【東京パラ】 競泳男子の鈴木、日本勢最初の金メダル 初出場の富田も銀

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鈴木孝幸は2008年北京大会以来となる金メダルを獲得した
東京パラリンピックは26日、東京アクアティクスセンターで競泳があり、男子100メートル自由形S4で鈴木孝幸(34)が金メダルを獲得した。日本勢の金は今大会初めて。男子400メートル自由形S11の富田宇宙(32)も銀メダルを勝ち取った。
鈴木は前日の50メートル平泳ぎSB3で銅メダルを取っており、今大会2個目のメダルとなった。パラリンピック通算では7個目。
この日の100メートル自由形S4(運動機能障害の程度が4番目に重いクラス)では、予選を2位で通過。
決勝は序盤から隣のレーンのルイジ・ベジャト(23、イタリア)とトップを争い、50メートルはベジャトに次いで2位で折り返した。
後半も鈴木は力強い泳ぎを続け、残り20メートル付近からベジャトとの差を詰めて逆転。最後はベジャトに1秒63の差をつけ、1分21秒58のパラリンピック記録で優勝した。
銅メダルはロマン・ジダーノフ(23、ロシア・パラリンピック委員会)が獲得した。
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鈴木は優勝を決めるとガッツポーズを見せた
イギリスで練習を重ねる
鈴木は5大会連続のパラリンピック出場。NHKによると、生まれた時から両足と右手がなく、左手の指にも障害がある。祖母のすすめで、6歳のころに水泳を始めたという。
2015年にはイギリスのノーサンブリア大学に拠点を移し、コーチのルイス・グラハムさんの指導を受け練習を積んできた。
レース後のインタビューで鈴木は、「昨日から続いているのでちょっと疲労もあって心配もあったが、自信を持っていこうと思って泳いだ」と試合に臨んだ時の気持ちを説明。
「ラスト25メートルくらいでまだ向こう(ベジャト)が前に出ていたと思うが、それから向こうが落ちてきたので、自分は落ちないように気をつけようと思って泳いだ」とレースを振り返った。
優勝を決めた直後にプール内でガッツポーズを見せたことについては、「フィニッシュした瞬間は正直、1位だったかわからなかったが、掲示板で1位だったのが確認できて、ちょっと喜びが出ました」と語った。
初出場で銀
男子400メートル自由形S11(視覚障害の程度が最も重いクラス)の富田は、パラリンピック初出場。
朝日新聞によると、3歳で水泳を始めた富田は、高校2年の時に進行性の網膜の病気で徐々に視野を失った。23歳でパラ水泳を始め、2017年に障害が最も重い全盲のクラスに変わった。
中盤はテンポのいい泳ぎで華棟棟(22、中国)と2位争いを繰り広げ、200メートル以降は富田が2位をキープ。プールの壁に近づくと、先端にウレタン素材を付けたタッピング棒でタイミングを知らせてもらい、ターンを繰り返した。
ラスト50メートルでは持ち前の持久力で追い上げを見せ、ドルスマンに3メートルほどまで迫ったが、届かなかった。銅メダルは華が手にした。
富田のタイムは4分31秒69のアジア記録だった。
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表彰台で銀メダルをかけた富田宇宙
「信じられない気持ち」
レース後のインタビューで富田は、「タイムと順位を聞いて、信じられない気持ちでした」と心境を語った。
そして、「目標であるアジア新記録とメダル獲得が達成できて、本当にうれしいです」と喜んだ。
富田は30日に200メートル個人メドレー、9月3日に100メートルバタフライにも出場する。
順位
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