COP27が閉会、途上国への資金支援を決定 化石燃料対策は進まず

ジョージーナ・ラナード、気候変動・科学記者、BBCニュースシャルム・エル=シェイク

A man holds a globe at a pavilion at COP27

画像提供, Getty Images

エジプトで開催されていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が20日、閉会した。途上国が気候変動で受けた被害や経済損失を、富裕国が補償する歴史的な合意が締結された。

気候変動の被害に直面している国々にとっては、約30年来の悲願の達成となった。

一方で、化石燃料の削減をめぐる進展について、先進国から不満の声も上がった。

COP27は会期中に合意がまとまらず、2日間延長されての閉会となった。

困惑と混乱の48時間で代表団が疲れ切る中、将来の影響だけでなく、これまで気候変動の影響で受けた被害への対応も支援するべきだと言う、いわゆる「損失と損害」について基金を創設することが決まると、生暖かい拍手が起こった。

だがこれは、洪水や干ばつなどの気候の影響をカバーする基金に長年抵抗してきた先進国にとっては、象徴的にも政治的にも大きな節目となった。

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COP27は2週間前、気候変動の影響を受けやすい国々からの力強い声明で始まった。バハマのフィリップ・デイヴィス首相は、「私たちはあきらめない。(中略)そうでなければ、私たちは水の墓場に追いやられる」と述べた。

会期中、発展途上国に中国を含めたブロックの交渉役を務めていたパキスタンのシェリー・レーマン気候相は20日、記者会見で、この合意に非常に満足していると語った。

「気候変動に関する目標を達成するためにどのように協力していくかについて、一歩を踏み出したと確信している」とレーマン氏は語った。

パキスタンではこの夏、大規模な洪水が発生し、約1700人が死亡。被害総額400億ドルとも言われるこの洪水が、今回のサミットの強力な背景となった。

アンティグア・バーブーダの環境相で、小島嶼国(しょこく)連合の議長を務めるモルウィン・ジョゼフ氏も、この合意は「全世界にとっての勝利」であり、「誰も取り残されないようにするためのこの重要なプロセスについて、世界の信頼を回復」させたと述べた。

一方で、イギリスや欧州連合(EU)ニュージーランドなどの国や活動家グループは、化石燃料や気候変動の抑制に関する妥協点に不満を持ってエジプトを後にした。

画像説明,

COP15(2009年)で合意された目標の年1000億米ドルにどれだけ近づいたかを示す

イギリスの主席交渉官で、英グラスゴーで昨年開かれたCOP26で議長を務めたアロク・シャーマ氏はCOP27終了後、記者団に対し、「さらに前進できなかったことに、非常に失望している」と述べた。

また、温室効果ガスを急速に削減する野心を弱めるために戦った国々に対し、リスクのある国々に「目を向ける」必要があると指摘した。

イギリスのリシ・スーナク首相は、COP27での進展を歓迎すると述べた一方で、気候変動対策を「もっと進めるべきだ」と述べた。

今回の成果文書には、化石燃料の「段階的削減」が含まれなかった。

一方で、「低排出エネルギー」というあいまいな新用語が登場。専門家によると、特定の化石燃料を将来的にグリーンエネルギーの一部とみなす糸口になるものだという。

ニュージーランドのデイヴィッド・パーカー環境相はBBCの取材に対し、「ガソリンに依存する国々から合意事項撤回への強い要望」があったが、先進国は「一線を守った」と話した。

先進20カ国(G20)を含む各国は、化石燃料の使用を早急に削減することを切望している。

しかし、インドのような石油やガスに依存している途上国は、欧米諸国が歴史的に行ってきたように埋蔵分を利用したいと考え、反発した。

スイスが土壇場で介入したにもかかわらず、閉会が近づくにつれ、富裕国は譲歩したように見えた。

COP27は開催当初、昨年の合意事項を実施する「行動」サミットであり、新たな成果は得られないと期待されていた。

だが、「損失と損害」に関する合意は、パリ協定以来最も重要な進展となる可能性がある。

国連が気候変動について議論を始めて以来、先進国は気候の影響をめぐって白地小切手に署名することを懸念していた。

今回の合意によってその支払いを約束した格好だが、詳細はこれから決定される。

行き詰まりが目立った一方、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ次期大統領が初めて国際舞台に立つなどの劇的な瞬間に彩られた今回の会議を締めくくる合意となった。

ルラ次期大統領は熱狂的な聴衆に対し、気候変動対策に取り組む国際舞台に「ブラジルが戻ってきた」と演説。森林破壊を止め、アマゾンを回復させると約束した。

また、脱石炭のためにインドネシアに200億ドルを支援する協定が結ばれ、具体的な成功の1つと評価された。

しかし、今回のCOPには化石燃料産業の代表者が大挙して押しよせ、その数は前回に比べ25%増えていた。一方、女性の参加者が少ないと指摘する声もあった。