イラク首相、自宅をドローン攻撃されるも無事 暗殺未遂か

Mustafa al-Kadhimi

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イラクのムスタファ・アル・カディミ首相

イラクのムスタファ・アル・カディミ首相は7日、自宅が無人飛行機(ドローン)による攻撃を受けたが、自分は無傷だったと公表した。首相の自宅は首都バグダッドの厳重警戒区域(グリーンゾーン)にある。

当局者によると、爆発物を積んだドローンが住居に衝突し、ボディーガード6人が負傷した。暗殺未遂とみられる。

カディミ氏は「すべての人に平静と自制」を求めると述べた。

イラクでは先月、国民議会選挙があり、その結果を受けて暴力的な衝突が起きている。

BBCのアナ・フォスター中東特派員によると、親イラン政党側が低迷し多くの議席を失ったことから、支持者らが再集計を求めてグリーンゾーン前で抗議デモを続けている。

一方で、最多議席を獲得した、イスラム教シーア派のムクタダ・アル・サドル師が率いる政党は、イランや西側諸国の干渉を受けない政府の樹立を目指している。

フォスター特派員は、こうした政治的な分断が政情不安を高めていると指摘。今回の暗殺未遂について、緊張が危険な形でエスカレートした可能性もあると解説した。

2機は撃墜

治安当局者によると、攻撃にはドローン3機が使われた。チグリス川にかかるリパブリック橋付近から飛び立ち、2機は撃ち落とされた。

攻撃実行者は声明を出していない。グリーンゾーンには多くの国の政府関連施設や大使館が集まっている。

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攻撃を受けた首相自宅の写真(7日、下も)

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現地メディアが掲載した写真には、首相の住居の一部や、車庫内のスポーツ用多目的車(SUV)が損壊した様子が写っている。

治安当局者はロイター通信に、ドローンの残骸を集めて調査すると述べた。

「誰が攻撃を実行したのか断言するにはまだ早い」、「情報当局の報告を検証しており、実行者に関する初期捜査の結果を待っているところだ」と、治安当局は話している。

爆発物を積んだ商用ドローンは、武装勢力のイスラム国(IS)が、イラク北部を制圧した際に使った。特に2017年のモスルでの戦いにおいて使用が目立った。

カディミ氏は情報機関の元トップで、昨年5月に首相に就任した。

イラク内外から非難

首相の自宅が攻撃されたことに対し、各方面から非難が相次いだ。

ムクタダ・アル・サドル師は、「イラクを非国家勢力が支配する混乱状態に引き戻す」ことを狙ったテロ行為だと批判。

バルハム・サリフ大統領は、イラクに対する凶悪犯罪だとツイートした。「イラクが混乱と立憲制度の転覆へと引きずり込まれるのは受け入れられない」。

イラン国家安全保障最高評議会のアリ・シャムハニ書記は、イラクで「外国のシンクタンク」が「テロリストと占領勢力を作り出し、支持している」と主張。イラクを不安定にしていると訴えた。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は、攻撃を強く非難するとカディミ氏に電話で伝えた。

アメリカのジョー・バイデン大統領は、攻撃実行者の責任追及が必要だと述べ、「イラクを弱体化させようと暴力を使用した人たちを最大限に」非難するとした。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、イラク国民に向け、「いかなる暴力も、イラクの不安定化を狙った試みも拒絶する」よう呼びかけた。