英日首脳が会談、防衛訓練の円滑化で大枠合意 ロシアへの懸念を背景に

画像提供, UK government
英首相官邸で会談した岸田首相(左)とジョンソン首相
イギリスのボリス・ジョンソン首相と岸田文雄首相が5日、ロンドンの英首相官邸で会談した。ジョンソン氏は日本との防衛パートナーシップ協定に合意した後、「独裁的、高圧的な勢力」には他国と協力して対抗すると宣言した。
両首脳は会談後の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻をそろって非難。また、イギリス軍と自衛隊による共同訓練の円滑化と、英日両国の災害支援の協力強化で合意したと発表した。
日本がヨーロッパの国と、こうした合意に至ったのは初めて。
英政府は、昨年公表した国防・外交政策に関する統合報告書で、インド太平洋地域への「傾斜」を表明している。
ロシアへの圧力について協議
岸田氏とジョンソン氏は会談で、ロシアへの圧力のかけ方や、同盟国がロシアの原油やガスへの依存度を下げるための支援方法についても話し合った。
ジョンソン氏は、「ヨーロッパの安全保障が、アジア太平洋地域やインド太平洋地域の安全保障と不可分だと、私たちイギリスは認識している」と説明。
「ヨーロッパの独裁的で高圧的な勢力の行動と、東アジアで起こりうることには直接的な関連がある。それゆえ私たちは、より緊密な協力を望む」と述べた。
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福島のポップコーンを食べながら
ジョンソン氏は英日両国について、「成長の促進、高度技術の雇用創出、技術大国としての地位の確保に努めている」と述べた。
また、イギリスの新たな対日貿易特使に、タンブリッジウェルズ選出の保守党議員グレッグ・クラーク元商務長官を任命したと明らかにした。
両首脳は会談中、2011年の福島第一原発事故後の日本産の食品に対する規制が解除されることに合わせ、福島で作られたポップコーンを食べた。
岸田氏の訪英は、昨年10月に首相に就任してから初めて。英空軍の戦闘機タイフーンと輸送機ボイジャー・ヴェスピナが儀礼飛行をした。
岸田氏がシティーで講演
世界経済の主要7カ国(G7)のメンバーである日本は、ウクライナを守る西側同盟の一員となっている。ロシアによる侵攻を非難し、同国に制裁を科し、ウクライナ政府に非殺傷性の軍事支援物資を送っている。
英官邸の報道官は、「ロシアの野蛮な侵略によってポスト冷戦時代が終わり、より広い範囲の国際的な安定に大きな影響が及んだということで、両首脳は意見が一致した」と述べた。
岸田氏はジョンソン氏との会談に先立ち、ロンドンの金融街シティーにあるギルドホール(市庁舎)で、イギリスのビジネスリーダーらに向けて講演。日本はロシア産エネルギーへの依存を減らすため、原子力を活用すると述べた。