中国、ウイグル人「再教育」を法制化

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Image caption 国連報告によると、中国はウイグル人100万人を収容している

中国西部の新疆ウイグル自治区は9日、イスラム教を信仰するウイグル人向けの「職業訓練施設」を法制化した。同自治区では、大勢のウイグル人の行方が分からなくなっており、国際的な懸念が広がっている。

新疆ウイグル自治区当局は、施設が「厳しい転換」を通じて過激主義に取り組むことになると説明している。

新法は、中国政府のこの地域での活動を初めて詳細に示すものだ。

身柄拘束につながる可能性のある行為の例として、ハラルの概念(イスラム教で許されるものという意味)を食習慣以外の生活分野に拡大すること、国営テレビやラジオの視聴を拒否すること、子どもに公教育を受けさせないこと、などを挙げている。

中国政府によると、各地の収容センターではまた、中国公用語や法的概念を教育するほか、職業訓練を提供する。

人権団体はこの動きを批判している。ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン氏は、「グロテスクで大規模な人権侵害は『法律』という言葉に値しない」と述べた。

Image caption 国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判

複数の人権団体はかねてから、再教育施設に収容されているウイグル人が、習近平国家主席への忠誠を強制的に誓わされたり、自分の信仰を批判または放棄させられたりしていると述べている。

中国は今年8月、 ウイグル人100万人を拘束しているとの国連報告を否定 した。

しかし、 9月の国連人種差別撤廃委員会 の会合に出席していた中国高官は、「宗教的過激派に染まった」ウイグル人が再教育を受け再移住していると認めた。

現地では長年にわたり、暴力や弾圧が頻発している。中国政府は、イスラム系武装組織や独立支持派によるものだと批判してきた。

Image caption 「いっそ妻と母を撃ち殺してくれ」 亡命ウィグル男性

中国はイスラム教を弾圧しているのか

中国政府はさらに、食品以外のハラル製品を使用禁止にしようとするなど、新疆ウイグル自治区全域で、イスラム教の信仰に関する活動を阻止しようとしている。

ある新聞は、歯磨き粉のような製品にハラルという表現を使うと、宗教的な生活と非宗教的な生活の境界線があいまいになり、人は過激な信仰の犠牲になりやすくなると批判している。

AFP通信によると、新疆の区都ウルムチの共産党指導部は8日、幹部に「汎ハラルの流行」と戦うと誓わせた。

新法はまた、イスラム教徒の女性がベールをかぶることも明確に禁じている。

共産党の党員と役人は、現地語ではなく中国公用語を話すように命じられた。

収容所の様子

元収容者たちはBBCに対し、強制収容所で心理的だけでなく身体的拷問も受けたと話した。一家丸ごといなくなった家族もいるという。

強制収容所の元教師で現在はカザフスタンに逃れた人物は7月、カザフスタンの裁判所で、「中国では政治施設と呼ばれているが、本当のところは山の中の刑務所だ」と証言した。

9月8日の米紙ニューヨーク・タイムズ は元収容者を引用し、「共産党なくして新たな中国なし」などの歌を無理やり歌わされ、歌詞を思い出せなかった者は朝食を与えられなかったと伝えた。

かつて収容されていたアブドゥサラム・ムヘメトさんは同紙に対し、「職員全員の主張は結局のところ、ただひとつ。中国共産党は偉大で、ウイグル文化は遅れていて、中国文化が進歩性的だという、それだけだった」と述べた。

世界ウイグル会議は、収容者たちは訴追されないまま無期限に拘束され、共産党スローガンを叫ばされると報告している。

食事も満足に与えられず、拷問されたという情報も多数ある。

しかし中国国営の英字紙グローバル・タイムズは、新疆ウイグル自治区での厳しい治安対策が、同地域を「中国のシリア」または「中国のリビア」と化すのを防いだと主張している。

ウイグル人とは

ウイグル人は、民族的にはチュルク系のイスラム教徒。主に新疆ウイグル自治区に居住しており、同地域の人口45%を占める。

自分たちは文化的・民族的に中央アジア諸国に近いと自認し、言語的にはトルコ語に近い。

ここ数十年、中国の多数派民族の漢民族が多数、新疆に移住しており、ウイグル人は自分たちの文化や生活が脅威に直面していると感じている。

新疆は正式には、南側のチベット同様、中国内の自治区に指定されている。

<解説> 宗教の推進を禁止――BBCニュース、マイケル・ブリストウ記者

強制収容施設に法的な位置づけを与えることで、大勢が数カ月にわたり言い続けてきたことが正しいと、中国政府は認めたかのようだ。つまり、新疆ウイグル自治区でイスラム教を信仰するウイグル人向けに、過激派対策の名の下に一連の再教育施設を運営しているのだと。

公布された新法は施設について詳細に記載しているが、中国政府がつけた名称は曖昧だ。中国は収容所を「職業技能および教育訓練センター」と呼んでいる。

しかし実際には、住民の就職機会向上のための技能訓練提供だけが目的だけでないことは明らかだ。

新法では、施設が「過激派の影響を受けた」人たちのためだとしている。間違った振る舞いを正し、収容されている人たちが心理カウンセリングと思想教育を確実に受けられるようにするのが目的だとしている。

収容施設は、新疆ウイグル自治区にいるイスラム過激派への広範な攻撃の一環だ。

新法は、例えば「異常なひげや普通でない名前」を持つことで、狂信的な信仰を広めるのは違法としている。

過激主義の定義はあまりにも広く、例えば、自分の子供が宗教や民族が違う相手と結婚しようとするのが不満だという親にも適用できそうだ。

(英語記事  China Uighurs: Xinjiang legalises 're-education' camps