英アンドリュー王子、米で民事提訴される 2001年の未成年への性的暴行めぐり

画像提供, Virginia Roberts
2001年にロンドンでアンドリュー王子と写真に収まったジュフリーさん。ギレイン・マックスウェル被告所有のこの家の浴室で暴行されたと話している
英王室のヨーク公アンドリュー王子が2001年、当時17歳だったヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さんと性的関係を持った疑惑について、ジュフリーさんが9日、米ニューヨーク州でアンドリュー王子に対する民事訴訟を起こした。
ジュフリーさんは、2019年に性的人身取引で起訴された後、ニューヨークの拘置所で勾留中に急死した米富豪ジェフリー・エプスティーン被告を訴えていた1人。エプスティーン被告と親交のあったアンドリュー王子と2001年にニューヨークやロンドンなどで会い、性的暴行を受けたと主張している。
アンドリュー王子は、エリザベス女王の第三子。エプスティーン被告との友好関係をめぐるスキャンダルが浮上した後、公務を控えている。
一方、ジュフリーさんの訴えについては全面的に否定している。
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アンドリュー王子は2010年末、ニューヨークのセントラルパークでエプスティーン被告といるところを撮影された。当時の被告はすでに未成年を売春に勧誘・斡旋(あっせん)した罪で有罪を認めた後だったため、アンドリュー王子はこの時も、被告との交際を批判された。
また、2015年にアメリカでエプスティーン被告に対する民事訴訟が起こされた際には、原告の1人のジュフリーさんが、自分が17歳だった2001年に被告に強制され、王子と性行為を3回重ねたと主張した。
今回の訴状は、エプスティーン被告の親友だったギレイン・マックスウェル被告がロンドンに所有する邸宅と、エプスティーン被告のニューヨークの邸宅、そして米ヴァージン諸島・リトル・セント・ジェイムズにある邸宅で、アンドリュー王子がジュフリーさんに性的暴行を加えたと述べている。
また、アンドリュー王子とその代理人は、「持っているであろう事実や文脈、説明を提供したり、紛争解決に向けた別のアプローチを模索したり」してほしいという要請を拒否したと指摘している。
BBCは英バッキンガム宮殿と、アンドリュー王子の代理人にコメントを求めている。
「実際にはなかったこと」
王子はこれらの件について2019年にBBCの取材に応じ、すでに性的犯罪で有罪となっていたエプスティーン被告の家に滞在したことは「過ち」だったと認めている。
一方でジュフリーさんの件については、「実際にはなかったことだ」と全面的に否定した。
「それは起きていないことだ。はっきりと、そんなことはなかったと断言できる。その女性と会った記憶すらない」
アンドリュー英王子、未成年女性との性行為を否定 BBC取材
その後の声明で王子は、「ジェフリー・エプスティーンとの誤った判断に基づく関係についてはっきりと後悔し続けている」と述べた。
「彼の自死によって、特に被害者にとって多くの疑問が残った。被害を受けた人たち、何らかの終結を望んでいる人たちに深く同情している」
「今はただ、こうした人たちが人生を立て直せることを願うことしかできない。もちろん、請があれば、適切な法的機関の捜査に協力する用意がある」
未成年被害者法
今回の訴状は、この件がニューヨーク州の未成年被害者法(Child Victims Act)が適用されると主張。同法は、被害者の訴権を加害疑惑のある者にまで拡大している。
アンドリュー・クオモ州知事は未成年被害者法について、未成年時に虐待を受けた疑いのある者に「正義の道」を与える画期的な法律だと説明。「誰にも知られず、罰せられていない犯罪を正す」助けになると述べている。
同法は2019年に成立したもので、すでに時効を迎えた疑惑について、1年間の期限で提訴を受け付ける。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、今年8月14日まで延長されていた。