イギリスの気候、すでに「気候変動の影響を受けている」=最新報告書

ロジャー・ハラビン、BBC環境アナリスト

Two women walking in rain

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イギリスの気候はすでに、気候変動が引き起こす混乱の影響を受けている――。このほど発表された気候に関する報告書で、降雨量や日射量、気温などが上がっていることが明らかになった。

報告書によると、2020年はイギリスの観測史上3番目に暑い年だった。また、雨量は史上5番目に、日射量は史上8番目に多かったという。

この3つの指標がすべて10位以内に入った年は、これまでになかった。

専門家らは、ここ30年でイギリスの平均気温は0.9度高くなり、降雨量も6%上昇したと指摘している。

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ロンドンで1カ月分の雨が1日で 各地で浸水、19世紀の上下水道対応できず

イギリス気象庁の気象情報科学者マイク・ケンドン氏が、調査を主導した。ケンドン氏はBBCニュースの取材で、「気候変動は未来の話だと思っている人が多いが、気候変動がすでにイギリスの状況を変えていると、今回の報告書が証明した」と語った。

「温暖化が進む中、熱波や洪水といった異常気象は今後さらに増えていく」

科学者らは、今後も地球温暖化が進み、各国政府が炭素排出量の削減に失敗すれば、異常気象は悪化すると警告している。

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2020年2月のイギリスの降雨量を、1981~2010年までの平均降雨量と比較した図。イングランド中部などでは平均の350~400%の雨が降った

今回の報告書では、イギリスの気候がより暑くなったほか、日射量も降雨量も増えたことが明らかになった。

  • 2020年は、1884年以降で3番目に暑い年だった。なお、トップ10に入っている年はすべて2002年以降
  • 一方で、2020年は降雪量が非常に少なかった
  • 春の日射量が最多を更新。平均的なイギリスの夏の日射量よりも多かった
  • 観測史上5番目に降雨量が多かった。トップ10のうち6つは1998年以降

王立気象学会のリズ・ベントリー会長は、各国政府が気温上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標を達成できたとしても(その可能性は低いものの)、大気が含むことのできる水分量はなお10%ほど増えるだろうと指摘した。

「イギリスでも、気温が40度に達する可能性がある。世界全体で気温が1.5度上がれば、それが常態になるだろう」

「わずか0.1度や0.2度の気温上昇は、巨大な変化につながり得る。特に異常気象の頻度や激しさにつながり得る。多くの人はこのことに気付いていない」

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今回の気象報告書では、植生が気候変動に対応しているという指摘もあった

「昨年は道路の舗装が溶けたり、線路や電線が曲がったりした。地中海のような気候が良いとよく言うが、みなたちまち日中だけでなく夜も暑すぎると言い始めた」

「とてつもなく影響の大きい出来事がないと、気候への態度はなかなか変わらない。最近の異常気象が、この問題に対処しようという意志の形成につながってくれればと思う」

今回の気象報告書では、植生が気候変動に対応しているという指摘もあった。イギリスに生えている一般的な樹木は昨年、1999~2019年の基準値よりも10.4日早く、葉をつけ始めたという。

春が来るのが早まるとともに、秋の訪れも早まっている。2020年の落葉は基準よりも4.3日早かった。

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1884~2020年の、イギリスの気温の中間点の推移。2020年は9.6度と、観測史上3番目に高かった

さらに、2018年と2013年、2010年、2009年には大雪が降ったものの、こうした気象現象は1960年代以降、頻度も激しさも少なくなっているという。

一方、イギリス政府の元科学顧問サー・デイヴィッド・キングが設立した「気候変動諮問グループ」が発表した報告書では、北極圏の急激な温暖化がジェット気流に影響を及ぼし、異常気象につながっているかもしれないと疑問を投げかけた。

ジェット気流とは、8000~1万1000メートル上空の対流圏を流れる強い偏西風を指す。

この報告書では、「ドイツの異常気象による災害、フィンランドとアメリカで6月の最高気温の更新、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の熱波、シベリアでの異常な高温などが同時に起きている」と指摘。

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「これらの現象は、『たった』1.2度の気温上昇で起きると予想されていたものをはるかに超えてしまっている(地球の気温はすでに、産業革命前から1.2度上昇している)」

「温室効果ガスはすでに、人類が将来管理できる水準よりもかなり高くなっている」

この報告書はまだ査読を受けていないが、各国政府に温室効果ガスの大規模な除去を求めている。