東京五輪は「100%」開催、ただ「無観客も覚悟」 橋本会長BBCインタビュー
橋本会長BBCインタビュー 東京五輪は「100%」開催だが「無観客も覚悟」
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長はBBCのインタビューで、大会の開催は「100%」確実だと述べた。ただ、新型コロナウイルスの感染が急拡大した場合の観客なしでの実施を「覚悟しておかなくてはならない」とした。
東京大会は1年の延期を経て、7月23日に開幕する。開会式まで50日に迫っている。
日本では新型ウイルスの感染拡大が続いている。10都道府県では緊急事態宣言が発令中だ。
橋本氏はBBCスポーツのローラ・スコット記者のインタビューに、「大会の開催の確率は100%です」と言い切った。
「そしてそのために何をすべきかが、最重要課題だと思っています。国内でのワクチンの接種、あるいは感染の収束についてなかなか先が見えないというような、国民のみなさんの不安や不満といったものから、開催に反対の意見が多いというのも現在、事実です」
「問題は人流というものを極力抑制するためには、観客をどうするかということになっていくんだろうと思います。緊急的な大変な事態が生じた場合には、観客については無観客というのも、いま覚悟していなくてはいけないと想定しています」
「完全なバブルを作りながら、安心安全の空間を海外のみなさんに提供し、そして国内の受け入れ態勢も万全にしていくということで、いま(準備を)行っています」
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オリンピックと8月24日開幕のパラリンピックでは、海外からの観客を受け入れないことが決まっている。
日本では4月に始まった感染の第4波が続いており、一部地域では緊急事態宣言などの制限措置が今月20日まで続く。
ワクチン接種は日本では2月に始まった。ほとんどの先進国より遅く、これまでに接種を終えたのは人口の約3%だけだ。
橋本氏は、海外からの観客の受け入れを断念したのは「苦渋の決断だった」が、安心安全な大会のためには仕方ないことだと述べた。
「一生に一度かもしれないというオリンピック・パラリンピックの出場に対して、そばで応援し支えてくださった家族のみなさんも来たかったと思いますが、お断りせざるを得ないというのは本当に苦しかったです」
出身国によっては選手が参加できない可能性については、橋本氏は「入国については(日本)政府が決定することになる」とした上で、こう述べた。
「来られない場合の国の対応などについては、政府の基準と同時にIOC(国際オリンピック委員会)の見解、IPC(国際パラリンピック委員会)の見解が重要だと思っています」
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橋本氏の会長就任の影響
橋本氏は2月に大会組織委の会長を、性差別発言で引責辞任した森喜朗前会長から引き継いだ。
会長就任前は五輪担当相だった橋本氏は、スピードスケートと自転車で計7回のオリンピック出場経験がある。
「本当にこのまま頑張っていても、オリンピック・パラリンピックが開催できなかったら今までやってきたことはどうなるんだろうかという風に不安に思っている選手も、多くいるのではないかと思っていました」と橋本氏は話した。
「その中で直接の声をアスリートのみなさんに直接お届けするのが一番重要だと思っていまして、オリンピック委員会、国内のアスリート委員会、そして世界のアスリート委員会のみなさんに、できるだけ私自身の直接の声を伝えていただこうとお願いをしてきております」
森前会長は2月、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言した。
森氏はその後、「不適切」な発言だったとして謝罪した。
橋本氏は会長に就任後、東京大会のレガシー(遺産)として、ジェンダーや障害、人種、性的指向に関係なく人々を受け入れる社会を挙げた。
「日本ではまだまだアンコンシャス・バイアスといいますか、男女の役割分担、性別分担意識が非常に根強くある社会ですから、非常に難しいところがありました」と橋本氏は話した。
「ただ、前会長のジェンダー発言によりまして、ある意味で組織委員会の中を改革しようという大きな転換点でもあったということで、非常に前に進んだのではないかと感じています」
「非常に注目されたときに、非常に大きな組織のトップに女性がなるということだけでも、大きなインパクトが日本の社会にあります」

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橋本会長
「全力ですべてやり抜く」
オリンピック開幕まで50日となり、外国の選手団が初めて今週来日した。
日本の最近の世論調査では、70%近くがオリンピックの開催を望んでいないとの結果が出た。政府の新型ウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は2日、パンデミック中のオリンピック開催について「普通はない」と述べた。
だが、東京大会の開催に反対を表明した主要国はこれまでのところない。イギリスも全選手を日本に送る方針だ。
「開催には自信があります」と橋本氏は言った。
「改善の余地がないのか、短時間ではあると思いますけれどもやるべきことは全力ですべてやり抜いて、大会の開催に向けて努力していきたいと思っています」
「世界がまた大変なパンデミック状態になったときにまで、何があっても(開催)ということかというと、私はそうではないと思います。どの国も日本に来られない状況になってしまうというようなことが想定された場合は、当然、大会は成り立っていかないと思っておりますので、どういう状況かということを考えた中で見極めていかないといけないと思っています」