バイデン米大統領、各国の結束を強く求める 初の国連演説

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国連総会で演説したジョー・バイデン大統領

アメリカのジョー・バイデン大統領は21日、国連で就任後初の演説をし、「私たちの世界を決定づける10年」における、国際協調の必要性を訴えた。

バイデン氏は、米ニューヨークの国連本部で開かれている第76回国連総会に出席。アメリカと同盟国との緊張関係が高まる中で、各国の結束を求めた。

気候変動問題をめぐっては、2024年までに関連対策の予算を倍増させる考えも表明した。

また、民主主義と外交を支持する考えを強調。「かつてなかったような協力が必要だ」と訴えた。

「新たな冷戦は求めていない」

バイデン氏は、気候危機と、100年に1度とされる感染症の大流行によって、世界に深い分断が生じている中、これらの問題でも協調が求められると述べた。

「私たちが共有する将来のために闘うことを選ぶのか、そうしないのか。これは、今後何世代にもわたり影響を及ぼす。端的に言えば、私たちは歴史の変曲点に立っている。それが私の見解だ」

バイデン氏はまた、アメリカが「新たな冷戦や、硬直した勢力圏に分かれた世界を求めているわけではない」と強調。

アメリカは「共通の課題を平和的に解決しようと努力する国とは、その他の分野で激しく意見が食い違っていようと、協力する用意がある」と述べた。

バイデン氏のこの発言は、アントニオ・グテーレス国連事務総長の警告に応えたものとみられる。グテーレス氏は今週、アメリカと中国が、「過去のものとは違い、おそらくもっと危険で、もっと扱いが困難な冷戦」に向かっているとの見方を示していた。

アフガン撤退をめぐって

バイデン氏は、アフガニスタンからの米軍撤退の正当性も主張した。

アメリカは先月、アフガニスタンに20年駐留した部隊を撤退させた。調整不足が同盟国に大きな負担をかけ、各国は避難作戦を急きょ進めることになった。撤退時、北大西洋条約機構(NATO)部隊は36カ国で構成され、部隊員の4分の3はアメリカ人以外だった。

内外の身内・同盟諸国からも批判された撤退についてバイデン氏は、アメリカが「容赦ない戦争の時期」を終わらせ、「容赦ない外交の新たな時代」を開始させたのだと説明した。

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気候変動問題への拠出金

気候変動問題をめぐっては、開発途上国に対するアメリカの拠出金を、2024年までに114億ドル(約1兆2500億円)まで増やすと宣言した。これは、貧困国の気候変動への取り組みに欧州連合(EU)が拠出を表明した金額の半分強にあたる。

先進諸国は、開発途上の貧困国に2020年までに年間1000億ドルを供与すると約束したが、実現していない。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は21日、バイデン氏との会談を前に、アメリカによる「巨大な貢献」だと称賛。アメリカが「やる気になった」と述べた。

バイデン氏は演説の締めくくりで、アメリカは「同盟国と共に」世界をリードしていくと約束した。

「COVIDや気候問題、人間の尊厳、人権など、この時代の大きな課題において、アメリカはリードしていく。だが、自国だけで進めることはしない」

外交問題で不安

アメリカのドナルド・トランプ前大統領と対立していた各国指導者たちは、バイデン氏との間で、より安定した信頼のおける対米関係を築くことを期待していた。

だが、アフガニスタンからの米軍撤退など、バイデン氏の最近の外交政策について、不安を募らせる指導者も複数いる。

先週にはアメリカは、イギリス、オーストラリアと3カ国で新たな安全保障の枠組み「AUKUS」(オーカス)を構築。オーストラリアに原子力潜水艦の製造技術を共有するとした。

オーストラリアと従来型の潜水艦製造の巨額契約を反故にされたフランスは、「背中を刺された」(ジャン=イヴ・ルドリアン外相)と猛反発。フランスはアメリカとオーストラリアから駐在大使を召還した。

バイデン政権に懐疑的な見方も

バイデン政権に対しては、新型コロナウイルスのワクチンを買い占めているとして、国際的な批判も起きている。不平等な渡航規制や、気候問題への支出の少なさも、非難の的となっている。

BBCのジョン・ソープル北米編集長は、アメリカがアフガニスタン撤退で混乱を招いた後だけに、バイデン氏の演説には懐疑的な目が向けられるだろうと解説。それでもバイデン氏は決意をもって、より外向きに開かれた自らの世界観を前面に打ち出したとした。

またアフガニスタン撤退の実現によりバイデン氏は国連を前に、アメリカが戦争をしていない状態にあるのは実に20年ぶりだと、強調することができたと、ソープル編集長は指摘した。

編集長はさらに、アメリカが気候変動問題の対策予算を2024年まで倍増させると約束したことは、これを求めて絶え間なく働きかけてきたイギリスの外交当局にとって、喜ばしい成果だと説明した。