【東京五輪】 異例の大会が開幕 大坂なおみ選手が聖火点灯

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東京オリンピックが23日、開幕した。午後8時からは、新国立競技場(東京都新宿区)で開会式が開かれた。新型コロナウイルスの影響で、観客席に一般客を入れない異例の式典となった。

東京オリンピックには、207の国・地域の選手約1万1300人が参加する。8月8日までの17日間、33競技339種目でメダル争いが繰り広げられる。

パンデミックの影響を表現

選手入場前のショーでは、新型ウイルスとの闘いがテーマの1つとなった。

ステージには、ボクシングで東京五輪出場を目指したものの、感染拡大により予選大会が開かれず、可能性が断たれた看護師の津端ありさ選手が登場。黙々とランニングマシン上で走り続けるなどし、パンデミックの影響を受けたアスリートの胸の内を表現した。

その後、阪神大震災で被災した経験のある俳優でダンサーの森山未來氏が、死者にささげるダンスを披露。パンデミックの犠牲者や過去に大会で命を落とした五輪関係者、特に1972年ミュンヘン五輪で武装集団に殺害されたイスラエル代表選手やコーチたちのため、会場全体で黙とうをささげた。

続いて、伝統的な大工や「鳶(とび)」、火消しの装束の人たちが「木遣り(きやり)」の音楽と共に登場した。大勢が様々に踊りながら、輪を作る「作業」を表現。1964年東京五輪の選手たちが当時持ち寄った種から育った木の間伐材で作ったとされる木製の輪が運び込まれ、「五輪」を形成する演出などがあった。

開会式の最中、国立競技場の外には、緊急事態宣言が発令中にもかかわらず数百人が集まった。地元開催の雰囲気を楽しみたいとやって来た都民らがいた一方、「オリンピックをやめろ」などと抗議の声を上げた人たちもいた。

あいうえお順で入場

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伝統にならい、ギリシャが最初に入場した

選手入場では、オリンピック発祥国ギリシャの選手団と難民選手団がまず入場。続いて、各国の選手団が行進した。順番は通例、開催国の言語表記に従うため、今大会は「あいうえお順」で入場した。

イギリス代表チームは「英国」としての順番で入場した。

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イギリスは「英国」の順番で入場

感染防止対策のため、国と国との間隔がこれまでの大会より広く取られた。国よっては開会式への参加選手を大幅に削減。イギリスは選手375人のうち20人ほどしか姿を見せなかった。

選手たちは全員マスクを着用し、互いに距離を取って歩く国もあった。一方、選手たちが密になっている国や、歓声を上げながら歩く国も。日本のメディアによると、行進を終えた選手たちがグラウンド内で記念撮影を続け、密への懸念から退出を求められる場面もあった。

各国の旗手は初めて、原則として男女2人が一緒に務めた。入場時の楽曲には、「ドランゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」など、日本の有名ゲームのテーマ曲を使用。国名のプラカードには、漫画の技法の「吹き出し」と「集中線」がデザインされた。

6万8000人収容のスタンドでは、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長や関係者、大会組織委員会関係者、天皇陛下、菅義偉首相ら約950人が観覧。フランスのエマニュエル・マクロン大統領やアメリカのジョー・バイデン大統領の妻ジル氏ら、外国の要人約20人らも出席した。

約2時間続いた選手入場は終盤、2028年ロサンゼルス大会の開催国アメリカと、2024年パリ大会を開くフランスが入場。最後に、レスリング女子の須崎優衣選手とバスケットボール男子の八村塁選手が旗手を務めた日本選手団が行進した。

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アメリカ代表チームは次の次の夏季大会開催国として終盤に入場

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フランスは次回夏季大会開催国としてアメリカに続いて入場

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今大会の開催国・日本が最後に入場した

最終走者は大坂なおみ選手

選手入場が終わると、日本選手団主将の陸上の山縣亮太選手と、副主将の卓球の石川佳純選手、指導者、審判の代表ら計6人で宣誓をした。

続いて、大会組織委の橋本聖子会長があいさつ。「困難な中でも決して立ち止まらず、前を向いて努力を続ける姿に私たちは励まされる」、「いまこそアスリートとスポーツの力を見せるときだ。その力こそが人々に希望を取り戻し、世界を1つにできると信じている。世界はみなさんを待っている」と呼びかけた。

IOCのバッハ会長もスピーチし、「想像していたものとは違うが、ようやくここに集うことができた」とし、「開催できるのは日本のみなさまのおかげです。心から感謝しています」と日本語で語りかけた。そして、「パンデミックはこのトンネルをここまで暗くした。しかし今日、世界のあらゆる人がこの瞬間を共有することで団結している。聖火はこの光をより明るくする」と語った。

その後、天皇陛下が「東京大会の開会を宣言します」と開会宣言。オリンピック旗が、世界のアスリートから都内の医療従事者らエッセンシャル・ワーカーに引き継がれて運ばれ、掲揚された。

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プロ野球の松井秀喜氏、長嶋茂雄氏、王貞治氏の三大スターから、パンデミック対応の最前線にいた医療従事者に聖火がつながれた

