航中止勧告について、影響はないとの見方を示した。

加藤勝信官房長官は、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現するとの日本政府の決意を支持するという米国の立場にはなんら変更はないと考えている」と述べた。

東京五輪は海外からの観客を入れずに実施されることが決まっている。日本政府は、感染状況が悪化した場合に無観客開催とする可能性も排除していない。

ほかの先進国に比べてワクチン接種が遅れている日本では24日、東京と大阪で大規模接種が始まった。東京と大阪はいずれも、感染拡大によって特に甚大な影響を受けている。

ワクチン接種完了者は日本の全人口の約1.9%にとどまっている。当局は7月末までに少なくとも65歳以上の接種を完了したい考えだ。

<解説>日本国民はアメリカの「渡航中止勧告」に期待――ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBCニュース東京特派員

日本では多くの人が、CDCが米国民に日本への渡航を控えるよう警告したことが、東京五輪からの米五輪代表団の撤退につながることを望んでいるだろう。

その理由は、日本のほとんどの人が東京五輪の中止を望んでおり、米代表団が撤退すればほぼ確実に日本政府は五輪の中止を迫られるからだ。

この数週間、外部からの圧力がなければ日本は五輪を中止しないだろう、といった声が日本では出ている。日本語にはそうした圧力を指す「外圧」という言葉すらある。

ただ、中止を望む人たちは失望することになりそうだ。USOPCは五輪参加について、計画を変更しないと言っているし、IOCも同様の方針だ。

先週金曜日(21日)、IOCのジョン・コーツ副会長は「たとえ東京が緊急事態宣言下でも」五輪は開催されると発言した。

彼の発言を好意的に受け止めた人は少なかった。1日あたりの死者数がパンデミック開始以降で最も高い水準で推移し、西日本の一部地域では医療制度が「崩壊寸前」と言われている中では当然だろう。