【東京パラ】 最終日、女子マラソンの道下ら日本勢が金3つ 8種目でメダル

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女子マラソンT12で1位でゴールした道下美里(左)とガイドの志田淳。前半は青山由佳がガイドを務めた
東京パラリンピックは5日、最終日を迎えた。陸上女子マラソンT12の道下美里(44)と、バドミントン男子シングルスWH2の梶原大暉(19)、女子ダブルスWHの里見紗李奈(23)、山崎悠麻(33)ペアが金メダルを獲得。日本勢はこのほか、銀1個、銅4個のメダルを勝ち取った。
女子マラソンT12(視覚障害)は、午前6時50分にオリンピックスタジアム(国立競技場)をスタート。道下は伴走者とともに先頭グループでレースを進め、30キロ過ぎでエレーナ・パウトワ(35、ロシアパラリンピック委員会)を振り切り、独走態勢に入った。
オリンピックスタジアムに戻って来ると、最後は笑顔を見せながらゴール。タイムは3時間0分50秒のパラリンピック記録だった。パウトワは道下に3分26秒遅れてフィニッシュし、銀メダルを獲得。銅メダルはルーザンヌ・クッツェー(28、南アフリカ)が手にした。
藤井由美子(56)は5位、パラ日本選手最年長の西島美保子(66)も8位に入賞した。
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金メダルを手にした道下
朝日新聞によると、道下は中学時代に右目が見えなくなった。左目の視力も、20代半ばの時、光をわずかに感じられる程度まで低下。調理師の仕事を辞め、26歳で盲学校に入学した。陸上競技はダイエット目的で始めたという。前回リオデジャネイロ大会のマラソンでは銀メダルだった。
道下はレース後、「5年前の忘れ物を絶対取りに行くぞって、強い気持ちで、みんなで準備してやってきたので、それが取れてすごくうれしいです」と喜んだ。
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他の日本勢も上位に
男子マラソンT12(視覚障害)では、4大会連続出場の堀越信司(33)が中間地点を7位で通過。徐々に順位を上げ、2時間28分01秒の3位でフィニッシュし、初メダルとなる銅メダルを獲得した。
金メダルは2時間21分43秒でゴールしたエル・アミン・シェントゥーフ(40、モロッコ)、銀はジャリッド・クリフォード(22、オーストラリア)が勝ち取った。
熊谷豊(34)は7位、和田伸也(44)は9位だった。和田は今大会、1500メートルT11(視覚障害)で銀メダル、5000メートルT11で銅メダルを獲得した。
読売新聞によると、堀越は先天性の目の病気で、右目は義眼、左目の視力も非常に弱い。トラック種目を経てマラソンに移り、前回リオ大会では4位だった。
堀越はレース後、「長期故障や大会で勝てないなど、つらい経験をたくさんしてきた」、「あきらめずに今まで走り続けてきて、本当によかったなと思います」と話した。
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銅メダルを獲得した永田務(左)と堀越信司
一方、男子マラソンT46(上肢障害)では、李朝燕(32、中国)が2時間25分50秒のパラリンピック記録で1位、アレックス・ドウグラス・ピレス・ダシウヴァ(31、ブラジル)が2位でゴール。続けて、永田務(37)が2時間29分33秒でフィニッシュし、銅メダルを勝ち取った。
日刊スポーツによると、永田は2010年、工場での勤務中にベルトコンベヤーに右腕を巻き込まれ、障害が残った。
永田は、「銅は自分の中では残念な気持ちでもあるが、この大会にあたって自分ができることは精一杯やってきて、どんな結果であれ、自分はやったという気持ちでここにやって来た」、「気持ちの中ではよしとしたいです」と話した。
2日連続のメダルラッシュ
国立代々木競技場であったバドミントンは、前日に続き、メダル獲得が相次いだ。
男子シングルスWH2(車いす)決勝は、大学生の梶原が世界ランキング1位のキム・ジョンジュン(韓国)を2-0で下し、金メダルを勝ち取った。
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梶原大暉は世界ランキング1位を破った
NHKによると、梶原は13歳の時、自転車に乗っていて交通事故に遭い、右足のひざから下を失った。パラリンピック初出場の今回、素早い動きでシャトルを拾い続け、格上の相手を次々と倒して快進撃を続けてきた。
この日の決勝では、第1ゲーム、15-17とキムにリードされたが、4ポイント連取で逆転。そのままの勢いで先取した。
第2ゲームは競り合いの展開となり、18-18に。梶原はここから2ポイントを連取し、最後は甘い返球に対してスマッシュを決め、金メダルを獲得した。
梶原は試合後、「絶対に気持ちでは負けないぞという意気込みで臨みました。金メダルを目標にしてきて、目標にしてきた選手に勝つことができたので、すごくうれしいです」と話した。
ダブルス3ペアもメダル獲得
女子ダブルスWH(車いす)決勝では、里見、山崎ペアが、中国の劉禹彤(17)と尹夢璐(19)ペアに2-1で逆転勝ちし、金メダルを獲得した。里見は、前日のシングルスWH1の金メダルを獲得に続く2冠を達成。山崎も、前日のシングルスWH2で銅メダルを手にしており、今大会2個目のメダルとなった。
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里見紗李奈(左)、山崎悠麻ペアは金メダルを手にした
男子ダブルスWH(車いす)3位決定戦では、梶原と村山浩(47)ペアが、タイのジャカリン・ホムフアン(32)、ドゥムネルン・ジュントン(46)ペアに2-0で勝利。銅メダルを勝ち取った。梶原はシングルスWH2と合わせ、この日だけでメダル2個を獲得。村山は初のメダルを手にした。
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梶原(左)と村山浩のペア
混合ダブルス SL3(下肢障害)-SU5(上肢障害)の3位決定戦では、藤原大輔(27、SL3)、杉野明子(30、SU5)ペアが、インドのプラモド・バガト(33、SL3)、パラク・コハリ(19、SU5)ペアと対戦。日本ペアは2-0で勝って、銅メダルを手に入れた。
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藤原大輔(右)と杉野明子のペアはインドのペアを破って銅メダルを勝ち取った
車いすバスケ男子が初メダル
車いすバスケットボールは、有明アリーナで男子決勝があり、日本とアメリカが対決。アメリカが64-60で勝利し、金メダルを勝ち取った。日本もこの種目初メダルとなる、銅メダルを獲得した。
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激しい攻防を見せる鳥海連志(右)とアメリカのジョン・ボワ
第1クオーターは、日本が序盤で10-4とリードしたが、アメリカが追いついて18-18で終了。第2クオーターになると、アメリカが着実にシュートを決め、32-27とリードした。
第3クオーターは、日本がリバウンドを取って得点につなげる場面が増え、一気に46-45と逆転。最終クオーターでは、日本が一時、リードを5点に広げた。しかし、アメリカが日本のボールを奪って得点するなどし、再び逆転して勝利を決めた。
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銀メダルを獲得した日本チーム
日本チーム最多18得点を挙げた香西宏昭は、「もう少しで勝つことができたのに、ちょっとしたミスやターンオーバーが、すごく高くついてしまった試合だったと思います」と振り返った。
そして、「日本は戦えるということを今回、証明できたと思います。なので、新たにどんどんレベルアップをしていきたい」と述べた。
順位