ロシア、1日の死者が初めて1000人超える 不信感からワクチン接種進まず

画像提供, Reuters
ロシア・モスクワの特別病院に搬送される新型コロナウイルス患者
ロシアで16日、新型コロナウイルスによる1日あたりの死者数が、パンデミック開始以来初めて1000人を超えた。ロシア政府が発表した。新規感染者は約3万3000人だった。
ロシアの死者数はこの1週間、増加し続けた。ロシア大統領府は、国民が新型ウイルスワクチンを接種していないことを非難している。
ロシアではワクチンへの不信感が広がり、国民の約3割しか接種を受けていない。直近の世論調査では、接種を全く望まない人の割合が50%を超える可能性が示された。
ロシアの新型ウイルス感染症COVID-19による累計死者数は21万8362人と(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間17日午前時点)、欧州最多となっている。
また、現感染者数は約75万人で、2020年2月の統計開始以来最多となっている。累計感染者数は800万人に迫る勢いだ。
厳しい規制を導入せず
ロシア政府は経済活動を維持する必要があるとして、新型ウイルス対策の厳しい規制の導入を避けている。代わりに、ワクチン接種に対する国民の関心の低さに焦点を当てている。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は今週、「感染が拡大している状況下では、国民にワクチン接種の必要性を説明し続ける必要がある」と述べた。
「接種を受けないのは実に無責任だ。(感染で)死んでしまうのに」
ロシア政府は、国内の医療機関はひっ迫しておらず、新型ウイルス患者の増加に対応できると主張している。
しかし、ミハイル・ムラシュコ保健相は、新型ウイルスを恐れて診療所を離れた医師たちに、ワクチンを接種して職場復帰するよう求めた。
<関連記事>
ロシア製ワクチン
ロシアはワクチン開発で遅れをとっているわけではない。昨年にはロシア製ワクチン「スプートニクV」が速やかに展開された。このほかにも3種類のワクチンの使用が承認されている。
ただ、ワクチンの必要性や信頼性について、多くの国民を説得できなかったようだ。
ロシア製ワクチンは国内よりも、外国で受け入れられている。ロシアは、複数の国に速やかにスプートニクVを販売し、提供し始めたものの、配送体制に問題が生じ、一部の国への供給が予定より遅れた。
これまでに約70カ国がスプートニクVの使用を認めているが、スプートニクVはほかのロシア製ワクチンと同様、世界保健機関(WHO)の承認は得られていない。
これに加えて、ロシア国内では外国製ワクチンが不足していることから、国外へのワクチン接種ツアーを利用するロシア人もいる。
ロシア人がビザなしで入国できるセルビアでは、観光客も米ファイザー製ワクチンなどを接種できる。ワクチン接種を証明できるようになれば、世界各国へ渡航できる可能性が広がる。