ジョン・レノンさんの「Imagine」を各地の歌手が歌い継いだ後、過去のオリンピックで開発されたピクトグラムがパントマイムで披露された。続いて、東京都内の歌舞伎座など名所が次々と紹介されると、ジャスピアニスト上原ひろみ氏のピアノに合わせ、歌舞伎俳優の市川海老蔵氏が、伝統的な演目「暫(しばらく)」から、邪気を払い、周囲を無病息災にするといういわれの「にらみ」の所作を演じた。

聖火が運び込まれると、イギリスのバンド「クイーン」が日本語歌詞も含めて1976年に発表した曲「手をとりあって」をバックに、各地の聖火ランナーの映像が流れた。さらに聖火は元レスリング選手の吉田沙保里氏と野村忠宏氏を経て、元野球選手の長嶋茂雄、王貞治、松井秀喜の3氏へ。続けて、客船「ダイアモンド・プリンセス」などでパンデミック対応の最前線にいた医師と看護師、パラリンピックでトライアスロンに出場する土田和歌子選手へと、聖火は次々と受け継がれた。

さらに、東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県の子ども6人を経て、最後にテニスの大坂なおみ選手へと聖火は渡った。

大坂選手が公の場に登場するのは、5月末に全仏オープンを途中棄権して以来。

大坂選手が聖火台の階段を上り、聖火をともして開会式は終了した。

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聖火リレーの最終走者は大坂なおみ選手だった

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聖火台を上る大坂選手

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聖火を灯した大坂選手

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異例づくめのオリンピック

日本で57年ぶりに開かれる東京オリンピックは、異例の大会となっている。当初は昨夏開催の予定だったが、新型ウイルスの世界的な流行で、五輪史上初めて延期された。

1年を経て、日本では反対の声も多い中、開幕へと至った。ただ、ほとんどの競技が実施される東京都では、感染の急拡大を受けた緊急事態宣言が出ている。そのため、都内の競技会場はすべて無観客となる。さらに、埼玉、千葉、神奈川、福島の4県と北海道でも、ほとんどの試合が無観客で行われる。

選手たちは、競技や練習、飲食、睡眠の時間を除いてマスク着用が義務付けられる。バブルの隔離状態に置かれ、他人との接触を極力少なくし、ウイルス検査を毎日受ける。

そうした努力にもかかわらず、新型ウイルスはすでに大会に影を落としている。23日には、選手を含む大会関係者19人の陽性が新たに確認され、1日以降の陽性者は106人に上った。選手の感染は11人となっている。

感染が確認されて出場を断念した選手や、濃厚接触者と判定されて自室で隔離を強いられている選手も出ている。

大会組織委員会は今回の五輪を、新型ウイルスとの闘いにおける「トンネルの先の明かり」と位置づけてきた。だが、新型ウイルス感染症COVID-19は今なお世界中で猛威をふるい続けている。主催者が繰り返してきた比喩は、現実とかけ離れたものとなっている。

新たな競技と環境への配慮

今回のオリンピックでは、5競技34種目が追加される。若者の関心を五輪に引きつけるのが狙いで、「スポーツの都会化傾向」を反映したともいわれる。

新規追加の5競技は、空手、スケートボード、スポーツクライミング、野球・ソフトボール、サーフィン。野球・ソフトボールは厳密には、2008年北京五輪以来の「復活」となる。

新種目はボクシング、カヌー、自転車、ボート、水泳などで加えられる。男女混合の新種目もあり、競泳混合4×100メートルメドレーリレー、トライアスロン混合リレー、柔道混合団体などが追加される。

参加選手に占める女性の割合は48.8%で、過去最大となった。

環境に優しい大会を目指しているのも、東京五輪の特徴だ。

メダルは、携帯電話などのリサイクル金属で作られている。聖火トーチには、東日本大震災の仮設住宅で使われたアルミを利用。表彰台には、一般家庭から出たプラスチックや海洋プラスチックごみが使用されている。

大会で使用する電力は、再生可能エネルギーでまかなわれる予定。競技会場で新設されたのは8施設だけとなっている。

スキャンダル続きの五輪

東京オリンピックは数々のスキャンダルに見舞われてきた。

東京での開催が決まった2年後の2015年には、五輪エンブレムに盗作の疑いが出て、使用が中止された。2019年になると、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(当時)に、招致活動の際の買収疑惑が浮上した

今年2月には、大会組織委員会の森喜朗会長(当時)が、女性差別発言で辞任。その翌月、開閉会式の演出統括だった佐々木宏氏が、タレントにブタの耳を付け、「オリンピッグ」として開会式に登場させることを提案していたことが判明し、辞任した

さらに開幕直前の今月19日、開会式の楽曲担当だった音楽家の小山田圭吾氏が、学校時代に障害のある同級生らをいじめていたことが問題となり辞任。開会式前日の22日には、開閉会式のショーディレクターで元お笑い芸人の小林賢太郎氏が、ユダヤ人などのホロコースト(大虐殺)を揶揄(やゆ)するようなセリフのあるコントを発表していたことが問題視され、解任された

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【東京五輪】 規模を縮小した開会式、前回との違いは

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