EU、気候変動対策計画を発表 2050年までにカーボンニュートラル

Wind turbines are seen near the coal-fired power station Neurath, Germany

画像提供, AFP

欧州連合(EU)は14日、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量と除去量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」を達成するための一連の計画を発表した。

航空燃料への課税や、20年以内にガソリンおよびディーゼル車の販売を禁止するなど、十数件にわたる施策案が盛り込まれている。この計画は、EU議会で加盟27カ国の承認が必要となる。

しかし、その交渉には数年かかるとの見通しもある。

欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「今から行動すれば、我々には別の選択肢ができ、(中略)将来のためにより良い、健康的で発展性のある道筋を選べる」と述べた。

「これは我々の世代だけでなく、子どもたちや孫たちの世代のウェルビーイングを確保するための(中略)我々の世代の仕事だ。ヨーロッパはその道をたどる準備ができている」

業界や東欧などが反対か

一連の施策により、EU域内では家庭の暖房費が上がる可能性があるほか、飛行機での移動コストも上昇する見込み。住宅に断熱材を入れるなど長期的な変更が必要になる場合は、金融支援が受けられるという。

欧州委で気候変動政策を統括するフランス・ティメルマンス副委員長は、「これから市民にたくさんのお願いをすることになる」と述べた。

「同じように、産業界にも。しかしそれは良い行いのためだ。人類に闘うチャンスを与えるためにやっている」

この計画については、航空業界や自動車業界のほか、石炭に依存している東欧の加盟国からも反対の声があがると予想されている。

あるEU外交官はロイター通信の取材で、計画が成功するには、現実性と社会的な公平性を保ちつつ、経済を不安定にさせないことが肝要だと話した。

「この計画は経済を新しいレベルに引き上げることで、経済を止めることではない」

計画の内容は

「Fit for 55」と名付けられた一連の施策は、EUの気候変動対策として最も野心的な計画とされる。2030年までに排出レベルを1990年の水準から55%下げることを目的としている。

2019年までに、EUは24%の削減を達成している。

「Fit for 55」の主要な提案は以下の通り。

  • 自動車の排出量制限を強化する。これにより、2035年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売は実質的に禁止される見込み
  • 航空燃料に課税するとともに、低炭素の代替燃料を使用した場合には10年間の免税措置を実施
  • EU域外からの鉄鋼やコンクリートなどの輸入について、いわゆる「国境炭素税」の導入
  • EU域内の再生可能エネルギーの拡大目標の強化
  • エネルギー効率の悪い建物の改修を迅速化するよう、加盟各国に要求

ロビー団体「BusinessEurope」はこの計画について、鉄鋼やセメント、アルミ、肥料や電気といった産業に対する投資見通しを不安定化する大きなリスクがある」と批判した。

また、国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ会長は、「航空業界はグローバル産業として脱炭素化に努めてきた。こうした変化の動機付けのために課税のような罰則的な施策は必要ない」と述べた。

活動家からは不十分と批判

一方で環境保護活動家からは、一連の提案が十分ではないとの意見も出ている。

グリーンピースEUのジョルゴ・リス会長は声明で、「このような政策をたたえることは、走り高跳び選手がバーの下を走ってメダルを要求するようなものだ」と述べた。

「計画の目標はあまりに低すぎるし、科学に立ち向かっていないし、地球の命を守るシステムの破壊を止めることはできない」

気候変動活動家のグレタ・トゥーンベリ氏も、EUがこの計画を「破り捨てない限り、地球温暖化を1.5度以下に抑える機会を逃してしまう」と指摘した。

EUは昨年9月、2030年までに排出量を55%削減するための草案を発表し、EUの長期予算1兆8000億ユーロ(約230兆円)の少なくとも30%を気候変動対策に投じると表明している。

この目標は、CO2排出をはじめとする大気汚染を削減することで気候変動に立ち向かう世界的な取り組みの一環。

2015年に採択された温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、地球温暖化による気温上昇を2度以下、可能であれば1.5度以下に抑えることをうたっている。