アメリカとドイツ、ウクライナに戦車の供与を計画=報道

German Chancellor Olaf Scholz delivers a speech in front of a Leopard 2 tank in October 2022

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戦車「レオパルト2」の前で演説したドイツのオラフ・ショルツ首相(2022年10月)。同戦車の供与をめぐってショルツ氏は国際的な圧力にさらされていた

アメリカとドイツが、ウクライナへの戦車の供与を計画していることがわかった。両国のメディアが24日、報じた。

アメリカのジョー・バイデン大統領府は近く、戦車「M1エイブラムス」をウクライナに送る計画を発表するとみられている。

一方、ドイツのオラフ・ショルツ首相も、同国製の戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与と、他国による同戦車の供与の承認を決断したと報じられている。

ウクライナは、戦車が供与されれば、ロシア軍との戦闘に大きな影響を及ぼしうるとしている。

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、米独による戦車の供与は「間違いなくマイナスの結果」をもたらすと述べた。

アメリカとドイツの政府は、ウクライナに戦車を供与するよう、内外から圧力を受けてきた。しかし、アメリカは戦車が大がかりな訓練やメンテナンスを必要とすることから、ドイツは北大西洋条約機構(NATO)が戦争当事者になる恐れから、そうした圧力にそれぞれ抗してきた。

米国は30~50台供与との報道

米メディアは匿名の情報源の話として、早ければ25日にも、ウクライナへの戦車の供与が発表されると報じている。

関係者の1人はニューヨーク・タイムズに、30〜50台の戦車が送られる可能性があると述べた。

供与の時期はまだ明らかになっていない。

米メディアによると、ドイツ政府関係者はレオパルト2の供与について、アメリカもM1エイブラムスを供与する場合のみ、同意すると内々に主張していたという。一方、両国の政府関係者は、それぞれの供与に関連性はないとしている。

バイデン氏の盟友のクリス・クーンズ上院議員(民主党)は24日、「もしドイツが、アメリカがエイブラムスを送る場合のみレオパルトを送ったり、(他国が供与するのを)自由にしたりすると言い続けるなら、アメリカはエイブラムスを送るべきだ」と、政治サイトのポリティコに話した。

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アメリカのエイブラムス戦車

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ドイツは少なくとも14台を供与か

ドイツはこれまで、ロシアとの紛争を激化させる恐れがあるとして、自国の戦車をウクライナに供与するのをためらってきた。他国がレオパルト2をウクライナに供与することについても、ドイツは必要な承認を与えることに消極的だった。

しかし、国際的な圧力を受け、ショルツ氏は少なくとも14台のレオパルトの供与を決めたと、独メディアは伝えている。

14台という戦車の数は、典型的な中隊を構成する戦車の台数であり、ポーランドが供与を表明している台数とも一致する。また、イギリスが供与を約束している同国の戦車「チャレンジャー2」の台数とも同じだ。

英シンクタンクの国際戦略研究所によると、レオパルト2を保有するのは、ヨーロッパとNATOの少なくとも16カ国。

それらすべての国がウクライナに供与するわけではないが、報じられているショルツ氏の決断によって、各国は供与が可能になる。

ショルツ氏の決断は、ドイツ誌シュピーゲルが政府筋の話として報じた。その後、他のメディアも確認したもようだ。

ドイツ議員ら歓迎

ドイツ政府はまだ正式な声明を出していない。ショルツ氏は25日午前に、連邦議会で演説が予定されている。

議会国防委員会の委員長で、リベラル派の自由民主党(FDP)所属のマリー=アグネス・シュトラック=ツィンマーマン議員は、今回の報道を歓迎した。

「厳しい決断で、時間がかかり過ぎたが、最終的には不可避だった」と同議員は述べ、「打ちのめされた勇敢なウクライナ国民」の救いになるだろうとした。

下院副議長の1人で、緑の党に所属するカトリン・ゲーリング=エカルト議員は、「レオパルトは解放された!」と英語でツイートし、今回の動きを祝った。

西側諸国からの圧力

西側諸国はこのところ、ドイツが戦闘車両の供与に消極的だとし、不満を募らせていた。

ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は24日、BBCの取材で、ドイツは開戦前にロシアからガスを購入し、「ロシアの巨額資金」を築いたと主張。ドイツにはウクライナを支援する「特別な責任」があるとした。

また、「理解困難な方法で遅延し、回避し、行動している」とドイツを非難した。

ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、レオパルト2の使い方について他国がウクライナ兵を訓練するのは許可していたが、ドイツが戦車を供与することは約束していなかったと述べた。

ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマク首席補佐官は24日、ロシアに大打撃を加えるためとして、数百台規模の戦車の供与を西側諸国に呼びかけた。

イェルマク氏は、ドイツが戦車の供与に同意したと報じられた後、「戦車はウクライナが1991年の国境に戻るための要素の1つだ」と、メッセージアプリのテレグラムに書き込んだ。

<分析> ジョナサン・ビール防衛担当編集委員

ウクライナはまだ、戦争に勝つために必要だとしている新型の主力戦車300台を手に入れそうにない。

だが、西側諸国の半数が戦車14台ずつを提供すれば、合計で100台近くになる。そうなれば戦況を変えうる。

イギリスのチャレンジャー2、ドイツのレオパルト2、アメリカのエイブラムスなど、西側の戦車はどれも、ソヴィエト連邦時代につくられたT-72などのロシア戦車より優れているとされる。

西側の戦車は、さらなる安全性、スピード、精度をウクライナ兵に提供するものだ。

しかし、西側の新型主力戦車は、それだけで驚異的な結果をもたらしたり、戦況を一変させたりするものではない。戦車と共に何が供給されるのかも重要だ。

ここ数週間のうちに、西側が供与する重火器が大きく変わった。装甲車を追加で数百台、砲撃システム、弾薬などを送っている。

これらを総合すれば、ロシアの戦線を突破し、領土を奪還するためにウクライナが必要とする軍用品となる。

ウクライナ兵の訓練と兵器の供給がタイミングよく行われれば、それらは春の攻勢で重要な役割を果たすだろう。ただ、まだ空の戦力は欠けている。

ウクライナは開戦以来、最新鋭の戦闘機を提供するよう西側に要請してきた。今のところ、1機も実現していない。