英議会、中国大使を立ち入り禁止に 議員への制裁に対抗

ジェイムズ・ランデール、外交担当編集委員

Zheng Zeguang

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中国の鄭沢光駐英大使(右男性)は7月の着任時、エリザベス女王とリモートで面談した

中国の鄭沢光駐英大使が、英議会への入場を禁止された。中国は英議員らに制裁を科しており、英議会として対抗措置を取ったとみられる。

鄭大使は15日に議会下院で、超党派の親中国グループが開く会合に出席の予定だった。

しかし、抗議の声が上がり、リンジー・ホイル下院議長とジョン・マクフォール上院議長は、これを認めないと決めた。

中国大使館はこの決定を「卑劣でひきょう」と呼び、両国の国益を損なうものだとした。

親中国グループが招待

議会への入場禁止は、英紙デイリー・テレグラフが最初に報じた。イギリスと中国の関係はこのところ、緊張が高まっている。

中国は3月、英下院議員5人と上院議員2人に対し、中国に関するうそを広めたとして、入国禁止と中国国内の資産凍結を決定した。

イギリスはこれに先立ち、中国・新疆ウイグル自治区でで人権が侵害されているとして、中国当局者らに対する初の制裁を科していた。

こうした経緯にもかかわらず、英議会の親中国グループは、テムズ川を臨む下院のテラスで開かれる夏季パーティーに、鄭大使を招待すると決めた。

中国の制裁対象となった英下院議員5人(いずれも保守党)は先週、下院議長宛ての書簡で懸念を表明した。5人は、イアン・ダンカン・スミス、トム・トゥーゲンハート、ヌスラト・ガーニ、ニール・オブライエン、ティム・ロートン各議員。

同じく制裁を受けた英上院のデイヴィッド・アルトン、ヘレナ・ケネディ両議員も、「中国政府による制裁は議員を標的としただけでなく、議会への攻撃でもある」などとして鄭大使の招待に反対する書簡を、上院議長宛てに送っていた。

議員らは歓迎

鄭大使の議会への立ち入り禁止措置について、ガーニ議員は「前例のないもの」として歓迎。「議員への制裁は、この国の議会と民主主義を直に脅かすものだ」、「私たちの議会は、中国共産党のばかげた制裁のプロパガンダ道具にはならない」とBBCに話した。

ロートン議員は、「集団虐殺をしている中国政権が、民主主義国家の議員から言論の自由を奪えると思っているなら、重大な結果を招くだろう。今回でいえば、中国政権が『議会の母』の場で、自らをアピールする機会を得ることは絶対にない」とツイートした。

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リンジー・ホイル議長は中国側に、英議員らに対する制裁について考え直すよう求めた

ホイル下院議長は声明で、各国大使とは定期的に会合を持ち、「各国と議員らの永続的な結び付きを確立」してきたと説明。

しかし、「中国が私たちの議員の一部に制裁を科している時に、下院議会の敷地内や私たちの職場で中国の大使と会うことは、適切だとは思わない」と表明した。

同時に、「制裁が解除されれば、もちろん、こうしたことは問題にならない」とした。

中国大使館は反発

マクフォール上院議長の報道官は、「現在、上院議員2人らに制裁が科されていることを考慮すれば、会合は他の場所で開かれるべきだ」と述べた。

外務・英連邦・開発省の報道官は、「議会は政府から独立している。議会の敷地内に誰が入れるかは、議長が決める」とした。

一方、中国大使館の報道官は、「英議会の特定の個人らが自らの政治的利益のため、中国とイギリスの通常の交流や協力関係を妨害しようとしている。そうした卑劣でひきょうな行動は、両国国民の望みに逆らうものであり、国民の利益を害するものだ」と述べた。