米ファイザー、新型ウイルス経口薬の製造・販売を容認 95の途上国が対象

Covid patient in Tunisia

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米ファイザーと非営利団体「医薬品特許プール」の合意により、途上国で新型ウイルス経口治療薬を製造できるようになる。写真はチュニジアの新型ウイルス患者

米製薬大手ファイザーは16日、開発中の新型コロナウイルス経口治療薬「パクスロビド」について、95の発展途上国での製造・販売を認める契約を国連が支援する特許団体と結んだと発表した。

このライセンス契約により、世界人口の53%がパクスロビドを利用できるようになる。対象の多くはアフリカやアジアの国々。

新型ウイルス経口治療薬「パクスロビド」は、重症化リスクが高い人に対し、発症からすぐに使用するというもの。ファイザーは5日に、重症化の恐れがある成人の入院または死亡のリスクが89%低下したとする臨床試験結果を公表していた。

ファイザーは16日の声明で、今回の合意により「世界中の人々の(治療薬への)さらなるアクセスを促進することを目的に」、地元の製薬会社がパクスロビドを製造できるようになると述べた。

同社は低所得国において、パクスロビドの製造ライセンス使用料を受け取らない方針。COVID-19が世界保健機関(WHO)が指定する公衆衛生上の緊急事態として続く間は、この合意に含まれる全ての国に対して、ライセンス使用料を免除するという。

ファイザーと合意した、国連が支援する非営利団体「医薬品特許プール(MPP)」のチャールズ・ゴア代表は声明で、「この経口薬は、低・中所得国に特に適しており、命を救うために重要な役割を果たす可能性がある」とし、今回の製造ライセンス契約は重要だと述べた。

今回のライセンス契約にはアフリカやアジアの途上国が多く含まれる一方で、ブラジルや中国、ロシア、アルゼンチン、タイなど、新型ウイルス感染症COVID-19が大流行した国は含まれていない。

そのため、COVID-19治療やワクチンへのアクセスの不平等を解消するには不十分だと指摘する専門家もいる。

ファイザーなどの製薬会社は、新型ウイルスワクチンの特許放棄を求める声に反発している。

国境なき医師団(MSF)はAP通信に宛てた声明の中で、今回の合意でファイザー製治療薬が世界中で入手できるようにならないことに「落胆」していると述べた。

MSFのユアンチョン・フー上席法律・政策顧問は、「このパンデミックを本当に制御したいのなら、COVID-19治療のための道具が、全世界の人に確実に行きわたるようにしなくてはならないと、それは世界中がもうわかっていることだ」と述べた。

10月には米製薬会社メルクが、同社が開発した新型ウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」の製造を可能とする契約を、「医薬品特許プール」と結んだと発表した。