欧州の人口の半数超、6~8週間でオミクロン株に感染の恐れ=WHO

画像提供, Europa Press News/Getty Images
スペイン・マドリードの薬局で抗原検査を見せる薬剤師(10日)
世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は11日、中央アジアの一部を含む欧州地域53カ国の人口の半数以上が、今後6~8週間で新型コロナウイルスのオミクロン変異株に感染するだろうと警告した。
この予測は、2022年の第1週に欧州全体で報告された約700万件の新規感染例に基づくもの。
感染者数は2週間で2倍以上に増えている。
クルーゲ博士は、「2021年後半まで全ての国がなんとか対処していたデルタ株の急増に加えて、現在、新たにオミクロン株の高波が西から東へと、同地域全体に広がっている」と記者会見で指摘。
米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の予測を引用し、「今後6~8週間でこの地域の人口の50%以上がオミクロン株に感染するだろう」と述べた。
クルーゲ氏は、西側諸国からバルカン半島へ新型ウイルスが広がり、欧州と中央アジアの国々が依然として「重圧」にさらされているとした。
また、「各国がどのように対応するかは、その国の疫学的状況や利用可能な資源、ワクチン接種状況、社会経済状況によって決定されなければならない」と付け加えた。
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医療制度への負担
直近の研究では、オミクロン株はこれまでの変異株と比べて重症化しにくいことが示されている。一方でオミクロン株の感染力は強く、ワクチン接種を終えていても感染する可能性がある。
記録的な数の人がオミクロン株に感染し、医療制度は深刻な負担を強いられている。
イギリスでは10日、新たに14万2224人の感染と77人の死亡が確認された。多くの病院がスタッフの欠勤や新型ウイルスによる負担増を理由に「危機的」状況を宣言している。
フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は先週、1月は病院にとって厳しいものになるだろうと警告した。
さらに、病院の「従来型の」ベッドがオミクロン株の感染者で埋まり、デルタ株の感染者で集中治療室(ICU)に負担がかかっていると付け加えた。
ポーランドとロシアの状況
ポーランドでは、パンデミック開始以降の累計死者数が10万人を超えている(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間12日午前時点)。国民の40%近くがワクチン未接種で、新型ウイルスによる死亡率が世界で6番目に高い。
ロシアの連邦消費者権利保護・福利監督庁のアンナ・ポポワ長官は、政府の新型ウイルス対策委員会の会合で、ウイルスの拡大抑制のための対策を講じなければ、同国の1日の新規感染者数が10万人に達する恐れがあると述べた。
同国の1日の感染者数は、11月上旬に記録した4万1335人をピークに減少傾向にあると、ロイター通信は報じている。
ポポワ長官は、国内の13の地域で305人のオミクロン株への感染が確認されていると説明した。同国ではこれまでに31万1281人が死亡し、1050万人以上が感染している。
米製薬大手ファイザーは10日、オミクロン株に対応したワクチンを3月にも出荷できると発表した。専門家たちは、オミクロン対応ワクチンが必要かどうかはまだはっきりしていないとしている。
地域別の新型コロナウイルス感染者数の推移(7日間移動平均、2020年7月から2022年1月まで)。上からアジア、欧州、中東、北米、ラテンアメリカ・カリブ海諸国、アフリカ。これらの地域よりはるかに感染者が少ないオセアニアは除外。フランス政府は5月20日に移動平均値を反映しデータを下方修正したため、欧州のデータに反映されている 出典:米ジョンズ・ホプキンス大学、各国の公衆衛生当局(1月9日時点)