英イングランド、ロックダウン政策の大半を解除 感染は増加傾向

Shoppers in Windsor

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英イングランドで19日から、新型コロナウイルス流行に伴う法的規制の大半が解除された。集会やイベントの参加人数制限が撤廃されるほか、ナイトクラブも営業を再開した。また、パブやレストランでの屋内の座席制限もなくなった。

マスク着用も一部では推奨されるが、法的拘束力はない。

イギリスでは現在、デルタ株による感染が拡大している。政府統計によるとイギリスでは18日、1日の感染者が4万8161人になった。検査で陽性が判明してから28日以内の死者は25人だった。16日と17日には、1月半ば以降で初めて、感染者がそれぞれ5万人を超えた。

多くの専門家は、夏の間に1日の感染者が20万人に達する可能性もあると警告している。

一方、イギリスでは成人の約88%が1回目のワクチン接種を受けており、2回の接種を完了した人は成人の68.3%に上る。COVID-19による入院患者や重症患者、死者などの数はこれまでの流行の波に比べて低くなっているとみられる。

こうした中、サジド・ジャヴィド保健相は17日夜に新型ウイルスに感染したと発表。18日にはボリス・ジョンソン首相とリシ・スーナク財務相が濃厚接触者に認定され、1週間の自主隔離に入った。首相官邸は当初、2人は毎日検査を受ける試験プログラムに参加するため自主隔離はしないと述べていたが、野党やソーシャルメディアなどから「彼らと我々ではルールが違うのか」と批判が集中したため、間もなく隔離に方針転換した。

ジョンソン首相はその後、試験プログラムへの参加を「一瞬だけ」考えたと話した。

18日午後にツイッターに掲載した動画でジョンソン首相は、イングランドのロックダウン緩和計画を最終段階に進める「最適な時期だ」と述べた。

「今やらなければ、いつできるんだと自問自答することになる」とジョンソン首相は話した上で、新型ウイルスは秋から冬にかけての「寒い気候に有利になるだろう」と語った。

「しかし、ロックダウン緩和は慎重にやらなければならない。ウイルスが残念ながらまだ出回っていることを、念頭に置く必要がある。感染者は増えている。デルタ株の感染力は非常に強い」

画像説明,

19日午前0時のナイトクラブ営業再開を前に、クラブ前には行列ができた

イングランドでのロックダウン緩和の概要は以下の通り。

  • 集会の人数上限は撤廃されるが、できるだけ屋外で会うよう推奨される
  • 現在、在宅勤務中の人も、徐々にオフィスに戻ることが推奨される
  • ナイトクラブは営業を再開する。劇場や映画館では収容人数制限がなくなる
  • 企業や大型イベントは、ワクチン接種証明や陰性証明などを利用するよう推奨される
  • 交通機関などの公共空間では顔を覆うことが推奨される
  • 社会的距離を保つ施策は義務ではなくなる

ナイトクラブの営業や大型イベントについては、国民保健サービス(NHS)が提供する「COVID PASS」で顧客がワクチン接種を完了しているかを確認するよう推奨される。

また、濃厚接触者の追跡や自主隔離要請なども継続される。

海外旅行については、感染リスクが比較的低い「黄色(アンバー)」に指定された国への渡航勧告を解除した。今後は対象国から帰国しても、ワクチン接種を完了していれば10日間の隔離は必要ない。

ただし、ベータ株の流行が懸念されているフランスからイングランドとスコットランド、ウェールズに帰国した市民は隔離が必要となる。

スコットランドでは19日から、パブやレストランが深夜まで営業できるようになった。一方、屋外での集会の制限は続くほか、オフィス勤務への復帰も遅れ、マスク着用も義務のままとなる。

ウェールズでは8月7日に、北アルランドでは7月26日にロックダウンが緩和される予定。

1日20万人が感染する可能性も

こうした中、全国的なロックダウンを最初に提唱したニール・ファーガソン教授はBBCの番組で、1日に20万人が感染し、2000人が入院する事態になる可能性もあると懸念を表明した。

BBC番組「アンドリュー・マー・ショウ」に出演したファーガソン教授は、この波のピークは8月から9月中旬にかけて来るだろうと述べた。

イングランドとウェールズで、NHSのCOVID-19検査・追跡アプリから自主隔離するよう通知を受け取った人は、7月第1週だけで、50万人以上に上った。スーパーマーケット各社は、自主隔離で欠勤する従業員が相次いでいるため、営業時間の短縮や臨時休業を余儀なくされる可能性があると述べている。

また同じ週には、生徒84万人が自主隔離のため学校を休んだ。

検査・追跡アプリで濃厚接触者に指定されると、10日間の自主隔離が推奨される。一方、NHSから直接テキストメッセージや電子メール、電話などで連絡があった場合は、自主隔離を行わないと罰金を科せられる。

自主隔離によって従業員不足が懸念される中、イギリス政府は医療の最前線で働くNHS職員について、ワクチン接種が終わっていれば、連絡が来ても働き続けられると発表している。

さらに8月16日からは、ワクチン接種が完了している人は濃厚接触者に指定されても自主隔離をする必要がなくなる。ただし、検査で陽性となったり症状があらわれた場合にはこの限りではない。

野党は「無謀」と批判

最大野党・労働党のジョナサン・アシュワース影の保健相は、19日にロックダウンを緩和するのは「無謀」だと指摘。「労働党はマスク着用を続け、在宅勤務を続けるよう言っている(中略)経済活動は再開するべきだが、その場合には感染拡大を緩やかにするためにさまざまな予防措置を施すだろう」と述べた。

超党派の「議会コロナウイルス対策グループ」のレイラ・モラン議員(自由民主党)は、ウイルスが「増加」している中で多くの制限を取り払うことで、政府は「火に油を注いでる」と批判した。

「すでに企業活動が妨げられ、病院が圧迫されている。命と生活、どちらが大切かを競わせるのは常に間違っている」