G7、ロシアをけん制 ウクライナ侵攻なら「重大な結果と厳しい代償」伴うと

serviceman takes part in CSTO drill in Kazan Russia, Nov 21

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旧ソ連諸国からなる集団安全保障条約機構(CSTO)の軍事演習の様子(11月21日、ロシア・カザン)

主要7カ国(G7)外相は12日、ウクライナの国境周辺で軍を増強させているロシアに対し、ウクライナへ侵攻すれば「重大な結果」を伴うことになると警告した。

G7はロシアに対して、「ウクライナへの軍事侵略をさらに行えば、ロシアは間違いなくその行為に対する重大な結果と厳しい代償に直面する」とした。

そして、「緊張を緩和して外交チャンネルを通じた対話を追求し、軍事活動の透明性に関する国際公約を順守するよう」ロシアに求めた。

イギリスのリズ・トラス外相はリヴァプールでのG7外相会合後、G7はロシアがウクライナに対する侵略行為を止めることを望んでいると述べた。

しかしロシア・メディアによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は7日、アメリカのジョー・バイデン大統領とのビデオ会談で、ロシア軍は誰にも脅威を与えていないと語ったという。

バイデン氏とプーチン氏のビデオ会談は、ロシアがウクライナの東側国境に沿って大幅に軍を増強させていることを受けたもので、同地域の緊張を緩和させるのが目的だった。

バイデン氏はこの時、ロシアが侵攻すれば「今まで見たこともないような経済的影響」に直面することになると、プーチン氏に明確に伝えたという。

今回のG7声明は、アメリカのこの姿勢に呼応したかたち。

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バイデン氏に直接会いたいとプーチン氏

ロシアがウクライナ国境周辺に軍を集結させていることをめぐり、ロシアとアメリカの緊張は高まっている。

地元メディアはロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官の話として、プーチン氏はバイデン氏との会談後、事態を楽観するこれといった根拠はないがバイデン氏に直接会いたいと述べたと報じた。

ペスコフ報道官は、ロシアとアメリカの間には依然として深刻な考え方の違いがあると付け加えたという。

バイデン氏とプーチン氏は今年6月に、大統領同士としての初会談を行っている。

ウクライナ政府関係者は、ロシアが来年1月末に大規模侵攻を計画しているかもしれないと警戒を強めている。一方、米政府関係者は、プーチン氏が侵攻について決断したかどうかはまだ不明だとしている。

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ロシアが軍部隊増強で緊迫 ウクライナの最前線を取材

ウクライナ東部の紛争は「ジェノサイドのよう」

ウクライナは欧州連合(EU)とロシアの両方と国境を接するが、旧ソ連国としてロシアとは社会的・文化的に深いつながりがある。

ただ、ロシアは軍備増強をめぐり、ウクライナ政府が挑発していると非難している。さらに、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大と、ロシア周辺への攻撃用兵器の配備を行わない保証を求めている。

9日には、プーチン氏がウクライナ東部での紛争はジェノサイド(集団虐殺)のようだと述べ、ウクライナ情勢について論調を強めた。

ロシアの後ろ盾を受ける反政府勢力は、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した2014年以降、ウクライナ軍と争っている。

「我々は(ウクライナ東部で親ロシア勢力が占領する)ドンバス地方で何が起きているのかを目撃しているし、知っている」と、プーチン氏は紛争地帯について言及。「明らかにジェノサイドのように見える」とした。