ウクライナの大半と隣国で停電 ゼレンスキー氏、ロシアの「テロ」を安保理で非難

Fire and rescue workers attend a building hit by a missile in central Kyiv

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ウクライナの首都キーウ中心部で、ミサイル攻撃を受けた建物

ロシアの大規模な砲撃で、ウクライナの大半と隣国モルドヴァで停電が発生する中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は23日、映像中継を通じて国連安全保障理事会で発言し、ロシアの「テロの方程式」は「人道に対する罪」だと強く非難した。

ゼレンスキー大統領は安保理の緊急会合で、ロシアの攻撃によって、気温が零下の寒さの中、「エネルギー供給がなく、暖房も水もない状態で何百万人もの人」が過ごしていると述べた。首都キーウでの状況は依然として「非常に厳しい」もので、電力供給再開のため夜通しの作業が続くと話した。

安保理の緊急会合は、ウクライナの要請で開かれた。ゼレンスキー氏は国連に、ウクライナ支援の強化を求めた。

キーウのヴィタリ・クリチコ市長によると、首都では住民の少なくとも8割が、電気や水道が使えずにいる。

ゼレンスキー氏によると、ロシアの攻撃で停電したリヴィウ、オデーサ、チェルカシなど一部の都市では、電力が復旧したという。

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停電によって真っ暗になったウクライナ東部リヴィウ(23日)

ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は通信アプリ「テレグラム」に、23日の砲撃でロシアは巡航ミサイル67発を発射し、ウクライナはそのうち51発を迎撃したと書いた。キーウだけで30発のミサイルが撃ち込まれ、ウクライナ軍は20発を撃ち落としたという。

ウクライナによると、ロシアの最新の砲撃で少なくとも7人が死亡。ウクライナの制御下にとどまる3カ所の原子力発電所は電源が断たれ、欧州最大のザポリッジャ原発はまたしてもディーゼル発電機に冷却系や保全用の機器の維持を頼ることになった。

国際原子力機関(IAEA)は、相次ぐ砲撃で破損しているザポリッジャ原発の安全性について、強い懸念を表明している。同原発は現在、ロシア支配下にある。

ウクライナの隣国モルドヴァでも23日に、大規模停電が起きたが、ロシアの砲撃を直接は受けていない。

冬の寒さが本格化する中、ロシアはウクライナのエネルギー・インフラへの攻撃を強化している。

ウクライナ当局によると、各地の発電所はロシアの攻撃で「とてつもない」被害を受けており、国内の電力系の半分以上が修理を必要としている。エネルギー省によると、ほとんどの火力発電所と水力発電所も稼働停止に追い込まれている。

「卑怯で人道にもとる」

アメリカのリンダ・トマス=グリーンフィールド国連大使は安保理で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ国民をひどく苦しめるために「冬を武器化」していると発言。「戦場で苦戦したロシア政府は今や、ウクライナの人々、ウクライナの子供たちを痛めつける、卑怯で人道にもとる戦略を採用している」と非難した。

南部ザポリッジャ州の救急当局によると、ロシアの砲撃が産科病棟を直撃し、新生児が死亡した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はツイッターで、民生インフラへのロシアの攻撃は戦争犯罪にあたると非難した。

欧州議会は23日、ロシアを「テロ支援国家」に指定する決議案を可決した。この採決から間もなく、欧州議会のウェブサイトが開けなくなった。欧州連合(EU)関係者はこれについて、「親クレムリン」ハッカーによるいわゆる「サービス拒否(DoS)攻撃」だったとしている。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ大統領はアルメニアの首都エレヴァンを訪問中、「特別軍事作戦」の「今後と成功」は「疑いようもない」と述べた。大規模な砲撃については言及しなかった。

ロシア政府は、ウクライナの電力系攻撃によってウクライナの戦闘能力を弱体化させ、ウクライナ政府幹部を交渉の席に着かせることができるようになるとの見方を示している。

モルドヴァでも停電

モルドヴァのアンドレイ・スピヌ副首相は23日、「ウクライナのエネルギー・インフラに対する今日のロシアの攻撃で、モルドヴァで大規模な停電が起きた」とツイートした。

首都キシナウのほとんどで、電力は数時間で復旧した。モルドヴァでは人口の約3割が首都で暮らす。

スピヌ副首相によると、ウクライナへの15日の攻撃でも、モルドヴァで停電が起きていた。携帯電話の通信も大きな影響を受けたという。

モルドヴァのマイア・サンドゥ大統領はフェイスブックで、「ウクライナでのロシアの戦争は人を殺し、ミサイルで集合住宅を破壊し、エネルギーインフラを破壊している。けれども電力供給は復旧できる。技術的な問題を解決し、また光を取り戻す。そのためにすべての国の機関がとりくんでいる」と書いた。

エネルギー政策に詳しいアナリストのセルギウ・トフィラト氏によると、モルドヴァとウクライナは今年3月に欧州の電力系統に接続したことから、モルドヴァとルーマニアをつなぐ送電線の連結点の一つが、ウクライナの電力系が攻撃された時点で、システム全体を守るために自動的に作動を停止したものとみられる。

「ウクライナが被害状況を把握後、送電は再開される」見通しという。