韓国、憎悪コメント対策強化求める声が高まる 有名人の自殺相次ぎ

画像提供, AFP
韓国で、有名人2人が相次ぎ自殺したことをきっかけに、インターネット上のいじめへの対策強化を政府に求める請願書が作られ、これまでに数千人が署名している。
バレーボール選手のキム・インヒョクさん(28)と、ユーチューバーのチョ・ジェンミさん(27)が、1日と間を置かずに亡くなった。共に自殺とみられている。
キムさんとチョさんは、ネットで憎悪のコメントを浴びていた。
韓国では有名人に対するネットいじめが大きな問題になっている。有名人も何人か自殺している。
うわさ広めた人の処罰求める
今回の請願書は、今月5日にチョ・ジェンミさんが自宅で死んでいるのが見つかったことを受けて作られた。韓国・聯合ニュースによると、彼女の家族を名乗る人が、オンラインの悪意に満ちたコメントのせいで自殺したと話したという。
チョさんは、インフルエンサーやゲーマーとして、インターネットで「BJジェンミ」という名前で有名だったが、2019年に自身の動画で行ったある仕草が、男性を嫌悪するものだと批判された。
チョさんは、彼女に対するコメントをモニタリングしていた母親が2020年自殺したと話していた。そして、自分を「男性嫌悪者」とののしり、批判するのをやめるよう訴えていた。
対策強化を求める請願書では、チョさんに関するうわさを拡散した人物を罰するよう求めており、これまでに15万人近くが署名している。
「全てに耐えるのは本当につらい」
チョさんが亡くなる前日、バレーボールの大田サムスン火災ブルーファングスに所属するキムさんが亡くなっているのが発見された。
キムさんも憎悪のコメントや、自分の性的指向や容姿についてインターネット上でうわさを流すのをやめてほしいと訴えていた。
キムさんはインスタグラムに、「本当の私について何も知らない人々が、試合をしている最中にも、数えきれないダイレクトメッセージを送ってきたり、悪意に満ちたコメントを投稿したりしてくる。全てに耐えるのは本当につらい。やめてください」と書いていた。
「悪意あるコメントが人を殺す」
キムさんの死を受け、俳優のホン・ソクチョン氏がインターネット上のいじめを批判するコメントをインスタグラムに載せた。有名人としては珍しい行動だ。
「あなたの指先から始まる刃(やいば)で、どんなに多くの人が死んで来たか、私は忘れない」
「もう一度言います。あなたの悪意あるコメントが人を殺している」
SNSユーザーからは、韓国におけるネットいじめは「有害」であり、いじめをする人は「キーボードの陰に隠れている」と非難する声もあがっている。
韓国で、有名人の自殺をきっかけにネットいじめに注目が集まるのは今回が初めてではない。
2019年には、俳優・歌手のソルリさんが、何年にもわたってネット上でいじめを受けた後、亡くなっているのが発見された。この出来事を受け、韓国の音楽業界にいる人や、こうした圧力にさらされている人への支援を求める声が、有名人らから相次いだ。

誰かに助けを求めたいときは
日本では、一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターが厚生労働省の指導のもと、「いのち支える相談窓口一覧」として、都道府県・政令指定都市別の相談窓口に関する情報を提供している。
NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンクも、生きる支援の総合検索サイト「いのちと暮らしの相談ナビ」を開設し、様々な問題を抱える人たちがニーズに合わせて支援策を探し出すサポートを行っている。
一般社団法人 日本いのちの電話連盟は、インターネット相談のほか、ナビダイヤル(0570-783-556、午前10時から午後10時まで)、自殺を考えている人向けの相談電話(0120-783-556、無料、毎月10日の午前8時から翌日午前8時まで)で相談を受け付けている。
アメリカには、自殺防止ライフライン(1-800-273-8255)があるほか、支援が必要な若者向けに「キッズヘルプフォン」(1-800-668-6868)がある。
イギリスでは「ザ・サマリタンズ」が自殺防止のための電話相談を受け付けている(116123)。
