【東京五輪】 猛暑で「死んだら責任は」 テニスで選手が抗議、開始時間変更

Daniil Medvedev

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ダニール・メドヴェージェフは28日、試合の始めから終わりまで暑さに苦しんだ

東京オリンピックで28日、テニス男子のダニール・メドヴェージェフ(25、ロシア・オリンピック委員会)が有明テニスの森での試合中、暑さで呼吸に苦しみ、死んだら誰が責任を取るのかと主審に問いただす場面があった。

第2シードのメドヴェージェフは、ファビオ・フォニーニ(イタリア)との3回戦の試合中、メディカル・タイムアウトを取り、トレーナーを呼んだ。

カルロス・ラモス主審が大丈夫かと尋ねると、メドヴェージェフは「大丈夫。もし死んだらITF(国際テニス連盟)は責任を取ってくれるのか?」、「試合は最後までできるが、死ぬかもしれない」と答えた。

メドヴェージェフは結局、6-2、3-6、6-2で勝って試合を終わらせた。しかし、女子のパウラ・バドサ(スペイン)は準々決勝を途中棄権し、車椅子でコートを去るはめになった。

主催者側はその後、29日以降は試合開始時間を遅らせると発表した。メドヴェージェフら何人かの選手らは先週、そうした対応を求めていた

メドヴェージェフは試合後、「まだ生きている」とツイートした

メドヴェージェフと世界ランキング1位のノヴァク・ジョコヴィッチは先週、気温が33度に達する中でプレーした。その後、日中の暑い時間帯を避けるため、試合開始時間を遅らせるべきだと訴えていた。

ITFは当初、この要求に難色を示した。しかし28日、「選手の健康と福祉のため」だとして、試合のスタートをこれまでの午前11時ではなく午後3時に遅らせるとの声明を出した。

「この決定は(中略)今日開かれた5試合の結果と、競技場の規模から可能となった。選手の健康をさらに保護する目的もある」

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テニスでは、猛暑の場合に選手双方が合意すれば、第2セットと第3セットの間に10分間の休憩を認める決まりになっている。

メドヴェージェフはこの日の試合でこの時間を利用し、冷水のシャワーを浴びた。

メドヴェージェフは、東京五輪で経験した中でこの日が最も蒸し暑かったとし、「第1セットからすでに、呼吸がうまくできない感じがした。それでトレーナーを呼んだ。横隔膜が動かなくなった感じだった」と話した。

「第2セットになると、ポイントごとに目の前が暗くなった。どうしたら気分がよくなるのかわからなかった。前かがみになって、うまく息ができず、コートの上に倒れそうになった」

Paula Badosa leaves her match in a wheelchair

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パウラ・バドサは混合ダブルスにも出場予定だったが、それも棄権した

一方、スペインのバドサは熱中症になったと明らかにした。そのため、前日に大坂なおみを破ったマルケタ・ヴォンドロショーヴァ(チェコ)との試合を途中棄権せざるを得なかったという。

「こんな風に大会を終えるのは残念だ。初日からきつかった。できるだけ適応しようとしたが、今日は体が耐えられなかった」と話した。