「絶滅の瀬戸際」 気候変動の影響受けやすい国々が警告、IPCC報告書受け

flooding in the Maldives

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モルディヴは世界で最も海抜が低く、気候変動の影響を受けやすい国のひとつ

9日に発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を受け、気候変動の影響を特に受けやすい国々が、対策を取らなければ「絶滅の瀬戸際」に立たされると警告した。

IPCCの報告書は、人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」と指摘。このままでは地球の一部地域は人間が住めなくなると述べている。

ボリス・ジョンソン英首相を含む各国首脳は、この報告書は「世界の目を覚ますもの」と受け止めている。

しかし、気候変動による被害を最も受ける地域からの反響は特に大きかった。

モルディヴのモハメド・ナシード元大統領はこうした約50カ国を代表し、「我々は炭素とかいう排出物のために命を削っている」と述べた。

モルディブは世界で最も海抜が低い国。ナシード氏は、IPCCの報告書で示された見通しは自分たちにとって「壊滅的」なもので、モルディブを「絶滅の瀬戸際」に追い込むものだと述べた。

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IPCCの第6次評価報告書では、熱波や大雨、旱魃(かんばつ)といった異常気象の頻度や厳しさが増すと予測。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「人類への赤信号」だと発言した。

報告書では、人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」と指摘し、20年以内に世界の平均気温は産業革命前から1.5度以上に上昇すると予測している。

海面水位の上昇については、今世紀末までに2メートル上昇する可能性も、2150年までに5メートル上昇する可能性も排除できないとされた。

小島嶼(しょ)国連合(AOSIS)で気候変動首席交渉人を務めるアンティグア・バーブーダのダイアン・ブラック=レイン大使は、海面上昇が低海抜国に壊滅的な影響を与えるかもしれないと述べた。

「私たちの未来がすぐそこに来ている」

この報告書は、11月に英スコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)のわずか数カ月前に発表された。

COP26を主催するジョンソン英首相は、IPCCの報告書は気候変動の影響を受ける国への支援が必要だと示していると語った。

「今回の報告書は深く考えさせられるものだ。次の10年が地球の未来を守るための転換点になることは明白だ」

「温暖化を制限するために何が必要なのかは、分かっている。石炭を歴史に葬り、クリーンエネルギーに転換し、自然を保護し、気候変動の矢面に立つ国々へ財政支援を行うことだ」

2015年12月に採択された気候変動対策のためのパリ協定では、190以上の国と地域が産業革命以前の気温からの気温上昇分を摂氏2度、理想的には1.5度未満に抑えるための取り組みを推進すると合意した。

しかしIPCC報告書は今回、様々なシナリオを検討した結果、二酸化炭素の排出量が大幅に減らなければ、今世紀中に気温上昇は1.5度はおろか2度も突破してしまうと判断を示した。

アメリカのジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は、目標達成のためには各国が早急に経済の仕組みを変えなくてはならないと述べた。

「気候変動を止めるために重要な10年となる。グラスゴーでのCOP26はこの危機の転換点にならなければならない」

COP26への参加を表明した環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリ氏はIPCCの報告書について「私たちが既に知っていること(中略)、私たちが緊急事態あることを認めるものだった」と話した。

トゥーンベリ氏はツイッターに、「まだ最悪の事態を避けることはできるが、今のような生活を続け、危機を危機と思わないままではだめだ」と投稿した。