ロシア各地で部分的動員令に抗議 1300人超逮捕と人権団体

Moscow police detaining woman at anti-mobilisation protest

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首都モスクワの警察は予備役の部分的動員令に抗議する人々を逮捕した

ロシア各地で21日、ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻をめぐり予備役の「部分的な動員令」の発動を宣言したことに対する抗議行動が相次いだ。数百人が逮捕されたとの報告があがっている。

首都モスクワを拠点とする人権監視団体OVD-Infoは、全体の逮捕者は1300人を超えるとしている。逮捕者が最も多かったのはサンクトペテルブルクとモスクワだった。

イルクーツクなど複数のシベリアの都市や、エカテリンブルクでは数十人が拘束された。

プーチン大統領が部分的動員令の発動を発表すると、ロシアを出国する航空便のチケットはすぐに売り切れとなった。

部分的動員令は徴兵ではなく、軍務経験がある予備役約30万人を招集する。ウクライナでの戦場でこのところ形勢が逆転しているロシア軍を増強するのが狙い。

プーチン氏は部分的動員令の発動を宣言した際、ロシアの領土的一体性が脅かされれば、「あらゆる手段を使ってロシアと国民を守る。これは、はったりではない」と強調。核兵器を使用する可能性を示唆した。

抗議者に対し厳しい警告

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警察が抗議者を逮捕し、乱闘が起きた(21日、モスクワ)

モスクワの検察当局は21日、インターネット上で無許可の街頭抗議行動への参加を呼びかけたり、実際に参加したりすれば、最大15年の禁錮刑に処される可能性があると警告した。抗議行動に関われば、軍の信用を傷つけ、ウクライナでのロシアの軍事作戦に関する「フェイクニュース」を拡散し、未成年者に抗議を促すことを禁じる法律に基づいて起訴される恐れがある。

ロシアではウクライナでの戦争に関する「偽情報」の拡散に対して厳しい罰則があり、警察はプーチン氏に批判的な活動家に嫌がらせを行っている。そのため、同国で公然と反戦運動が行われるのはまれだ。

それでも、反戦団体Vesnaは広く抗議行動を呼びかけ、ロシア全土で多くの逮捕者が出ていることをメッセージアプリ「テレグラム」で報告した。エカテリンブルクで撮影された動画では、警察が抗議者を暴力的にバスに押し込む様子が確認できる。

Vesnaはこの抗議行動を「mogilisation反対」運動と称した。これは英語の「動員」(mobilisation)と、ロシア語で「墓」を意味する「mogila」を組み合わせたもの。

ロシアの人権団体Agoraの弁護士、パヴェル・チコフ氏によると、同団体には20日朝から兵士の権利に関する情報を求めるロシア人から6000件の問い合わせが寄せられたという。

こうした中、トルコ・イスタンブールやアルメニア・エレヴァンといった人気の高い渡航先への航空券の購入が殺到し、残りの座席の価格が急騰した。

AP通信によると、プーチン氏の発表後、モスクワからイスタンブールやドバイへ向かうエコノミークラスの片道運賃は9200ユーロ(約130万円)に膨れ上がった。

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「間違いなく誰もが恐れている」

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反戦団体Vesnaはテレグラムで反戦集会を呼びかけた

ウクライナ軍がハルキウ州東部の広大な地域を奪還するなど、ロシア軍がウクライナで大きな損失を被る中、ロシア政府は部分的動員令を発動した。

プーチン氏が統制する国営メディアは、ウクライナの「ネオナチ」政府と北大西洋条約機構(NATO)がロシアを脅かしており、ウクライナのロシア系民族を守らなければならないとするプーチン氏の主張を、多くのロシア人が支持していると伝えている。しかし実際は、ウクライナ政府は民主的に選ばれており、極右の政治家はいない。

厳しいメディア規制が敷かれていることから、ウクライナをめぐるロシア政府の方針に対し、ロシア国内でどれだけの反発があるのかを測るのは難しい。

プーチン氏派の地方行政トップたちは、動員令への支持を表明している。

ウリヤノフスク州のアレクセイ・ルスキフ知事は、「我々が弱体化や分断、壊滅させられることはない」と述べた。「我が国の他の地域と同様に、我々の地域にも市民を軍務に動員する義務がある」。

チェリャビンスク州のアレクセイ・テクスラー知事は、ロシアの「主権、安全保障、領土保全」を確保するために動員は必要だと述べた。

一方でロシアの若者たちは、招集への不安をBBCに語った。

サンクトペテルブルクで暮らすマトヴェイさんは、「こんなことが起こらないことを望んでいた」と話した。「いまやプーチンが一歩も引かず、ロシア人が最後の1人になるまで愚かな戦いを続けることは明らかだ」、「動員のこの段階で自分が招集されるはずはないと思うが、事態が悪化しない保証はない」とマトヴェイさんは述べた。

イギリス在住のロシア人、エフゲニーさん(31)はBBCに対し、「間違いなく誰もが恐れている。誰もが動員に関する様々な情報を送っていて、何が真実で何が真実でないかを見極めるのは非常に難しい。誰も政府を信用していない」と語った。